『ゴッドファーザー』も『2001年宇宙の旅』も、名作と呼ばれる映画ほど「実は途中で寝ました」とは言い出しにくい。ところがr/AskRedditに「世間では傑作扱いされてるけど、自分にはまるで退屈だった映画は?」という質問が立ったところ、1300件を超える告白が集まり、そこへ「観方が悪いだけだ」と食ってかかる擁護派が押し寄せて大変なことになっていた。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
『オッペンハイマー』。三時間ずっと、難しい顔をした男たちが部屋の中で喋ってるだけだった。爆発を待ってた自分もどうかと思うけど、それにしても後半から座席が硬く感じてくる映画だったよ。
※『オッペンハイマー』は2023年公開、クリストファー・ノーラン監督。原爆開発を主導した物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描き、アカデミー賞作品賞ほか7部門を受賞した。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
あれは会議の映画で合ってるんだよ。爆弾が主役じゃなくて、後半の聴聞会で友人だったはずの連中が順番に彼を刺していくところが本体。二回目に観たとき、音楽がずっと不安を煽り続けてるのに気づいて評価がひっくり返った。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
自分はその「男たちが喋ってるだけ」が三時間続くと分かった時点で降参した。歴史の講義をIMAXの爆音で受けてる気分だったよ。
4. 名無しのReddit住民
『イングリッシュ・ペイシェント』。……いや本当に、俺は『サック・ランチ』のほうが観たかったんだって。
※ 米シットコム『となりのサインフェルド』に、登場人物のイレインだけが『イングリッシュ・ペイシェント』を退屈だと言い張り、代わりに架空の映画『サック・ランチ』を観たがる有名な回がある。ここはその引用。『イングリッシュ・ペイシェント』は1996年公開、砂漠を舞台にした大河ロマンでアカデミー賞作品賞を受賞した。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
イレインの気持ちが分かる日が来るとは思わなかった。上映時間が長いんじゃなくて、砂漠のシーンが長いんだよあれは。
6. 名無しのReddit住民
『アイリッシュマン』。三時間半かけて、若返り加工をされた老人たちがゆっくり車に乗り、ゆっくり車から降りる。ラスト三十分は本当に素晴らしいんだけど、そこに辿り着くまでが完全に行軍だった。
※『アイリッシュマン』は2019年公開、マーティン・スコセッシ監督のNetflix作品。上映時間209分。デジタル処理で高齢の俳優を若く見せる技術が公開当時に話題を集めた。
7. 名無しのReddit住民
『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』、本当に頑張った。三回に分けて観てまだ真ん中あたりで止まってる。『ギャング・オブ・ニューヨーク』も監督編集版で放置したままだし、どうやら自分はスコセッシの長尺と相性が悪いらしい。
※『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』は2023年公開の206分。1920年代、石油で富を得た先住民オセージ族が次々に殺された実在の事件が題材。『ギャング・オブ・ニューヨーク』は2002年公開、19世紀ニューヨークの移民同士の抗争を描いた作品。
8. 名無しのReddit住民
『2001年宇宙の旅』。二十分くらいでだいたい寝るか、席を立ってる。歴史的に偉大なのは分かってるつもりなんだけど、猿が骨を振り回してる段階でもう瞼が重いんだ。
※『2001年宇宙の旅』は1968年公開、スタンリー・キューブリック監督のSF。台詞が極端に少なく、映像と音楽で見せる作風で「映画史上最高」の常連に挙げられる。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
それ、家のテレビで観てないか。あれは劇場の音響を浴びる映画で、音のない宇宙空間に呼吸音だけが延々と続く時間に耐えられるかどうかが全てなんだよ。配信で一時停止した瞬間に、もう別の映画になってる。10. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
このスレ、上から下まで2001だらけでもう笑ってる。ついでに白状すると自分は『ブレードランナー』も同じ理由で駄目だった。雰囲気は文句なしなのに、話の筋は序盤で読めてしまう。
※『ブレードランナー』は1982年公開、リドリー・スコット監督。雨と巨大看板の未来都市という画作りが後のSF作品に強い影響を与えたが、物語自体は静かにゆっくり進む。
11. 名無しのReddit住民
