「これ、最初に食べた人はいったい何を考えてたんだ?」と思う食べ物は何か。海外の掲示板でそんな質問が投げられ、チーズやウニから、丸一日水に晒さないと中毒を起こす芋、ジャコウネコの糞から拾い出すコーヒー豆まで、人類の食に対する執念がずらりと並びました。笑い話のようでいて、読み進めるほど「よくそこまで辿り着いたな」という感心のほうが勝ってきます。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
チーズ。大昔に誰かが、どう見てももう牛乳じゃなくなったものを口に入れたわけでしょ。よっぽど腹が減っていたのか、それとも何も考えていなかったのか。自分は今それを毎日ありがたく食べてるけど、第一号の勇気だけは一生理解できる気がしない。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
チーズは他の発酵食品と違って、放っておいて勝手にできるものじゃないよ。最初は酸で乳が固まったのがたまたまで、そこで分かれた固まりのほうが旨いと気づいて、固まりだけを集めるようになった。あとは塩を振って乾かす。冷蔵庫のない時代に食べ物を持たせる方法としては、それが最適解だっただけの話だと思う。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
チーズ作りの教室で聞いたんだけど、動物の胃袋を袋がわりにして乳を運んでいたのが始まり、という説が有力らしい。胃に残っていた酵素と、移動中の揺れで勝手に固まって、着いてから開けたら中身が固形になっていた。そこから先を人間が引き継いだ、と。
4. 名無しのReddit住民
キャッサバ。皮をむいて18〜24時間は水に浸けて、それからやっと火を通す。この工程を飛ばすと普通に青酸中毒を起こす。芋のくせに、手順を一つ間違えたら死ぬんだよ。食材としての難易度が高すぎる。
※ キャッサバ=タピオカの原料になる芋。熱帯地域では主食のひとつだが、生のままだと有毒な成分を含み、品種によっては丁寧な水晒しが必要になる。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
スペインのオレリャーナ隊が初めてアマゾンを下ったときの記録を読んだことがある。何日も食べていない状態でキャッサバ畑に行き当たって、そのまま口にした一団が100人以上まとめて倒れたらしい。『River of Darkness』という本に出てくる話。飢えている人間に「まず18時間待て」は無理だよな。6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
そこまで大げさな食べ物じゃないよ。安いからうちは毎日食べてる。皮を厚めにむいて茹でるだけ。ただ柔らかくなるまで茹でるのが本当に長くて、半煮えだとゴリゴリして食えたものじゃない。品種によって毒の強さが全然違うんだと思う。
7. 名無しのReddit住民
ウニ。海の底に転がっているトゲだらけの物体を拾い上げて、割って中身を食おうと最初に考えた人の思考回路をぜひ知りたい。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
「触ると痛いあの動く岩、食ってみようぜ」の時点でもう相当なのに、そこから「ただし全部じゃない、中のドロドロも違う、生殖巣のところだけだ」まで詰めきったのが異常だと思う。何回失敗したらその結論に辿り着くんだよ。
9. 名無しのReddit住民
フグ。最初の一人は食べて死んだ。次の誰かが「食べられるようにできるかもしれない」と考えて、たぶんその人も死んだ。それでも諦めずに調理法を組み上げて、今では免許と試験まである。試験の最後は自分でさばいた身を自分で食べる、と聞いたことがあるんだけど本当なんだろうか。
10. 名無しのReddit住民
生牡蠣。あの殻をこじ開けて、中のぬめっとした塊を覗き込んで「よし、これは食える」と決断した人がいるんだよな。友人はあれを殻に乗った鼻水と呼んでいて、言われてみると確かにそう見えるので、余計に第一号がすごい。
11. 名無しのReddit住民
ロブスター。海底を歩き回っている巨大な虫みたいなあれを見て、よし鍋に放り込もうと言い出した人。しかもそれが今では高級品ということになっているのが、二重におかしい。
