面白かったはずなのに、観終わったあと何かが喉に引っかかったまま残る映画がある。r/AskReddit に「ラストがどうしても腑に落ちなかった映画は?」という質問が立ち、名作扱いされている作品ほど容赦なく槍玉に挙げられていた。原作改変への恨み、キャラクターの扱いへの怒り、そして「いや、あの終わり方で正解だった」という擁護まで、二十年越しの言い分が一気に噴き出している。
※ 以下、各作品の結末に触れます。未見の作品がある方はご注意ください。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
『アイ・アム・レジェンド』の映画版、そもそも筋が通ってない。しかも唯一ちょっとは意味が通る結末のほうを、公開版では丸ごと切ってるんだよな。原作だと敵は知能のある吸血鬼で、主人公は昼のあいだに向こうの巣を狩りに出ていく。ただ生き延びてるんじゃなくて、あいつらから見れば彼こそが「夜に現れる化け物」なんだ。最後にそれを自覚するから、あのタイトルが刺さる。映画はその構造を全部捨てた。
※『アイ・アム・レジェンド』…2007年公開のウィル・スミス主演SF。ウイルスで人類が死滅した世界に、免疫を持つ主人公が独りニューヨークで生き残る話。原作はリチャード・マシスンが1954年に書いた小説『地球最後の男』(近年は『アイ・アム・レジェンド』の題でも訳されている)。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
言われてみれば納得なんだけど、今の今まであれが吸血鬼の設定だとは知らなかった。完全にゾンビ系のウイルスもののつもりで観てたわ。知能がある前提だと、廃墟の使い方から何から意味が変わってくるな。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
原作、そんな話だったのか。映画のほうは最後まで「主人公=人類側の英雄」の線で押し切ってるもんな。タイトルの意味がひっくり返る仕掛けを捨ててるなら、確かに別物だわ。自分は犬のくだりばかり覚えてて、そこで泣いて満足してた側だから余計にくやしい。
4. 名無しのReddit住民
『パッセンジャー』だな。原子炉のくだりのあと、彼を蘇生させて末永く幸せに、じゃなくて、彼女ひとりが残されて「他人を勝手に叩き起こしていいのか」という問いを抱えたまま終わるべきだった。あの一手で全部帳消しになった気がする。
※『パッセンジャー』…2016年公開のSFドラマ。120年かかる移住船の航行中、冷凍睡眠から一人だけ90年早く目覚めてしまった男(クリス・プラット)が、孤独に耐えかねて女性乗客(ジェニファー・ローレンス)の睡眠装置を勝手に解除してしまう。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
プラットが最後に死んで、そこから半年後にカット。ローレンスが、序盤で「この中の人と会ったら友達になれるかな」って眺めていたポッドの前に立っている。これで終わっていれば完璧だったんだよ。ボタン一つで自分の孤独を終わらせられる、ただし他人の人生と引き換えに、っていうこの映画の芯がちゃんと残る。6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
企画書の段階だと「極限の孤独に壊れた男が、話し相手ほしさに他人を自分と同じ地獄へ引きずり込む」っていう相当エグい話なんだよな。それが実際に出来上がると「でもその男は軽口の上手い超イケメンスターなので、選ばれた女性(こちらも美人スター)は許してくれて、爽やかなハッピーエンド」になってる。同じ話とは思えない。
7. 名無しのReddit住民
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』。三作かけて時間をいじった尻拭いをしてきたのに、最後にドクが「まあ細かいことはいいじゃないか」みたいな顔で時間旅行できる列車に乗って出てくる。シリーズが積み上げた大原則を、自分で蹴っ飛ばして帰っていったようにしか見えなかった。
※『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』…1990年公開のシリーズ完結編。舞台は1885年の西部。過去に手を入れると未来が壊れる、というのが三部作を通じたルールになっている。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