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。自分の頭が悪いだけかもしれないけど、途中から画面の情報量に脳が追いつかなくて、みんなが泣いてる場面で「今どの宇宙の話だっけ」と考えてた。
※ 2022年公開。コインランドリーを営む移民女性が並行世界を飛び回るSFコメディで、アカデミー賞7部門を受賞した。
12. 名無しのReddit住民
『ラ・ラ・ランド』。……うん、歌もダンスも悪くないよ。ただ売れない二人の停滞を延々と見せられたあとにあの終わり方をされると、結局この二時間で何を持って帰ればよかったのか分からなくなる。
※ 2016年公開のミュージカル映画。ロサンゼルスを舞台に、女優志望の女性とジャズピアニストの恋を描く。
13. 名無しのReddit住民
『レ・ミゼラブル』。画面いっぱいの顔が二時間半ずっと歌ってる。舞台で観たときは震えたのに、映画だと鼻の穴の奥まで見えてしまって、感動どころじゃなかった。
※ 2012年公開。ヴィクトル・ユゴーの小説を原作にしたミュージカルの映画版で、俳優が実際に歌っている様子を顔のアップで撮り続ける演出が特徴。
14. 名無しのReddit住民
『市民ケーン』が自分の永遠の答え。技術的にとんでもないのは授業でも習った。でも「すごい発明が詰まってる」と「面白い」は別の話なんだよ。これを言うと毎回怒られるんだけどね。
※ 1941年公開、オーソン・ウェルズ監督。新聞王の生涯を関係者の回想で組み立てていく構成。撮影・編集の技法が後世に与えた影響から、長年「史上最高の映画」の代表格とされてきた。
15. 名無しのReddit住民
賞狙いの映画はだいたいこれになる。実話が下敷きで、時代設定が重くて、主演が役作りで体重を増減してる。たまに事故みたいに面白いのが混ざるけど、基本は賞のために作られた味がするんだよ。
※ 英語圏では賞レースを露骨に意識して作られた作品を「オスカー・ベイト(賞の餌)」と呼び、揶揄の意味を込めて使う。
16. 名無しのReddit住民
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。演技が異常に上手いのは分かる。ただ二時間半、油まみれの偏屈な男がひたすら嫌な人間になっていくのを見届けるだけで、終わったとき部屋が妙に静かになった。
※ 2007年公開、ポール・トーマス・アンダーソン監督。20世紀初頭のアメリカで石油を掘り当てた男の転落を描く。主演のダニエル・デイ=ルイスがアカデミー主演男優賞を受賞。
17. 名無しのReddit住民
これ前にも何回か書いてるんだけど。『ミスト』が本当に嫌いだった。ここの連中がラストのどんでん返しを絶賛しまくるから期待して観たのに、全編つまらないし結末も別に大したことないだろ、とずっと思ってた。……で、後から分かったんだけど、自分が観てたのは『ザ・フォッグ』だった。
※『ミスト』は2007年公開、スティーヴン・キング原作のホラーで、後味の悪い結末が語り草になっている。『ザ・フォッグ』は2005年公開のまったく別の作品(1980年版のリメイク)。どちらも霧が出てくるので混同しやすい。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
一行あたりの情報量が多すぎる。何年間まちがった映画に怒ってたんだよ。今から本物を観て、そのあと同じ文章をもう一回書いてくれ。全員待ってるから。
19. 名無しのReddit住民
『アバター』。映像は確かにとんでもなかった。ただ話の筋は最初の三十分で全部読めてしまって、あとは綺麗な森を見せられてる時間だった。眠くなったのは劇場の椅子のせいじゃないと思う。
※ 2009年公開、ジェームズ・キャメロン監督。3D映像の完成度で世界的な大ヒットとなり、興行収入の記録を塗り替えた。
20. 名無しのReddit住民
『ゴッドファーザー』は正直まったくピンとこなかった。要するに三時間、同じ顔ぶれが場所をちょっとずつ変えながら打ち合わせをしてるだけなんだよ。
※ 1972年公開、フランシス・フォード・コッポラ監督。イタリア系マフィアの一家の世代交代を描き、映画史の頂点として語られることが多い。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
その打ち合わせで誰が死ぬか決まってるのが面白いんだって。誰がどの席に座ってるか、誰が最初に口を開くかで力関係が動いていくのを追い始めると、急に画面から目が離せなくなる。合わないなら仕方ないけど、二回目は本当に別の映画に見えるよ。
22. 名無しのReddit住民
『ロスト・イン・トランスレーション』。序盤で置いていかれて、内容をひとつも覚えてない。ホテルのバーで二人がぼんやりしてた絵だけが残ってる。
※ 2003年公開、ソフィア・コッポラ監督。東京のホテルで出会ったアメリカ人二人の、恋とも友情ともつかない数日間を描く。
23. 名無しのReddit住民
