「なんとなく体がおかしい気がする」。医者や看護師にとって、患者から出てくるいちばん怖い一言はこれらしい。r/AskReddit に立った「患者は軽く流すのに、医療者は本気で青ざめる症状は?」というスレッドに、現場で働く人と、実際にそれを経験した当事者が次々に書き込んでいる。共通しているのは、危ないサインほど痛みがない、という点だ。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
原因のわからない体重減少。ダイエットも運動もしていないのに、勝手に落ちていくやつ。これを患者から聞かされたら、こっちはまずがんを疑って、それを否定するところから始めないといけない。なのに本人はだいたい「痩せてラッキー」くらいのテンションで報告してくる。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
それだ。私はオゼンピック(※)が効いてきたんだと思ってた。実際は白血病も抱えてた。おっと、って感じ。今は完全に寛解してて、体重も全部戻った。それでいいと思ってる。主治医に「自分の体には優しくしてやってくれ。その体が病気を抱えたまま、あなたを回復まで運んでくれたんだ。最初から痩せてたら、生き延びる確率はもっと低かったはずだよ」と言われたからね。※ オゼンピック=もともと2型糖尿病の治療薬。体重が落ちる作用があり、海外では減量目的での使用が広がっている。
3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
結婚式に向けて、食事と運動で18キロ落としたことがある。報告したときの主治医の反応が予想外だった。あきらかに警戒した顔になって「本当に、自分の意思で落としたって約束できる?」と念を押してきたんだ。素直に褒めてもらえると思ってたから面食らったよ。
4. 名無しのReddit住民
「なんかおかしい。うまく言えないんだけど、どこかが変」という訴え。だいたい本当にどこかが変なんだ。
追記:ただし患者が女性の場合は別だ。その場合はあきらかに感情の問題か妊娠ということにされる。
※ 英語圏の医療現場では impending doom(死が迫っているという感覚)と呼ばれ、本人がうまく言葉にできない不調のサインとして知られている。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
「ただし女性の場合は」ね。私は脳卒中だったよ。このまま死ぬんじゃないか、という感覚が症状のひとつだった。ちなみに私は女です。
6. 名無しのReddit住民
担当している患者が「よくわからないけど、なんか変な感じがする」と言い出すと、そのたびに背筋が寒くなる。そのセリフのあとに心停止した患者を、もう何人も見てるんだ。モニターの数字が動くより先に、本人のほうが気づいていることがある。
7. 名無しのReddit住民(>>6への返信)
「死が迫っている感じ」が正式な症状として扱われてるの、冷静に考えるととんでもない話だよな。誰かがでっち上げた設定みたいに聞こえるのに、現場ではちゃんと通用してるんだから。
8. 名無しのReddit住民
心配性の人間が読んでいいスレッドじゃないぞ、これは。1件読むごとに自分の体のどこかが痛くなってくる。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
15分前までは完全に健康だったんだよ、こっちは。今は自分の汗の量と便の色と視界の端が全部気になってる。10. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
医療の仕事をしてる者だけど、そこは少し落ち着いてほしい。人が「ちょっとだけ具合が悪い」状態になる道筋は何千通りもある。白血球がほんの少し多いとか、電解質が基準からわずかに外れてるとか、異常値の大半はその程度なんだ。極端なケースばかりが一か所に集まってると怖く見えるけど、実際についた診断がありふれた感染症で、菌の種類を調べる手間すらかけないまま終わる、なんてのはよくある。ストレスで食事量が減ってたことに自分で気づいてなかっただけ、というのも同じくらい多い。人間は探せばだいたい、どこかに小さな不調があるものだよ。
11. 名無しのReddit住民
閉経後の性器出血。これは「がんではないと証明されるまで、がんとして扱う」やつだ。年のせいとか、久しぶりに生理が来たとか、そういう解釈で様子を見てはいけない。
12. 名無しのReddit住民(>>11への返信)
保健の授業で男女の体をどこまで見せるかでずっと大人が揉めてたけどさ、本気で教えるべきだったのはこっちだろ。あの時間を全部これに使ってくれてたら、何人助かったんだろうな。
13. 名無しのReddit住民
「片目の視界が、数秒だけ真っ暗になった」。数秒で元に戻るものだから、みんな疲れ目か立ちくらみで片づけて、そのまま帰ろうとする。
※ 片目の視界が数秒から数分だけ暗くなる症状は一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)と呼ばれる。目に向かう血管が一時的に詰まったときに起こることがあり、脳の血管の異変が疑われることもある。