12. 名無しのReddit住民
唐辛子。口の中が焼けるように痛くなる実を、危ないと分かったうえで「これは料理に使える」まで持っていった判断が本当にすごい。見つけてくれた人には真面目に感謝している。
13. 名無しのReddit住民
キノコ。新石器時代あたりの誰かが、どれがスープに合うか、どれが体の中身を全部出させるか、どれが神様を見せてくるかを、一つずつ確かめていったわけでしょ。ハイになった人と死んだ人と腹を壊した人が何百世代分も積み上がって、ようやく今のキノコ売り場がある。
14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
しかもその選別作業、今でも終わってないからね。毎年どこかで、そっくりな見た目のやつを取り違えて食べた人のニュースが出る。何千年やってまだ間違えるって、キノコ側が強すぎるだろ。
15. 名無しのReddit住民
アーモンド。野生のアーモンドはどれも有毒らしいんだよ。なのに誰かがたった一本だけ性質の違う木を見つけて、それを絶やさずに増やした。しかも周りの人間を「いや、この木のやつだけは大丈夫だから、本当に」と説得までしたわけでしょ。信用するほうもどうかしてる。
16. 名無しのReddit住民
シナモン。そもそも木の皮という時点で食べ物の候補に入らない。しかも外側の皮は使えなくて、それを削ぎ落とした内側だけを乾かして丸める。あの木を食べることに対する執念が異常だと思う。
17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
サフランもいい勝負だと思う。花の中心のめしべを三本だけ、手で抜いて乾かす。ひとつまみ集めるのに何百輪も要る。最初にやり始めた人はよほど暇だったのか、それとも何かに取り憑かれていたのか。
※ サフラン=クロッカスの一種の花のめしべを乾燥させた香辛料。重さあたりの値段が最も高い香辛料と言われ、パエリアやブイヤベースの色と香りづけに使われる。
18. 名無しのReddit住民
チョコレート。ざっくり書くと、実を割って種を取り出し、四日から八日ほど発酵させ、乾かし、焙って、殻を割って中身を取り出し、すりつぶして、砂糖と乳を混ぜて、練って、温度を調整して型に流す。この十一手を偶然でやり切れるわけがないんだよ。
19. 名無しのReddit住民
コピ・ルアク。ジャコウネコの糞から拾い出したコーヒー豆のことね。実際に地面にしゃがみ込んで、動物の落とし物を眺めながら「これを煮て飲もう」と口に出した人間がいるという事実が、いまだに信じられない。
※ コピ・ルアク=インドネシア産の高級コーヒー。ジャコウネコが食べたコーヒーの実のうち、消化されずに残った種を糞から回収して洗浄・焙煎したもの。
20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
これ一応、理屈はあるらしいよ。ジャコウネコはよく熟した実だけを選んで食べるから、糞の中の豆は選別済みという考え方。ただ今出回っているものの多くは、狭い檻に入れた個体に無理やり食べさせて作っているという話も出ていて、そっちのほうがよほど後味が悪い。
21. 名無しのReddit住民
アキー。ジャマイカでよく食べられている果物なんだけど、熟していないうちは全体が有毒で、しかも熟したかどうかの見極めがかなりシビア。缶詰で当たった人までいるくらい。ここに辿り着くまでの試行錯誤を想像すると胃が痛くなってくる。
※ アキー=ジャマイカの国民的な果物。塩漬け鱈と炒め合わせた「アキー・アンド・ソルトフィッシュ」が国民食で、実がぱっくり割れるまで待たないと有毒な成分が残る。
22. 名無しのReddit住民
クルアックの実。毒を抜くために、流れる水に何十日も晒しておかないといけない。数時間でも数日でもなく、月の単位で待つんだよ。誰がその途中経過をずっと確かめ続けたんだ。
※ クルアック=インドネシアやマレーシアで使われる黒い木の実。発酵と水晒しを経て黒くなり、牛肉スープのラワンなどに独特のコクを出す材料として使われる。
23. 名無しのReddit住民
