「スタジオジブリの映画でいちばんの名作は?」という海外掲示板の質問に、190件を超えるコメントが集まりました。「みんな自分の好みが特別だと見せたくて別の作品を挙げるだろうけど、本当の答えは『千と千尋の神隠し』」という一言から論争が始まり、『もののけ姫』派、『風の谷のナウシカ』派、高畑勲作品派までが入り乱れています。日本では金曜ロードショーでおなじみの作品たちが、海外ではどう観られているのかも見えてくるスレッドです。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
どうせみんな、自分の好みがいかに独特で特別かを見せたくて、別の作品を挙げてみせるんだろうね。でも本当の答えは『千と千尋の神隠し』だよ。
※ 2001年公開、宮崎駿監督。10歳の少女・千尋が、八百万の神々が疲れを癒やしに来る湯屋「油屋」で働きながら、豚にされた両親を救おうとする物語。ベルリン国際映画祭の金熊賞と、アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞している。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
自分は『もののけ姫』の容赦ない残酷さのほうが好きだな。あれが人生でいちばんの映画。でも千と千尋は僅差の2位だよ。
※ 1997年公開、宮崎駿監督。室町時代ごろの日本が舞台。呪いを受けた青年アシタカが、山犬に育てられた少女サンと、森を切り拓いて鉄を作る村「タタラ場」との争いに巻き込まれていく。矢で武者の腕や首が飛ぶなど、ジブリ作品のなかでも流血の多い一本。
3. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
しかもただ残酷なだけじゃなくて、かなり奥が深いんだよね。どの登場人物にも共感できて、絵に描いたような悪役も、混じりけなしの善人も一人もいない。森を切り拓いてるエボシ御前ですら、身売りされた娘たちを引き取って、病人たちに仕事を与えてる人なんだから。
4. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
人気のある作品を好きだって言うのに抵抗なんてないよ。ただ、千と千尋がジブリの最高傑作っていうのには全力で反対する。いい映画だけど、ジブリのなかではせいぜい真ん中くらい。たくさんの人にとって最初に観たジブリ作品だから、そのぶん評価が上乗せされてるんだと思う。
自分なら『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『もののけ姫』『ハウルの動く城』、たぶん『魔女の宅急便』も千と千尋より上に置く。1位はナウシカ。「ナウシカは厳密にはジブリ作品じゃない」って細かいことを言うなら、もののけ姫だね。
※ 『風の谷のナウシカ』(1984年、宮崎駿監督)は、スタジオジブリができる前(ジブリの設立は1985年)に、アニメ制作会社トップクラフトが作った作品。ジブリ作品としてまとめて扱われることが多いが、ジブリが作った最初の長編は『天空の城ラピュタ』になる。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
いや、魔女の宅急便とハウルとラピュタは千と千尋ほどじゃないと思うな。どれもいい映画だけど、並べてみるとちょっと浅く感じる。
自分のトップ3はナウシカ、もののけ、千と千尋。……でも心の中のいちばんを聞かれたら、『紅の豚』って答えちゃうんだよね。
6. 名無しのReddit住民
『紅の豚』。主人公が豚の姿をした飛行艇乗りってだけで、もう勝ちが決まってる。「飛ばねぇ豚はただの豚だ」は、映画の歴史に残る名台詞だと本気で思ってる。
※ 1992年公開、宮崎駿監督。1920年代末のイタリア、アドリア海が舞台。魔法で豚の姿になった元空軍のエース・ポルコが、賞金稼ぎとして空賊たちと渡り合う。
7. 名無しのReddit住民(>>6への返信)