14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
自分はこれが時々ある。かかりつけ医は「たぶん心配のいらないやつ」と言いながら、念のため専門医の検査に回してくれた。結果は眼性片頭痛(※)で、しかも頭痛が出ないタイプだった。持続時間がかなり短いので、少し変わった部類らしい。※ 眼性片頭痛=頭痛を伴わずに視覚の異常だけが出る片頭痛。ギザギザした光が広がる閃輝暗点(せんきあんてん)として知られるタイプもある。
15. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
長距離フライトから帰ってきた女性を診たことがある。あきらかにどこかの時点で脳卒中を起こしていた。飛行機で疲れていたのでそのまま寝てしまい、電話をよこしたのは数日たってからだ。帰りのタクシーで一瞬だけ目が見えなくなっているんだけど、ちょうど日の出の時間だったので、太陽を直視したせいだと思ったんだって。飛行機に乗り込んでからその瞬間までの記憶が、丸ごと抜け落ちていた。
補足:受診の時点では受け答えもはっきりしていて、体の動きにも問題は出ていなかった。本当によかった。
16. 名無しのReddit住民
真っ黒でタール状の便。あれは消化管のどこかで血が出ているサインだ。これに貧血が重なっていると、急いで手を打たないといけない状態のこともある。それでも本人はだいたい「昨日食べたもののせいかな」で終わらせる。
※ 上のほうの消化管で出た血液は、腸を通るあいだに消化されて黒くなる。真っ黒でねばつく便はタール便(黒色便)と呼ばれ、鉄剤やイカスミなどで黒くなっただけの場合と区別する必要がある。
17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
献血をしている男性に言っておきたい。ヘモグロビンが低いという理由で断られたことがあるなら、そのまま帰らずに一度病院で調べてもらってくれ。食生活がよほど滅茶苦茶だとか、日常的にどこかから出血しているとかでない限り、男の貧血は珍しいらしい。がんが隠れていることもあるから念のため、と言われて調べた。俺の場合は、痛みをまったく出さないまま出血していた潰瘍だった。薬でもう治ってる。
18. 名無しのReddit住民
意識の混乱。食事を抜いただけかもしれないし、暑さと脱水かもしれない。でも尿路感染かもしれないし、脳卒中かもしれない。特に高齢者は、熱も痛みも出ないまま「様子がおかしい」だけが唯一の症状として出てくることがある。
19. 名無しのReddit住民(>>18への返信)
祖母の介護をしてるんだけど、尿路感染を起こすたびに医者と同じやりとりをする羽目になる。「尿路感染だと思います」「症状は?」「前に感染したときと寸分たがわず混乱してます」「いや、それは認知症です。おかしな行動のたびに連れてこられても困るので、少し勉強してください」。そこで粘って尿を検査してもらうと、驚いたことに尿路感染。抗生剤を飲み終わる頃には、庭にいない人が見えることも、映画の中身を現実だと思い込むこともなくなる。
20. 名無しのReddit住民
何年も治らない皮膚のできものと、口の中のただれ。ええ、農家の方ですね。
駆け出しの頃に受け持った患者は、大きめのマッシュルームそっくりの形と大きさに潰瘍化した皮膚のできものと、野球ボールに近いサイズまで腫れ上がった首のリンパ節を抱えて来院した。口の中と皮膚、それぞれ別のがんだった。本人がそれまでやっていた治療はもちろん、オキシドール(※)を塗ることだ。14年たった今もうちの患者だよ。
※ オキシドール=薬局で買える消毒薬(過酸化水素水)。海外では傷の自己処置に使われることが多く、当然ながらがんに効くものではない。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
つまりオキシドールは効いていたわけだ。14年も持ちこたえてるんだから大したものだよな。……いや効いてない。効いてないからな、みんな。
22. 名無しのReddit住民
消化器の医者だけど、原因のわからない体重減少、便通のリズムが変わること、それと便の太さが変わることも見逃さないでほしい。心当たりがあるなら大腸カメラを受けてくれ。
追記:もっとわかりやすいサインとしては、便に血が混じること。あと自分の患者を見ていても若い世代のポリープが増えている実感があって、30代の自分自身も検査を受けた。
※ 米国では、症状のない人が受ける定期検診としての大腸内視鏡と、症状があって受ける検査とで保険上の扱いが変わり、後者は自己負担が高くなりやすい。日本の保険制度とは事情が異なる。
23. 名無しのReddit住民
へそのあたりから脇腹にかけての鋭い痛みが、しばらく続いたあとで急にすっと消えるやつ。あれは治ったんじゃない。虫垂が破裂して、中身が腹の中に漏れ出したということだ。
24. 名無しのReddit住民(>>23への返信)
