「痩せた」よりも先に、みんなが同じ言葉を口にしていた。食べ物のことを考えなくなった、と。GLP-1受容体作動薬をいま使っている人たちに経過を聞いたスレッドが海外の掲示板で伸びていて、数十キロ落とした人の報告と並んで、1年やって1グラムも減らなかった人、副作用に耐えられずやめた人、値段と保険に振り回されている人の話が同じ場所に置かれている。
※ GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病の治療薬として使われてきた薬。食欲を抑える働きがあることから、肥満の治療にも使われるようになった。日本ではオゼンピック、ウゴービ、マンジャロなどの商品名で知られている。承認されている用途や入手できる薬は国ごとに違う。
※ 体重は元の投稿がポンド表記なので、キロに換算して書いている(1ポンド=約0.45キロ)。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
ちょうど1か月前に始めた。自分の場合、空腹が減ったというより、食べたいという気持ちそのものがほぼ消えた。これがとにかく奇妙な感覚でさ。小さいころからずっと重度の肥満で、頭の中には常に食べ物があった。それが今朝の時点で約18キロ落ちてる。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
チルゼパチドを2年3か月。162キロから78キロまで落として、そこから半年ずっと78キロをキープしてる。たぶん一生この薬と付き合っていくことになるけど、それでいいと思ってる。やっと健康な体になれたんだから。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
食欲が消えても、無理にでも口に入れないと胃腸の調子がどんどん悪くなるよ。食物繊維とタンパク質を意識して、少量でいいから食べること。自分も打った直後の数日は本当に食べられなくて、義務みたいに食べてる。ただ週の後半になると好きな物をちゃんとおいしく食べられるから、月曜の夜に打つようにしてる。そうすれば週末を楽しめる。
※ 打つ間隔や量を決めるのは処方する医師で、ここに出てくるのはあくまで個人のやり方。
4. 名無しのReddit住民
36キロ減、副作用ゼロ。人生が変わった。一生治らない湿疹に、やっとかゆみ止めが出たようなものだよ。かゆみが頭を占領してこなければ、掻かずにいるのは簡単なんだ。普通の量の食事でちゃんと満腹になるなら、健康な体重を保つのもそれと同じくらい簡単だった。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
自分も3週間半前に始めたばかり。お腹の張りと頭痛と下痢はあるけど、耐えられないほどじゃない。7キロ落ちて、人生でいちばん健康的な食事をしてるし、運動も始めた。薬が全部やってくれるわけじゃないよ。ただ、8割は楽になる。もう手放せない。
6. 名無しのReddit住民
138キロあったのが88キロまで来た。……追記。この書き込みへの返信が自分の手に負えなくなったので通知を切りました。似た質問が多かったから、たぶんスレのどこかで答えてると思う。
7. 名無しのReddit住民(>>6への返信)
自分は227キロを超えてた時期があって、そこから127キロ以上落とした。皮肉なことに、いちばん骨が折れたのは保険会社との交渉だったよ。糖尿病の一歩手前というだけだと薬代を出してくれないんだ。血圧が高くて心臓発作のリスクを抱えてると言われてても、そこは関係ないらしい。
※ 米国には日本のような公的皆保険がなく、多くの人は民間の保険に入っている。薬代を保険が負担するかどうかは診断名しだいで、対象外だと全額自己負担になり月々の負担がかなり重くなる。
8. 名無しのReddit住民
落とすべき分(約75キロ)は全部落として、今は維持用の少ない量を続けてる。自分の一番の問題は腹が減り続けて止まらないことだったから、フードノイズを黙らせておくために飲んでるようなものだね。
※ フードノイズ=食べ物のことが頭から離れず、次に何を食べるかを一日中考えてしまう状態を指す言い方。この薬を使った人たちがよく口にする表現。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
フードノイズの話、もっと語られていいと思う。自分はADHDで、頭の中の食べ物の声がとにかくうるさい。人によっては治療薬のおかげで間食が減るらしいけど、自分には効かなかった。正直、体重を大きく落としたいわけじゃないんだ。ただ食べ物への執着から解放されたいだけ。今度、医者に相談してみるつもり。
10. 名無しのReddit住民