わかる。地中海のきれいな景色と、どこかのんきで遊び心のある筋書きの組み合わせがたまらないんだよ。宮崎駿って、風と水が出会う景色をなんとかして入れたがる人だと思うんだけど、紅の豚にはそれがこれでもかってくらい詰まってる。
8. 名無しのReddit住民
個人的にいちばん好きなのは『天空の城ラピュタ』。空に浮かぶ城を目指して、少年と少女が空賊や軍隊に追いかけられながら冒険する。子どもの頃に思い描いてた「冒険」が、全部あの映画に入ってた。
※ 1986年公開、宮崎駿監督。スタジオジブリ設立後の第1作。鉱山の町の少年パズーが、空から降ってきた少女シータと出会い、伝説の浮遊城ラピュタを探す。音楽は久石譲。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
最高の映画のひとつだよ。話もすごい、映像もすごい、音楽もすごい。だからこそ、スチールブック版が何百ドルもするのが悲しい。欲しいのに手が出ない。
※ スチールブック:金属製のケースに入った限定版のディスク。数量が限られているぶん、中古市場で値が上がりやすい。10. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
日本だとラピュタがテレビで放送されるたびに、城が崩れる呪文の場面で、視聴者がタイミングを合わせてその呪文を一斉にSNSに書き込むらしい。40年も前の映画で、国じゅうが同じ瞬間に盛り上がれるのはちょっとうらやましい。
※ 滅びの呪文「バルス」のこと。日本テレビの「金曜ロードショー」で放送されるたびに、X(旧Twitter)に「バルス」の投稿が集中する「バルス祭り」は、日本ではおなじみの光景になっている。
11. 名無しのReddit住民
「最高」って言われると難しいな。
いちばん大事な作品なら『火垂るの墓』。
何度でも観返せるのは『もののけ姫』。
全部ひっくるめた最高傑作は『千と千尋の神隠し』。
※ 『火垂るの墓』は1988年公開、高畑勲監督。野坂昭如の小説が原作。1945年、空襲で母を亡くした14歳の清太と4歳の妹・節子が、戦時下の神戸・西宮で生き延びようとする。海外でも「つらすぎて二度は観られない」と言われがちな一本。
12. 名無しのReddit住民(>>11への返信)
自分も観たけど、本当にそう。悲しいけど、あれは一度しか観られない。これまで作られたアニメ映画のなかで、いちばん悲しくて、いちばん打ちのめされる一本だと思う。
13. 名無しのReddit住民
この質問に悪い答えなんてないよ。どれを挙げても正解。
そのうえで自分のいちばんは『となりのトトロ』。悪役も派手な事件も出てこないのに、観終わると子どもの頃の夏休みに戻ったような気持ちになる。
※ 1988年公開、宮崎駿監督。昭和30年代ごろの田舎に引っ越してきたサツキとメイの姉妹が、森に住む不思議な生き物トトロと出会う。公開時は『火垂るの墓』との二本立てだった。
14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
全部は観てないんだけど、トトロ、ポニョ、魔女の宅急便、ハウル、千と千尋を観たなかでは、トトロがいちばん心に響いた。3歳と7歳の子どもと一緒に観たのが本当によかったんだ。宮崎駿が描いた子ども時代の無邪気さと、夢中で観てる我が子たちの顔が重なって、ぐっときたよ。うちの子たちのいちばんではないみたいだけど、自分にとってはいちばん。
※ 『崖の上のポニョ』は2008年公開、宮崎駿監督。人間になりたい魚の女の子ポニョと、5歳の少年・宗介の物語。15. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
トトロが『火垂るの墓』と二本立てで公開されたって知ったときは耳を疑った。同じ回であの2本を続けて観た子どもがいたってこと? 当時の日本の映画館、帰り道の親子がどんな空気だったのか知りたい。
16. 名無しのReddit住民
『魔女の宅急便』。成長物語としてすごくよくできてるし、「13歳になった魔女は家を出て、知らない町で1年修行する」っていう設定がまず楽しい。ほうきで飛べなくなってからの後半は、大人になって観ると子どもの頃とまるで違って見える。