うちの夫は破裂した虫垂を数か月そのままにしていた。痛みはそこまで強くなかったらしくて、数か月おきに出ては消えるのを繰り返してたんだ。あるとき体温を測らせたら微妙に高くて、繰り返す感染かもと思って受診させた。CTを撮ったら破裂した虫垂だった。その時点で本人はけろっとしていて、手術の予約も数日後。受付でそう説明しても誰も信じてくれなかったよ。私も最後まで信じてなかったけど、執刀医いわく、感染がその場で囲い込まれて典型的な症状が出ないケースはたまにあるらしい。
25. 名無しのReddit住民
歯医者をしている。痛くないからという理由で治療を受けたがらない人が本当に多くて、正直しんどい。
虫歯は基本的に、神経を取る治療が必要になる直前まで痛まない。歯周病はもっとたちが悪くて、最後まで痛みが出ないこともある。ある日いきなり何本かがぐらつき、そこで来院しても手遅れで、全部抜くしかないことがある。今かかっている歯医者が信用できないなら、別の歯医者を探してくれ。
26. 名無しのReddit住民(>>25への返信)
自分の周りを見ている限り、信用がないんじゃなくて金がないんだよ。アメリカだと保険に入っていてもまだ高くて、後回しにするしかない人が多い。自分は体質と遺伝のせいで歯がぼろぼろ崩れていくんだけど、ちゃんと磨いてもこれだ。3本ひび割れて、詰め物が取れた穴がもう1本。全部直すには、保険が効いたあとでも2万ドル(※)はかかる。しかも抜くんじゃなく「できるだけ残す」方針でやるから、残す残すで貯金が尽きた。もう残さなくていい。全部取ってくれ。人前で口を開けるのに気を使うのも、痛くて満足に噛めないのも、もう疲れた。何より、痛みに慣れすぎて本来なら気づくべき痛みに気づかなくなっているのが、自分でも一番怖い。(これは歯医者さん個人に向けて言ってるんじゃなくて、保険会社とそのルールに向けて言ってる)※ 2万ドルはおよそ300万円。米国の歯科治療は民間の歯科保険が中心で、年間の給付上限が低く設定されていることが多く、保険に入っていても自己負担が数百万円規模になりうる。
27. 名無しのReddit住民
理由の見当たらない発汗。現場には「患者が汗をかいていたら、あなたも汗をかくべきだ」という言い回しがある。
追記:もう少し具体的に書くと、ひどい低血糖、急性の白血病やリンパ腫、結核、ショック(※)、心筋梗塞。どれも命に関わる。閉経の可能性を指摘してくれた人がいたので、それも足しておく。ただしこれは入院している人を見ての話で、そもそも一般の人より状態が悪い集団だからね。場面によっては、本当に悪いものである確率がそれなりに高くなる。
※ ここでいうショックは驚きのことではなく、全身に血液が行き渡らなくなって臓器が働かなくなる医学的な状態を指す。
28. 名無しのReddit住民
皮膚科が専門ではないのに、顔、特に鼻にできたがんばかり見つけてしまう。メラノーマ(※)を見つけたこともある。やっていることは「一度お医者さんに診てもらってください」と伝えるだけなんだけどね。
※ メラノーマ=悪性黒色腫。皮膚のホクロやシミに似た見た目で現れることがある皮膚がんの一種。
29. 名無しのReddit住民(>>28への返信)
歯科衛生士をしてるけど、顔や唇や頭で気になるものを見つけて皮膚科に送ることは頻繁にある。髪のない患者さんの後頭部に、小さなホクロかそばかすみたいなものがあってね。本人には一生見えない場所だ。あれはがんだった。この話をきっかけに、あとから感謝してくれる患者さんが本当に多いよ。
30. 名無しのReddit住民
「なんとなくおかしい」という訴えと、背中の真ん中あたりの痛み。この組み合わせだけは、痛みがどれだけ軽くても軽く扱えない。本人が「大したことないんですけど」と前置きしてくることも多いんだけど、その前置きごと聞き流さないでほしい。
まとめ
スレッドを通して何度も出てきたのは、危ないサインほど痛みを伴わない、という一点だった。閉経後の出血、真っ黒な便、数秒で元に戻る視界の暗転、何年も治らない口の中のただれ。どれも「痛くないから」という理由だけで後回しにされ、そのあいだに手遅れに近づいていく。逆に、医療者が検査値より先に反応していたのが「なんとなくおかしい」という本人の言葉のほうだった、というのも印象に残る。数字がまだ正常な段階で、本人だけが先に異変を察していることがあるらしい。
もうひとつ目立ったのが、症状そのものより制度の話だ。保険に入っていても歯を治せない、検査の受け方ひとつで自己負担が跳ね上がる。アメリカの医療費事情が、そのまま「もう少し様子を見よう」という判断につながっている。同じ症状でも、受診までのハードルの高さが日本とはまるで違う。女性の訴えが感情や妊娠の話に流されがちだ、という指摘が繰り返し出てきたのも、国を問わず心当たりのある人が多そうだった。
ただし、ここに並んでいるのはあくまで海外の掲示板に集まった個人の体験談で、極端なケースほど書き込まれやすい。気になる症状があるなら、このページを読み込むより先に実際の医者にかかってほしい。皆さんは、痛くないからと後回しにしている不調はありませんか?

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