いやあれ、ドクがクララを助けた時点でもう詰んでるんだよ。谷に落ちて死ぬはずだった教師を救ってしまった以上、歴史を「直す」にはクララに消えてもらうしかない。殺す以外の逃げ道が、連れて行くことしか残ってなかった。ホバーボードを持ち帰ってるんだから列車を仕立てる技術もある。理屈はちゃんと通ってると思うよ。
9. 名無しのReddit住民
1977年の『スター・ウォーズ/新たなる希望』。チューバッカだけメダルもらえてないだろ。四十年以上経ってるけど、あそこだけは今でも納得いってない。
※『スター・ウォーズ/新たなる希望』…1977年公開のシリーズ第1作。ラストの表彰式でルークとハン・ソロは勲章を授けられるが、同じ功労者であるチューバッカだけ何ももらえないまま式が終わる。
10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
たぶんあの毛量だと、首輪につける迷子札みたいに見えちゃうからだと思う。狂犬病の予防接種済みタグの隣に並べておけばちょうどいい。
11. 名無しのReddit住民
『ミスト』。あれは本当にきつい。正しいと思ってやったことが、たまたま少しだけ早すぎた。その直後に救助が来る。あと三十秒待っていれば全部違っていた。ただ、あそこまでのことがあれば、もう望みはないと判断するのも分かるんだよ。だから余計にしんどい。何年経っても、うまくいかない日にふっと思い出す。
※『ミスト』…2007年公開。スティーヴン・キング原作のホラー。突然現れた濃霧とそこに潜む怪物によって、スーパーマーケットに閉じ込められた人々を描く。結末は原作小説とはまったく別のものになっている。
12. 名無しのReddit住民(>>11への返信)
しかもあの終わり方は原作にはない映画オリジナルなんだよな。キング本人が「これを自分で思いつきたかった」といった趣旨のことを言っていたはず。普段は自作を改変されるのを嫌がる人だから、それだけでも相当な評価だと思う。自分は一人で観たせいで、エンドロールが終わるまで五分くらい椅子から動けなかった。
13. 名無しのReddit住民
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』。エリザベスは囚われのお姫様から海賊の頭領まで上りつめた、シリーズで一番きれいな成長曲線を描いたキャラなんだ。十年間呪われた船で海に出る役目は、どう考えても彼女のほうが似合っていた。もともと海賊になりたくなかったウィルが陸で子どもを育てて、鍛冶をやって待っていればいい。それなのに結論が「はい台所に戻って子どもと待っててね」だからな。
※『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』…2007年公開のシリーズ第3作。ヒロインのエリザベス・スワンは総督の令嬢から海賊の頭領へと成り上がり、恋人のウィル・ターナーは呪いを背負って十年に一度しか陸に上がれない船長になる、というのが結末。
14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
自分はあのラストで納得してる。彼女、最後にはもう十分やり切ってたと思うんだよ。海賊になるのが夢で、実際に頭領まで登りつめて、デイヴィ・ジョーンズを倒す戦いにも出た。着たくもないドレスを着せられる暮らしからは完全に抜け出してる。ウィルのほうも本当は乗り気じゃなくて、父親のことがあるから自分が背負うべきだと思ってた側だ。エリザベスは海賊の心を持ってはいたけど、宴が終わったあとも会場に残るタイプじゃない。船の上で野垂れ死ぬのも島で飢えるのも望んでないでしょ。午後に子どもと剣の稽古くらいはしてるって。
15. 名無しのReddit住民
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』。ベンは生き残るべきだった。悪役が改心して、そのうえで生きて背負っていくラストなら、シリーズの中で明らかに違う顔になったはずなんだ。あそこで消えられると、直前の数分間の記憶がまるごと飛ぶ。実際あのあとの十分、何が起きたか覚えてない。
