テレビは大人二人がかりで運ぶもので、電話は壁につながっていて、玄関には年に一度、分厚い電話帳がどさっと置かれていた。「90年代の家にはどこにでもあったのに、今はもう見かけないもの」を挙げるスレッドが海外の掲示板で伸びている。出てくる品がやたら具体的で、しかも日本の家にはなかったものも多い。順に補足を入れながら見ていく。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
パソコンを置くためだけの専用家具。しかも横にCDを10〜15枚立てておけるラックが必ず付いてた。家具屋の値札に「CDラック付き」ってわざわざ書いてあったのが、今思うとすごい時代だよ。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
うちのそれ、CDは一枚も入ってなくて、プリンターの説明書と未開封の請求書が突き刺さってた。あと蛇腹の蓋が付いた木の机ね。物が乗りすぎて、蓋が閉まったところを一度も見たことがない。
※ 蛇腹の蓋の机はロールトップデスク。木の細板を並べた蓋を手前に引き下ろして天板ごと隠せる机で、アメリカの家庭では書斎机の定番だった。
3. 名無しのReddit住民
重さ半トンあるんじゃないかってくらいのブラウン管テレビ。奥行きが座布団くらいあって、上には必ずレースの敷物とビデオデッキが乗ってる。持ち上げようとして腰にきた人、この場に何人いる?
4. 名無しのReddit住民(>>3への返信)
引っ越しのたびに近所の父親連中が招集される行事があったよね。四人がかりで抱えて、階段の踊り場で一回休憩する。今のテレビを片手で小脇に抱えられるのが、いまだにちょっと信じられない。
5. 名無しのReddit住民
洗面台の蛇口についてた、透明プラスチックの偽クリスタルのハンドル。ひねるたびにキュッキュッて鳴るやつ。ついでに言うとドアノブもタオル掛けも照明のふちも全部金色だった。家じゅうが金色に光ってた。
6. 名無しのReddit住民
全部の家じゃないけど、80〜90年代はアップライトピアノのある家が本当に多かった。しかも裕福な家に限らない。平屋で寝室が二つしかないような友達の家に、ソファとテレビと並んで普通に置いてあったんだよ。
7. 名無しのReddit住民(>>6への返信)
そしてだいたい誰も弾いてない。上に家族写真の写真立てがずらっと並んで、蓋の上には郵便物が積まれていく。調律は10年に一回あるかどうか。実質、脚の付いた棚だった。
8. 名無しのReddit住民
洗面所の貝殻の形をした石鹸皿と、そこに乗ってる絶対に使わせてもらえない飾りの石鹸。手を伸ばした瞬間に母親が隣の部屋から飛んでくる。あれ、何のために存在してたんだろうな。
※ 来客用に置く飾り石鹸。貝や花、果物の形に成型された色つきの石鹸で、実際に使うのはご法度という家庭が多かった。数年放置されて表面がひび割れているのが定番。
9. 名無しのReddit住民
トイレに読み物が常備されてた。雑誌の束、クロスワードの本、なぜか一冊だけある古いギネスブック。座ってから読むものを探す必要がないってのは、地味に文明的だったと思う。
10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
スマホがあれを完全に殺したよね。ただ、紙は「この記事を読み終わったら出る」って区切りが自分で作れたぶん、トイレから出るのは明らかに早かった。今は気づくと20分経ってる。
11. 名無しのReddit住民
ティーンの部屋には必ずでかいラジカセがあった。CDとカセットが両方入るやつ。ラジオから曲を録音してて、最後にDJの声が被って舌打ちするまでがワンセット。あと枕元には茶色い横長の時計ラジオ。赤い数字が暗闇でぼんやり光ってた。
12. 名無しのReddit住民
リビングの壁一面を占領してた木製の巨大なテレビ収納棚。中にビデオデッキ、ケーブルテレビのチューナー、VHSのテープが何十本、それと巻き戻し専用機。あれ自体が家の中でいちばん大きい家具だった。
※ 英語では entertainment center。テレビとAV機器とソフトをまとめて収める大型の木製ユニットで、90年代アメリカのリビングの主役。日本の壁面収納より一回り大きく、扉を閉じるとテレビごと隠れる作りが多かった。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
そこに32インチが入ってたら「あの家、金持ちだ」って学校で噂になるレベルだったよ。テレビが薄くなって壁に掛けられるようになった代わりに、あの家具ごと消えたんだよな。ちょっと寂しい。
14. 名無しのReddit住民
テレビから録画したVHSの山。映画もドラマもCMごと入ってて、親が止め忘れた深夜ニュースが後半に混ざってる。背ラベルは油性ペンで三回くらい上書きされてて、結局中身が何なのか家族の誰も把握してない。
15. 名無しのReddit住民
壁に掛かってる魚。ビッグマウス・ビリー・バス。前を通ると急に首をこっちに曲げて『Take Me to the River』を歌い出すやつ。あれが居間の壁にいる家、多かっただろ。
※ 1998年に発売され全米で大流行した壁掛けの玩具。センサーに反応して魚の首と尾が動き、古いソウルの定番曲を歌う。贈り物の定番でもあり、もらった側が置き場所に困る品としてよくネタにされていた。
16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
ある年の親戚回りで、行く家行く家すべてに同じ魚が掛かってたことがある。しかも誰も自分では買ってない。全員がもらってる。落ち着いて考えると、けっこう怖い状況だったと思う。
17. 名無しのReddit住民
中身がすっかり古くなった百科事典のセット。革っぽい背表紙で棚を一段まるごと埋めてた。買った当時は家でいちばん高い買い物だったはずなのに、10年も経つと地図のページが全部あてにならなくなる。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