ハカール。獲れたてのニシオンデンザメは体に尿素が回っていて、そのままでは食べられない。地面に埋めて何ヶ月か置いて、やっと口に入れられる状態になる。それでもアンモニアの匂いは残る。アイスランドで実物を試したけど、感想はテレビでやっていた例の反応とまったく同じだった。
※ ハカール=アイスランドの伝統食。ニシオンデンザメの肉を土に埋めて発酵させ、その後さらに干して作る。冷蔵も塩も乏しい土地で保存食を確保するための知恵だったと言われる。
24. 名無しのReddit住民(>>23への返信)
北欧つながりでルーテフィスクも挙げておきたい。干した鱈を灰汁に漬けて戻すやつね。ぷるぷるのゼリーみたいな見た目になる。あれも「まず魚を灰の水に漬けよう」という発想が、どう考えても普通は出てこない。
※ ルーテフィスク=ノルウェーやスウェーデンのクリスマス料理。干し鱈を灰汁(アルカリ性の水)で戻すと身がゼリー状になり、バターやベーコンと合わせて食べる。
25. 名無しのReddit住民
魚醤。仕込みの途中は正直かなりきついし、匂いも相当なものになる。それでも出来上がったものを一滴入れるだけで、料理の輪郭が全部そろう。あの過程に耐え抜いた最初の人には頭が上がらない。
26. 名無しのReddit住民(>>25への返信)
日本の納豆も人のことは言えないと思う。豆を藁に包んで置いておいて、糸を引いているのを見て「よし、食える」と判断した人がいるわけでしょ。あとホヤ。あれは見た目の時点で食べ物の枠から一回外れてる。どこの国も似たようなことをやってるんだよ。
27. 名無しのReddit住民
カース・マルツゥ。サルデーニャ島のチーズで、中でハエの幼虫を育てて熟成させる。虫が動いている状態が食べ頃とされているらしい。もう一歩踏み込んでみよう、という人類の癖が完全に振り切れた例だと思ってる。
※ カース・マルツゥ=イタリア・サルデーニャ島の羊乳チーズ。チーズバエの幼虫が中を食べ進むことで独特のとろみと風味が出る。現在は流通が厳しく制限されている。
28. 名無しのReddit住民
バターがまだ出ていないのが意外なんだけど。うちの機械なら10分ちょっとで終わる。でも手でやったら、一時間近く生クリームをかき混ぜ続けることになるんだよ。誰が一時間ひたすら混ぜ続けようと思ったんだ。その日はよほど暇だったに違いない。
29. 名無しのReddit住民
ポークウィード。何度も茹でこぼさないと食べられるようにならない植物って、冷静に考えるとおかしいでしょ。一度失敗して「待てよ、もう一回茹でたらどうだ?」に進む流れが謎すぎる。……と書いたところで、日本のワラビも灰でアクを抜くらしいと思い出した。どこの国でも同じことをやってるんだな。
※ ポークウィード=ヨウシュヤマゴボウの近縁種。アメリカ南部では若芽を数回茹でこぼして食べる習慣があり、下処理を省くと中毒を起こす。
30. 名無しのReddit住民
この手のスレでみんな忘れがちだけど、ここに挙がった食べ物の多くは人間が発見したものじゃなくて、もっと古い祖先から引き継いだものだよ。他の動物が普通に食べているものも結構ある。ゼロから体を張った勇者が毎回いたというより、群れの記憶が延々と受け渡されてきた結果だと思う。そう考えると、少しだけ腑に落ちる。
まとめ
並んだ食べ物を眺めていくと、驚きの理由が三種類に分かれているのが見えてきます。ひとつは、キャッサバやアキー、クルアック、フグのように毒を抜くための手順が異様に長いもの。ふたつめは、チーズや魚醤、ハカールのように腐敗と発酵の境目を人間が見極めてしまったもの。そして三つめが、ウニや牡蠣、ロブスターのようにそもそも見た目が食べ物に見えないものです。
面白いのは、最後のコメントが「多くは発見ではなく相続だ」と釘を刺していること。誰か一人の英雄が体を張ったのではなく、うまくいった手順だけが世代をまたいで残っていった。長い水晒しも、何度も茹でこぼす手間も、そうやって選び抜かれた結果だと考えると、あの面倒な工程が急に理にかなって見えてきます。納豆やホヤ、山菜のアク抜きが同じ文脈で挙がっていたのも、そう考えれば当然の話です。
皆さんが「よくこれを食べようと思ったな」と感心する食べ物は何ですか?

コメント
食物の困難を乗り越えた人類をたたえるべき
食物&人種の差別スレに堕落してはいけない