※『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』…2019年公開の続三部作の完結編。敵役カイロ・レン(本名ベン・ソロ)が終盤で改心してヒロインのレイを救うが、そのまま力尽きて姿が消える。
16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
自分はレイが生き残るのは別にいいんだけど、最後にスカイウォーカーを名乗るのは筋が悪いと思った。パルパティーンの血だのスカイウォーカーの看板だのに寄りかからなくても、レイはただのレイでいい。誰の子でもない人間のまま終われたはずだし、そのほうがずっと三部作らしかった。
17. 名無しのReddit住民
『ソウ』。床に転がってるあの男、最後まで一ミリも動かずに寝ていられるわけないだろ。それにどの仕掛けにも一応「解き方」が用意されてるはずなのに、浴槽の男だけは開始三秒で鍵が排水口に落ちて回収不能になる。あれだけ最初から詰んでるのは、ルールとして不公平すぎる。
※『ソウ』…2004年公開のホラー。目覚めると密室に鎖でつながれていた男二人が、脱出のための「ゲーム」を強いられる。以降シリーズ化された。
18. 名無しのReddit住民
『タイタニック』。ローズはあのあと夫と子どもと孫に囲まれて長い人生を送ったわけだよな。それで死ぬ間際に意識が戻っていく先が、船の上で数日だけ一緒にいた相手なのか、と。残された家族の側に立つと、あの美しいラストが急に別の顔をしてくる。
※『タイタニック』…1997年公開。実際の豪華客船の沈没事故を舞台にした恋愛映画。老年になったローズが当時を回想する形で物語が進む。
19. 名無しのReddit住民(>>18への返信)
あれは恋愛の話としてじゃなくて、その数日で人生が丸ごと書き換わった人の話として観るとしっくりくるよ。決められた婚約から逃げて自分で人生を選び直したのがあの船の上なんだから、最後に意識が戻る場所としては筋が通ってる。夫や子どもが軽んじられてるわけじゃないと思うんだよな。
20. 名無しのReddit住民
『ゴーン・ガール』。警察も周りも妻がクロだと分かっているのに、「まあどうにもならないね」で幕が下りる。あれを消化不良と取るか、そここそが一番怖いところと取るかで評価がまっぷたつに割れる映画だと思う。自分は劇場を出たあと三日くらい機嫌が悪かった。
※『ゴーン・ガール』…2014年公開のサスペンス。結婚記念日に妻が失踪し、夫が世間から容疑者として追い詰められていく。
21. 名無しのReddit住民
『ラ・ラ・ランド』。ああするしかなかったのは頭では分かってる。分かってるけど、あの二人には一緒にいてほしかったんだ。理屈で納得することと、気持ちが納得することはまったく別だからな。今でもあのピアノが流れると身構える。
※『ラ・ラ・ランド』…2016年公開のミュージカル映画。女優志望の女性とジャズピアニストの男性が、それぞれの夢を追いながら恋に落ちる。
22. 名無しのReddit住民(>>21への返信)
逆にあの終わり方以外だったら、今ごろ誰も話題にしてないと思うんだよね。「こうなっていたかもしれない人生」を全部見せきってから現実に戻すのがえげつない。おかげで観客のほうが宿題を抱えて劇場を出ることになる。気持ちよく終われないのは、あれがちゃんと機能してる証拠だと思ってる。
23. 名無しのReddit住民
『インターステラー』。三時間ずっと物理と重力の話で殴られ続けてきたのに、最終的な決め手が愛だと言われた瞬間に置いていかれた。父と娘の話としては普通に泣いたよ。でもそこまで積み上げたものとは別の言語で締められた感じがして、席を立つときに少しだけ気持ちが冷めてた。
※『インターステラー』…2014年公開のSF。居住不能になりつつある地球を離れ、移住先の惑星を探しに行く宇宙飛行士と、地球に残された娘の物語。
24. 名無しのReddit住民
『サイン』。水だぞ、水。光年の距離を越えて侵略しに来られる連中が、水を浴びると死ぬ。この星、七割が水なんだが。しかも空から降ってくることもあるんだが。あれを劇場で観たときに隣の人と目が合った感じ、いまだに覚えてる。