中学のとき、80年代の版を写して宿題を出したことがある。もう存在しない国の名前をそのまま書いて提出した。返ってきた答案の赤ペンが妙に優しくて、それが余計にきつかった。
19. 名無しのReddit住民
便座カバーとトイレのマットが柄違いのお揃い。床は絨毯敷きで、便器のまわりだけ形に切り抜いてある。シャワーカーテンにはフリルが付いてて、両端をリボンで縛って留めるタイプ。ソファの脇には雑誌ラックと、脚付きのスタンド灰皿もあった。
20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
待ってくれ、それ普通に今のウィスコンシンの家の説明だから。カーペット地の便座カバーが絶滅したと思ってるなら大間違いだぞ。現役でぴんぴんしてる。21. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
懐かしいけど、あれは衛生的にどう考えても最悪だったよね。トイレの床が布って、汚れても洗いようがない。個人的には「消えてくれてよかったもの」の筆頭に入る。
22. 名無しのReddit住民
キッチンのガチョウ。壁紙の上のほうに一列だけ貼る帯状の柄紙がガチョウ柄で、棚の上には陶器のガチョウが置いてある。首に青いリボンが巻いてあるところまでがテンプレ。あと天井から吊るす三段のワイヤーかご。あそこに玉ねぎとじゃがいもが入ってた。
※ 90年代アメリカで流行した「カントリー調」の内装。ガチョウやニワトリ、青と赤のギンガムチェックを組み合わせた素朴な農村風のインテリアで、壁紙の上部に幅20センチほどの帯を一周させるのが定番だった。
23. 名無しのReddit住民
壁に掛かった巨大な木のフォークとスプーン。誰が買ったのか、いつからそこにあるのか、家族の誰ひとり覚えてない。ただキッチンの壁に80センチくらいのカトラリーが吊るされている。実家に帰ると今もある。
※ 60〜80年代のアメリカで大流行したキッチンの壁飾り。木彫りの大きなフォークとスプーンを対で掛けるもので、実用性はまったくない。今でも中古品店の棚にまとめて並んでいることが多い。
24. 名無しのReddit住民
ダイヤルアップの接続。あのピーヒョロロロを聞きながら待って、家族の誰かが別の部屋で受話器を上げた瞬間にすべてが終わる。ダウンロードの残り時間に9時間って出ても、当時は普通に待ってたんだよな。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
そして無料お試しのCDが家じゅうに転がってた。郵便で届く、雑誌の付録で来る、店のレジ横に積んである。コースターにしてる家、畑の鳥よけに吊るしてる家、みんな必死で使い道を探してた。正直、あの頃のネット環境に戻りたいとは一ミリも思わないけどね。
※ AOL(アメリカ・オンライン)は90年代アメリカ最大手のインターネット接続業者。無料お試し時間つきのCD-ROMを郵送や雑誌付録で大量にばらまき、その物量から「使い道のない配布物」の代名詞になった。
26. 名無しのReddit住民
年に一度、玄関先にどさっと置かれる分厚い電話帳。雨の日はビニール袋に入って届く。厚さが辞書二冊ぶんあって、背の低い子供が椅子の上に敷いて高さを足すのにも使われてた。冷蔵庫には、そこから書き写した番号のリストが磁石で貼ってあったよ。
※ 職業別のイエローページ(黄色い紙)と、個人名と住所を並べたホワイトページの二種類があり、電話会社が全世帯に無償で配っていた。日本のタウンページ・ハローページにあたる。
27. 名無しのReddit住民(>>26への返信)
この前ひさしぶりに新しいのが届いたんだけど、昔の8分の1くらいの薄さになってて思わず笑った。もはや電話帳というよりパンフレット。あの重さがあったから価値があったのに。
28. 名無しのReddit住民
家族全員で共有する一台のパソコン。だいたいGatewayで、置き場所はなぜかキッチンの隅。利用者の切り替えも制限機能もないから、履歴を消し忘れた人間が全員に晒される。横にはドットマトリックスプリンターがあって、印刷を始めると家じゅうが起きた。
※ Gateway は米国の大手パソコンメーカーで、牛の白黒模様をあしらった配送箱で知られ、90年代の家庭用PCの代表格だった。ドットマトリックスプリンターは細い針でインクリボンを叩いて印字する方式で、動作音がとにかく大きい。
29. 名無しのReddit住民
無理なく返せる住宅ローンと、月末に少しだけ余ってるお金。今はスーパーで久しぶりの商品を手に取るたびに値札で固まってる。しかも高くなったうえに、袋の中身がちゃんと減ってるんだよ。
30. 名無しのReddit住民
この前、亡くなったおばあさんの家から家具を引き取りに行ったんだけどさ。椅子とソファの向きが、全部「人と話すため」に置かれてたんだよ。今の友達の家に行くと、座る場所は全部テレビのほうを向いてる。うまく説明できないけど、あの部屋はやたら風通しがよかった。
まとめ
挙がった品を並べていくと、消えたものには大きく二種類あることが見えてくる。ひとつは技術に置き換えられて役目を終えたもの。電話帳、百科事典、ダイヤルアップ、巻き戻し専用機。これらは手のひらの端末一台に吸い込まれて、誰も惜しんでいない。もうひとつは、置き場所そのものが消えたものだ。壁一面のテレビ棚、居間のピアノ、使われない飾り石鹸。どれも「家に人を招く前提」で置かれていた品で、来客を想定した空間ごと家から縮んでいったことがわかる。最後のコメントが刺さるのはそこで、椅子の向きが人から画面へ変わったという指摘は、道具の話ではなく家の設計思想の話になっている。ちなみに便座カバーやカーペット敷きの洗面所は日本でもおなじみだった品で、ウィスコンシンではまだ現役という反論も含めて、案外どこも似た道を辿っているらしい。皆さんの実家には、今も残っている「あの頃のもの」はありますか?

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