「これ以上もう改良しようがない、完成された製品って何だと思う?」海外掲示板のシンプルな質問に、360件を超えるコメントが集まった。挙がったのはエレキギター、1982年から職場で動き続けるホッチキス、安全ピン、鉛筆、YKKのファスナーと、身の回りの地味な道具ばかり。ところが話が進むにつれ、「完成してたのに、売るためにわざと改悪された」「昔のもののほうが良かった」という恨み節も噴き出して、完成品探しはちょっとした論争になっていく。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
いい質問だね。自分がよく考えるのはギター。ある程度の値段まで行くと、そこから先は何も進化してないんだよ。高いモデルになっても、珍しい木材を使ってるとか、見た目を凝ってるとか、そういう違いしかない。弦を張って、指で押さえて、はじいて鳴らす。この仕組み自体はとっくに完成してる。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
まさにそれ。自分はプロのギタリストなんだけど、20年前に400ドルで買ったメキシコ製のストラトをいまだにメインで弾いてる。エレキギターのデザインって、1950年代に売り出されてからほとんど変わってないんだよね。テレキャスターの原型が1950年、レスポールが1952年、ストラトキャスターが1954年。70年以上前の設計のまま、今も世界中のステージで現役なんだから恐れ入るよ。
※ ストラトキャスターとテレキャスターはアメリカのフェンダー社、レスポールはギブソン社を代表するエレキギター。どれも登場当時からほぼ同じ形で作られ続けている。メキシコ製ストラトは、フェンダーのメキシコ工場で作られる、アメリカ製より手ごろな価格帯のモデル。
3. 名無しのReddit住民
ホッチキス。職場で1982年から使ってるスイングラインのやつが、いまだにバリバリ現役。毎回きっちり留まって、トラブルなんて一度もない。考えてみると、完成した製品っていっぱいあるはずなんだよ。ただ、その完璧なバージョンを見つけるのが難しい。すぐダメになるように作らないと買い替えてもらえなくて、お偉いさんが儲からないからね。
4. 名無しのReddit住民(>>3への返信)
もっと具体的に言うと、スイングラインの747な。人類が作った中で最高のホッチキスだと本気で思ってる。ずっしり重くて、押し込んだときのガシャンって手応えがたまらない。ちなみにうちのは『リストラ・マン』仕様の赤だ。
※ スイングライン(Swingline):アメリカの老舗文具メーカーで、747は同社の定番の卓上ホッチキス。『リストラ・マン』(1999年、原題 Office Space)は会社勤めの悲哀を描いたアメリカのコメディ映画で、冷遇され続ける社員ミルトンが赤いスイングラインのホッチキスに異様な執着を見せる。映画の影響で、実際に赤いモデルも売られるようになった。
5. 名無しのReddit住民
たぶんYKKのファスナー。安いカバンでも、ファスナーの金具にYKKって刻印があれば当たりだと思ってる。逆に、すぐ噛んだり壊れたりするファスナーは、だいたい聞いたこともないメーカーのやつ。日本の会社らしいけど、あの小さい部品をここまで信頼できるものにしたのは本当にすごい。
6. 名無しのReddit住民(>>5への返信)
問題です。歯が200本あって、怪物が外に出てこないように押さえ込んでるものは何でしょう?