※『サイン』…2002年公開。M・ナイト・シャマラン監督のSFスリラー。農場に現れたミステリーサークルをきっかけに、異星人の襲来へと話が転がっていく。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
あれ実はSFじゃなくて、信仰を失った元牧師が信じる力を取り戻すまでの話なんだよ。異星人は舞台装置で、水も「無駄なことは一つもなかった」という結論にたどり着くための駒でしかない。そう思って観直すと腹の立ち方がだいぶ変わる。まあそれでも水はどうかと思うけどね。
26. 名無しのReddit住民
『ゼロ・グラビティ』。あれだけの目に遭って地球に落ちてきて、湖から上がって、そのまま普通に立って歩いていくところで完全に冷めた。それまでは重力に何をされても信じて観ていたのに、最後の一分でいきなり嘘くさくなる。湖の底で終わっていたら、たぶん一生忘れない映画になってた。
※『ゼロ・グラビティ』…2013年公開のSF。原題は Gravity。船外作業中の事故で宇宙空間に放り出された女性宇宙飛行士が、地球への生還を目指す。
27. 名無しのReddit住民
『プラダを着た悪魔』。最後だけ、昔の映画が検閲基準に合わせて無理やり付け足した教訓みたいな着地をするんだよ。本編であれだけ仕事の面白さと業の深さを描いておいて、締めが「やっぱり大切なものは別にありました」なのは取ってつけた感じがしてしまう。
※『プラダを着た悪魔』…2006年公開。ジャーナリスト志望の新人が、一流ファッション誌のカリスマ編集長のアシスタントとして働きはじめる話。
28. 名無しのReddit住民
『リトル・マーメイド』。久しぶりに通しで観返して気づいたんだけど、あの子、声も居場所も種族も全部差し出して男のところへ行くんだよな。数年前にみんなが怒っていたのが歌詞のほうだったの、今になって考えると不思議な話だわ。
※『リトル・マーメイド』…1989年公開のディズニーのアニメーション映画。人間の王子に恋した人魚のアリエルが、自分の声と引き換えに人間の足を手に入れる。
29. 名無しのReddit住民
『ブレックファスト・クラブ』。最後にみんな打ち解けて終わるのはいいんだけど、ベンダーは校長から居残り八回分をまだ食らってるし、壊した設備の弁償だって残ってるからな。心は通じ合ったけど月曜からの現実は一ミリも解決していない。
※『ブレックファスト・クラブ』…1985年公開の青春映画。土曜日の居残り処分でたまたま顔を合わせた、まったくタイプの違う高校生五人の一日を描く。
30. 名無しのReddit住民
『フライト』。導入も墜落シーンも二幕目も、あそこまでは完璧なんだよ。機体の整備不良が原因で、主人公が操縦していなければ全員死んでいて、関係者は全員が責任逃れに走っていて、彼の依存症が表に出た瞬間に責任の追及がそこで止まる。ここまで丁寧に積んでおいて、最後の見せ場が「自分は依存症だと公にして、事故の責任を引き受ける」なんだ。実際に落とした側は無傷のままで。人間としての成長の話にしたかったんだろうけど、出来上がったのは司法の取りこぼしの話になってる。
※『フライト』…2012年公開。デンゼル・ワシントン演じるベテラン機長が、制御不能になった旅客機を離れ業で不時着させるものの、事故調査の過程で自身のアルコール依存が問われていく。
まとめ
並べてみると、腹の立ち方はだいたい三種類に分かれる。ひとつは原作からの改変で、『アイ・アム・レジェンド』や『ミスト』のように、結末を差し替えたこと自体が二十年近く議論の的になり続けている。ふたつめはキャラクターの扱いで、エリザベス・スワンやベン・ソロのように、そこまで丁寧に積み上げた道筋と最後の一手が噛み合わない。みっつめは、その作品自身が最初に敷いたルールを最後の数分で破ってしまうパターンで、『インターステラー』や『サイン』への文句はほとんどここに集まっている。面白いのは、誰ひとり「つまらなかった」とは言っていないことだ。むしろ本編を強く信じていた人ほど、最後の数分に裏切られたと感じている。そして『ミスト』や『ラ・ラ・ランド』のように、まったく同じラストが別の人にとっては最大の美点になっているのも、この手のスレッドの醍醐味だと思う。皆さんが今でも引っかかっている映画のラストは、どれですか?

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