※ 1989年公開、宮崎駿監督。角野栄子の児童文学が原作。13歳の魔女キキが黒猫のジジと海辺の町に移り住み、ほうきで空を飛んで荷物を届ける「お届け屋さん」を始める。
17. 名無しのReddit住民
『ハウルの動く城』が大好き。呪いでおばあちゃんにされたソフィーが、気持ちしだいで若返ったり、おばあちゃんに戻ったりするところとか、ガラクタの塊みたいな城がガシャガシャ歩くところとか、何回観ても飽きない。
※ 2004年公開、宮崎駿監督。イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説が原作。荒地の魔女に90歳の老婆の姿に変えられた帽子屋の娘ソフィーが、魔法使いハウルの動く城に、掃除婦として転がり込む。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
「She likes my SPARK!(あの子、おいらの火花が好きだってさ!)」
英語版のカルシファーのこの台詞が、いまだに頭から離れない。ソフィーに褒められて、張り切って城をぐいぐい動かすところね。
※ カルシファーは、ハウルとの契約で城を動かしている火の悪魔。英語吹替版の声はコメディアンで俳優のビリー・クリスタル。日本語版の声は我修院達也。19. 名無しのReddit住民(>>18への返信)
英語版はハウルの声がクリスチャン・ベールなんだよね。つまりバットマンが動く城に住んでて、髪の色がちょっと変わっただけでこの世の終わりみたいに落ち込んでるわけ。それを知ってから観ると、例の緑のネバネバの場面が倍おもしろい。
※ 日本語版ではハウルを木村拓哉、ソフィーを倍賞千恵子が演じた。倍賞千恵子は18歳の娘の姿と90歳の老婆の姿を一人で演じ分けているが、英語版では若い姿と老いた姿を別々の俳優が担当している。
20. 名無しのReddit住民
千と千尋だよ。
ジブリ作品のなかで評価がいちばん高くて、批評家にいちばん絶賛されて、いちばん人気があって、いちばん観られてるのにはちゃんと理由がある。
それに、アカデミー賞を獲ったジブリ作品はこれだけだしね。
※ 日本でも、2020年に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に抜かれるまで、国内の歴代興行収入1位を約19年守っていた。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
千と千尋はアメリカで大々的に宣伝されたから1位なんだよ。自分ならほかに好きな作品がいくつもある。トトロ、ハウル、もののけ、魔女の宅急便、ナウシカ。
22. 名無しのReddit住民(>>21への返信)
アメリカだけの話じゃないって。世界中で人気になったんだよ。自分はアメリカ人じゃないけど、初めて観たジブリ作品は千と千尋だった。学校で観て、メディア論の授業で教材にもなった。
それにはちゃんと理由がある。ほかにもいい作品、すごい作品はいくつもあるし、トトロやもののけのほうが好きって人がいてもいい。全員のいちばんにはならないからね。
でも、大多数の人のいちばんなのは確か。そうじゃなかったら、批評家のレビューでもユーザーのレビューでも、観られた回数でも、毎回トップに来たりしないよ。
23. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
最高傑作は千と千尋でいいと思う。ただ、自分のお気に入りはその時ハマってるものしだいで、ちょくちょく変わるんだ。いまのいちばんは実は『君たちはどう生きるか』。ほかの人たちより、自分のほうがだいぶ楽しめたみたいだけど。
ちなみにあれもアカデミー賞の長編アニメ映画賞を獲ってるから、オスカーを持ってるジブリ作品は千と千尋だけじゃないよ。
※ 2023年公開、宮崎駿監督。英題は「The Boy and the Heron(少年とアオサギ)」。母を亡くした少年・眞人が、人の言葉を話すアオサギに導かれて不思議な世界へ迷い込む。日本では予告編もあらすじも出さず、ポスター1枚だけで公開されたことでも話題になった。2024年に第96回アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞。