服のサイズが16から4になって、今までの人生でいちばん体が軽い。痩せるために何をすればいいかなんて、ずっと分かってたよ。カロリーも栄養バランスも計算できたし、運動もしてた。でも脳のほうが依存症みたいになっていて、次に何を食べるか、これは食べていいのか、そればかりに張りついていた。満腹の感覚も壊れていて、ただただ精神が消耗するの。この薬でようやく頭の中が静かになって、普通の人と同じように食べられるようになった。落ちる途中で胆のうは失ったけど(急な減量ではよくあることで、薬のせいではないと言われた)、それでも何度でも同じ選択をする。
※ 米国の女性服サイズ16は日本の17号前後、4は7号前後にあたる(メーカーによって幅はある)。
11. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
一字一句、自分が書いたのかと思った。道具も知識も全部そろってたのに、なぜか自分で自分の足を引っ張り続けてたんだよな。
12. 名無しのReddit住民
4か月で9キロ。なぜか血圧の問題まで一緒に片付いた。目立つ副作用は胸やけしやすくなったことくらいで、数日に一度、胃薬を飲めば済む範囲。値段はそれなりにするけど、買わなくなったお菓子と食料品の分でだいたい取り返してる気がする。……ただ正直に言うと、8年間ずっと自力でどうにかしようとしてきた人間としては、負けを認めた気分でもあるんだ。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
その「負け」って考え方、今すぐ捨てたほうがいい。健康になるために苦しまなきゃいけない道徳的な義務なんて、誰も背負ってないよ。
14. 名無しのReddit住民
落とすのは14キロくらいでいいと思ってたから、自分には縁のない薬だと思ってた。でも去年の10月に始めて、83キロから今は57キロ前後。始めてみて初めて、自分と食べ物の付き合い方が壊れていたことに気づいたよ。退屈も悲しさもストレスも、全部食べ物で埋めてたんだ。ただ、これは魔法の弾丸じゃない。カロリーは今でも記録してるし、筋肉が落ちないように運動も続けてる。頭の中の食べ物の声が静かになるから、まともな選択ができるようになる、それだけ。
15. 名無しのReddit住民
5年目に入ったところ。2021年にオゼンピックで始めて、今はゼップバウンド。45キロ落ちて体調は最高だよ。週6でジムに行って、筋力と体の動かしやすさ、それと心肺機能を意識してる。フードノイズがかなり減ったから、目標に沿った食事を選ぶことに集中できるようになった。今は維持期で、1日2500キロカロリーくらい食べてる。49歳女性、身長167センチ、体重75キロ前後。副作用もほとんどなくて、この薬には感謝しかない。
16. 名無しのReddit住民
1年やってるけど、体重はまったく減ってない。ここのコメントを読んでると、自分だけ違うものを打ってるんじゃないかって気分になってくる。相性みたいなものは本当にあるんだと思う。
17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
書いてくれてありがとう…。みんなの結果がすごすぎて言い出しにくかったけど、自分も3〜4か月で3キロ弱しか動いてない。18. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
自分は1年でやめた。量を増やすたびにお腹が張って、副作用のほうが重くなっていった。夜中に胃酸を吐くし、気分の落ち込みもひどかった。しかもファストフードを詰め込んでたわけでもなくて、ほとんど食べてないのに一日中張ってるんだ。医者の提案は「注射した日は液体だけにしましょう」。あと23キロ落とさなきゃいけない人間に、それが続けられる方法だとも、いい習慣が身につく方法だとも思えなかった。やめてから食生活は何も変えてないのに7キロ落ちたよ。誰かにとっては本当に奇跡の薬なんだと思う。ただ自分は、悲しいけどその誰かじゃなかった。
19. 名無しのReddit住民
1年以上使ってる。最初の半年は週に0.5キロくらいのペースで落ちて、そのあとぱたっと効かなくなった。甘い物への欲求は戻ってきたし、便秘はずっと続いてる。うちの国で手に入る最大量まで来てこれだよ。総額で60万円くらい使って、まだ太ってる。
※ 元の書き込みでは4000ドル。1ドル150円換算でおよそ60万円。薬価も保険の適用範囲も国によってまったく違う。
20. 名無しのReddit住民
8か月で68キロ落とした。同時に酒をやめて、糖質も減らしてる。糖尿病は寛解、坐骨神経痛は消えて、睡眠時無呼吸も治った。薬でどうにもならなかった高血圧まで落ち着いて、4種類飲んでいた薬が1種類になった。足底腱膜炎も消えたし、体力も自信も戻ってきた。……ただ、この手の減量にはどうしても偏見がついて回るんだよ。今回のそれは「ズルをしてる」「正攻法じゃない」という扱い。友人のひとりには「悪く取らないでほしいんだけど、自分は自然な方法で痩せたいから」と言われた。とんでもない贈り物をもらった気分と、見下されてる気分が同時にある。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