『DUNE/デューン 砂の惑星』、五回挑戦して五回とも寝た。みんなが大好きなのは知ってる。ただ砂の上で低い声の人たちが預言について語り合う時間が、自分にとっては完全に子守唄なんだ。
※ 2021年公開、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。フランク・ハーバートのSF小説が原作で、香料をめぐる砂の惑星の勢力争いを描く。
24. 名無しのReddit住民(>>23への返信)
五回寝てまだ六回目を考えてるところが偉い。一度だけ音量を上げて観てみてくれ。あれは砂嵐と機械の低音を体に当てる映画だから、静かに観るとただの政治劇になっちゃうんだよ。
25. 名無しのReddit住民
『インターステラー』。頑張ったよ、本当に。でも三時間かけて監督から「お前はここまで説明しないと分からないだろ」と言われ続けてる気分になって、途中から劇場を抜け出す口実を真剣に考えてた。
※ 2014年公開、クリストファー・ノーラン監督のSF。重力による時間の進み方の違いを軸にした父娘の物語で、劇中で理論を説明する台詞の多さがよく話題になる。
26. 名無しのReddit住民
『世界にひとつのプレイブック』。絶賛レビューを読み込んでから劇場に行って、コメディなのに笑ったのは一回、それも鼻から軽く息が出た程度だった。ついでに言うと『ビッグ・リボウスキ』も未だに何がいいのか分からない。『赤ちゃん泥棒』は人生で一番好きなコメディなのに、だ。
※『世界にひとつのプレイブック』は2012年公開の恋愛コメディ。『ビッグ・リボウスキ』(1998年)と『赤ちゃん泥棒』(1987年)はどちらもコーエン兄弟の作品で、前者は熱狂的な信者を持つカルト的人気作。
27. 名無しのReddit住民
『ロード・オブ・ザ・リング』。ここでの評判があまりに良いから、そのうち面白くなると信じて二作目の途中まで進んで、そこで諦めた。誰が指輪を持っているかに、最後まで一ミリも興味が湧かなかったんだ。
※ 2001〜2003年に公開された三部作。J・R・R・トールキンの小説が原作で、シリーズ合計でアカデミー賞17部門を受賞している。
28. 名無しのReddit住民(>>27への返信)
まさかとは思うけど、延長版で入ってないよな。あれは三本で十一時間あるから、合わない人間が入り口に選ぶとただの拷問になるぞ。
29. 名無しのReddit住民
泣ける名作枠が自分の中で全滅してる。『きみに読む物語』も『マディソン郡の橋』も『風と共に去りぬ』も、周りが鼻をすすってる横でずっと真顔だった。感情が壊れてるのかと思って何年か置いて観直したけど、結果は同じだったよ。
※『きみに読む物語』(2004年)は老人ホームで語られる初恋の物語、『マディソン郡の橋』(1995年)は農村の主婦と写真家の四日間の恋、『風と共に去りぬ』(1939年)は南北戦争を背景にした大作。いずれも恋愛映画の定番として名前が挙がる。
30. 名無しのReddit住民
最近だと『罪人たち』かな。今年一番みたいな空気になってたけど、自分には何の映画になりたいのか決めきれてないように見えた。『ANORA アノーラ』も『哀れなるものたち』も似た感想。あと最後に言っておくと、『ストーカー』を心から面白いと言ってる映画好きの何割かは、周りに合わせてるだけだと今でも本気で疑ってる。
※『罪人たち』は2025年公開、ライアン・クーグラー監督(原題 Sinners)。『ANORA アノーラ』(2024年)と『哀れなるものたち』(2023年)はいずれもアカデミー賞やカンヌで高い評価を受けた作品。『ストーカー』は1979年のアンドレイ・タルコフスキー監督作で、極端に長い長回しで知られるソ連のSF。
まとめ
並んだ作品を眺めると、ひとつの傾向が見えてくる。上映時間が長い、台詞よりも間で見せる、そして「賞を獲った」という情報が観る前に耳へ入っている。この三つが揃うと、作品そのものより先に期待値が肥大して、実際の画面がその重さに追いつかなくなるらしい。逆に擁護側の言い分もほぼ一本に収束していて、劇場で観たか、二回目を観たか、音を大きくしたか——つまり「同じ映画でも受け取り方の条件がまるで違う」という主張だった。
日本でも、名画座の定番や「死ぬまでに観るべき」リストの常連ほど、正直な感想を口にしづらい空気がある。このスレッドが伸びたのは、誰かが最初に寝落ちを白状したことで、後ろに並んでいた人たちが一斉に手を挙げられたからだろう。ちなみに眠かった作品を挙げた人の多くが、同じ監督の別作品は大好きだと付け加えているのも面白いところで、相性の問題を「自分の理解力不足」だと思い込む必要はなさそうだ。皆さんは、世間の評価がとても高いのに、どうしても最後まで乗れなかった映画はありますか?

コメント
フレンチコネクション見てみるといい。
パクられまくって刑事もののあるあるネタの宝庫になっちゃってる。凄い作品では
あるが現在では純粋に観ろとは言えない。
名作であるが故の宿命ですな。
それでも地下鉄ホームの乗り降りサスペンスは未だに追随を許してないと思う。まだギリギリ観る価値はある。