24. 名無しのReddit住民
自分のいちばんは『おもひでぽろぽろ』。
2位が『火垂るの墓』、3位が『ハウルの動く城』、4位が『千と千尋の神隠し』。あとはその他大勢。
高畑勲の映画に、どうしても肩入れしちゃうんだよね。
※ 高畑勲は、宮崎駿と並ぶジブリのもう一人の看板監督。『おもひでぽろぽろ』(1991年)は、27歳の会社員・タエ子が山形の農家へ紅花摘みに向かう道中で、小学5年生の頃の自分を思い出していく物語。魔法も冒険も出てこない、大人の日常の話。
25. 名無しのReddit住民
1位は千と千尋。話はそこからだ。
個人的にいちばん好きなのは『平成狸合戦ぽんぽこ』なんだけど、ハウルやトトロのほうが「出来がいい」作品なんだろうな、とは思ってる。
※ 1994年公開、高畑勲監督。東京郊外の多摩ニュータウン開発で住みかを奪われそうになった狸たちが、先祖伝来の化け術を磨き直して人間に立ち向かう。
26. 名無しのReddit住民(>>25への返信)
ぽんぽこは楽しかったよ。何の予備知識もなく家族で観たら、狸たちの化け方が想像の斜め上すぎて、子どもより自分のほうが笑ってた。それでもいちばんは千と千尋かな。
27. 名無しのReddit住民
『かぐや姫の物語』『風立ちぬ』『コクリコ坂から』が自分のトップ3。どれも派手さはないけど、観終わったあとに静かに残るものがある。
※ 『かぐや姫の物語』(2013年)は高畑勲監督の遺作で、平安時代の『竹取物語』を、筆で描いたような絵で映像にした。『風立ちぬ』(2013年)は宮崎駿監督が、零戦の設計者・堀越二郎をモデルに描いた作品。『コクリコ坂から』(2011年)は宮崎吾朗監督による、1963年の横浜を舞台にした高校生の青春もの。
28. 名無しのReddit住民(>>27への返信)
かぐや姫の原作って、日本だと学校の国語の授業で習う古典なんだってね。千年以上前の話を、あの水彩画みたいな絵で観られるのは本当にぜいたくだと思う。かぐや姫が着物を脱ぎ捨てながら夜の都を駆け抜ける場面は、何回観ても鳥肌が立つ。
29. 名無しのReddit住民
千と千尋はまだ観てないんだけど、『もののけ姫』はほかのどの映画とも違う刺さり方をした。ほろ苦い気持ちが残るんだよ。宮崎駿が狙ったのがこれならいいなと思う。空っぽになる感じとはちょっと違って、「何かひとつ違っていたら、みんなもっと幸せになれたのに」っていう気持ち。これまで観た映画のなかでも、文句なしにトップクラス。
30. 名無しのReddit住民(>>29への返信)
頼むから、千と千尋を観るのを最優先にしてくれ。もののけ姫でそこまで刺さったなら、絶対に後悔しないから。
まとめ
「本当の答えは『千と千尋の神隠し』だよ」という一言から始まったスレッドでしたが、すんなり一致はしませんでした。千と千尋を推す側は「評価も人気も観られた回数も1位なのには理由がある」と主張し、反対する側は「多くの人が最初に観たジブリだから点が甘くなっている」「アメリカで大々的に売り出されたから」と返します。そのなかで、ほかの作品を推す人が理由に挙げていたのは、『もののけ姫』の善悪で割り切れない人物たち、『紅の豚』の風と水が出会う景色、『となりのトトロ』の子どもの頃に戻ったような気持ちでした。宮崎駿作品だけでなく、高畑勲作品にもはっきりしたファンがいたのは、日本の読者には少し意外かもしれません。
英語版でジブリを観てきた人たちの話も、日本から見ると新鮮です。向こうではハウルの声がクリスチャン・ベール、カルシファーの声がビリー・クリスタル。かぐや姫の原作が日本では学校で習う古典だと聞いて感心したり、『天空の城ラピュタ』の「バルス祭り」をうらやましがったりもしています。日本ではテレビで繰り返し観てきた作品を、海外の人たちがここまで熱心に語り合っているのを見ると、もう一度観直したくなります。皆さんにとって、いちばんのジブリ作品はどれですか?


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