無痛分娩と、麻酔なしの出産の両方を経験した人間として言わせてもらうと、その「自然な方法」とやらは知ったことじゃない。どれだけ痛みに耐えたかで人間の値打ちが決まるわけないでしょ。
22. 名無しのReddit住民
95キロから64キロまで落とした37歳。すごく嬉しいはずなんだけど、思ってたほど自分の体に自信が持てない。皮膚がたるんで、しわしわになってる部分があるから。ものすごく目立つわけじゃないけど、水着はちょっと無理だし、お腹の出る服は絶対に着られない。
23. 名無しのReddit住民(>>22への返信)
たるんだ皮を見かけても、こっちは素直にすごいなと思うだけだよ。判断なんて一切しない。自分は今109キロで、いつかその「たるんだ皮」の段階まで行きたいと思ってる側だからね。腰まわりに浮き輪を巻いてるよりずっといい。あなたの気持ちを否定したいわけじゃなくて、あれは勲章みたいなものだって伝えたかった。
24. 名無しのReddit住民
落ちるのは体重だけじゃないんだよな。久しぶりに会った親戚に、真顔で「顔だけ10歳老けた?」って言われた。頬がこけて、体重より先に顔で気づかれる。鏡を見るたびに複雑な気分になるけど、膝の痛みが消えたことと天秤にかけたら、まあこっちを取るよ。
25. 名無しのReddit住民
132キロから85キロ。服は24〜26サイズから12に、上は3Lから普通のLになった。体が楽になったのは間違いない。ただ、周りの人の態度が変わりすぎるのがしんどい。医者がこっちの訴えをちゃんと聞くようになったし、ドアを押さえてくれる人が増えたし、話しているときに目を見てくれる人が増えた。前の自分はそれに値しなかったのかと思うと、正直きついよ。
26. 名無しのReddit住民
別の持病のために、低い量で4か月続けてる。121キロから96キロ。いちばん変わったのは、体を動かす気力が出てきたこと。運ぶ荷物が軽くなれば、そりゃ動きやすくもなる。たまに有酸素運動をする程度だったのが、今はほぼ毎日。皮肉なのは、そもそもの目的だった睡眠時無呼吸のほうは解決してないこと。ただ、その無呼吸の治療薬として認められているおかげで、保険が薬代のほとんどを出してくれてる。
27. 名無しのReddit住民(>>26への返信)
運動する気になる、っていうのは本当にそう。膝が痛まなくなっただけで、体を動かすことが苦行じゃなくなった。
28. 名無しのReddit住民
自分は糖尿病のために使ってる。2年で10〜13キロくらい落ちたところで停滞したけど、正直そこはどうでもいいんだ。血糖のコントロールに関しては本当に助かってるから、担当の医者が止めろと言わない限り続けるつもり。
29. 名無しのReddit住民(>>28への返信)
まったく同じ経過だ。2型と診断されてから自力で23キロ落として、別の治療をきっかけにマンジャロを始めた。血糖値は低いところで安定してるのに、最大量まで来ても体重は1グラムも動いてない。まあ、2型が抑えられてるならそこまでがっかりはしてないよ。
30. 名無しのReddit住民
少し昔話をすると、自分は小学生で太ってから人前に出るのが怖くなって、そこにうつと自己評価の低さがくっついてきた。1年前にゼップバウンドを始めて、166キロから127キロまで来てる。体重が落ちてから、自分の面倒を見るようになった。サイズの合う服を選ぶし、鏡の中の自分に笑いかけられるし、人と話すのが少しずつ怖くなくなってきた。大げさに聞こえるかもしれないけど、30歳になってようやく人生が始まった気がしてる。
まとめ
数字の報告が並ぶスレッドなのに、いちばん繰り返されていたのは体重の話ではなかった。頭の中で鳴り続けていた食べ物の声が止まった、という言い方だ。意志の弱さの問題として語られてきたものを、当事者たちは「脳の側で起きていたこと」として語り直している。20年ダイエットに失敗し続けた人が「自分は怠け者ではなかったらしい」と気づく——その安堵がこのスレッドの温度をつくっていた。
一方で、同じ薬を打っていても結果はきれいに割れる。1年打って1グラムも動かない人、副作用のほうが重くなってやめた人、最大量まで来て60万円を使ってまだ太っていると書く人が同じ場所にいる。保険が出るかどうかは診断名しだい、値段の壁は国ごとに違う、というのも海外らしい論点だった。そして痩せたあとに待っているのは、たるんだ皮膚と、周りの態度が変わりすぎることへの複雑な感情でもある。医者が急に話を聞いてくれるようになった、という報告は、痩せた喜びよりも苦い後味を残していた。
日本でもこの手の薬の名前を耳にする機会は一気に増えたけれど、実際に使っている人がどんな一年を過ごすのかは、まだあまり共有されていない気がする。皆さんは、こういう薬にどんな距離感を持っていますか?
※ この記事は個人の体験談を訳してまとめたもので、効果や安全性を保証するものではありません。薬を使うかどうか、どの量で使うかは医師の判断によります。


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