答え:俺のズボンのファスナー。
7. 名無しのReddit住民
安全ピンは、人類がほぼ完成させた数少ない製品の一つだと思う。仕組みが本当にシンプルでさ。針金がバネの役目をして、先端が布を貫いて、留め具でロックする。しかもその留め具が尖った先を覆ってくれるから、自分の指に刺さらない。小さくて安くて何度でも使えて、説明書もいらないし壊れもしない。それを何百万個単位で作れるんだから、文句のつけようがないよ。
8. 名無しのReddit住民
自分は鉛筆に一票。作るのが簡単で安いから、100均みたいな店で束になって売ってる。字を書くのも、スケッチも、陰影をつけるのも全部これ一本でいける。しかも、アップグレードしようって発想がそもそも出てこないんだよね。改良する意味がないくらい、今のままで完璧だから。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
使い道によっては、シャーペンが鉛筆の上位互換だって言えなくもないよな。削らなくていいし、線の太さもずっと同じだし。まあ鉛筆派からすると、削りたての一本で書き始めるときのあの感触は譲れないんだろうけど。
10. 名無しのReddit住民
食器用洗剤のドーン。一時期パルモリーブに浮気してたんだけど、ドーンに戻したら、やっと皿がちゃんときれいになった感じがした。油汚れの落ち方がまるで違うんだよ。
11. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
数年前に香りが変わったのが残念。前のほうが断然好きだった。あと、完璧って言うなら、使ったあとのふきんやスポンジが臭くなるのをどうにかしてほしい。
※ ドーン(Dawn):P&Gが販売するアメリカの定番食器用洗剤。油汚れに強く、原油流出事故で油まみれになった海鳥を洗うのにも使われてきた。パルモリーブ(Palmolive)も、アメリカのスーパーでよく見かける食器用洗剤のブランド。
12. 名無しのReddit住民
ロッジの鋳鉄スキレット。
・安い。中古ならリサイクルショップで数ドルで転がってる
・一生もつ。ほぼ壊れない。錆びだらけの古いやつでも、サンドブラストで削れば新品同様になる
・今でもたいていの料理でいちばん頼れる。熱がムラなく伝わるし、コーティングが剥がれて化学物質が…なんて心配もない。油をなじませて育てておけば焦げつかないし、コンロからそのままオーブンにも入れられる。グリルでも焚き火でも使える
・手入れもほとんどいらない。正直、ちゃんと洗うことすらあまりない
・大きさと形も絶妙。扱いやすいのに調理面は広い
これと鋳物のホーロー鍋が一つあれば、たいていの料理は作れるよ。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
実は鋳鉄って、そんなに均一には熱くならないんだよ。銅やアルミに比べて熱が伝わりにくいから。冷えたスキレットをいきなり強火にかけると、あちこちに熱い部分とぬるい部分ができる。しばらく待って熱を全体に回してから使うのがコツ。それ以外の点は全部同意だし、いいフライパンなのは間違いない。ただ弱点も知っておいたほうがいいってだけ。14. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
ロッジは完成どころか、むしろ退化だと思う。昔の鋳鉄フライパンと比べるとだいぶ劣ってる。重くてずんぐりしてて柄が短いから、中身を注いだり、位置を変えたり、洗ったりするときに扱いづらい。昔のは質のいい鉄でできてたから薄く軽く作れて、柄も長くて、調理面はツルツルに磨いてあった。今のは鉄の質が落ちるぶん、厚くするしかないんだって。自分は骨董品こそ持ってないけど、ディスカウントストアで薄くて軽くて柄の長い鋳鉄フライパンを見つけて、その日のうちにロッジはお役御免にしたよ。
※ ロッジ(Lodge):1896年創業、アメリカ・テネシー州の鋳鉄製調理器具メーカー。スキレット(鋳鉄製の厚手フライパン)は日本のアウトドア用品店でもよく見かける。鋳鉄のフライパンは、油を塗って加熱する「シーズニング」を繰り返して表面に油の膜を育てると、焦げつきにくくなる。
15. 名無しのReddit住民
缶詰って、技術としてはとっくに完成してると思う。途中で少し軽く薄くなったりはしたけど、中身を密封して何年も保存できるって基本は200年以上前から同じ。ちなみに缶詰が生まれてから缶切りが発明されるまで数十年かかってて、それまではハンマーとノミでこじ開けてたらしい。缶詰のほうが完成するのが早すぎたんだよ。
16. 名無しのReddit住民
カシオの腕時計。シンプルで安くて頑丈で、やるべきことを完璧にこなす。F-91Wなんてランチ1回分くらいの値段なのに、電池は何年ももつし、アラームもストップウォッチもライトも付いてる。G-SHOCKにいたっては、落としてもぶつけても平気な顔で動き続ける。余計な機能がないのがいいんだよ。
※ F-91W:カシオのシンプルなデジタル腕時計。日本では「チープカシオ」の代表格として知られている。
17. 名無しのReddit住民
トイレットペーパー。50年以上ほとんど変わってない。紙が芯に巻いてあるだけで、それ以上どうしようもない完成形なんだと思ってた。ところが最近、ミシン目が工夫されてて、切り口がギザギザにならずにきれいに切れるやつを使ったら、これが意外なほど快適でさ。まだ改良の余地があったのかって、トイレの中で一人で感心してた。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
油断してると、そのうち貝殻3つに置き換えられるぞ。使い方はいまだに誰も知らないけど。
※『デモリションマン』(1993年):シルヴェスター・スタローン主演のアメリカのSFアクション映画。舞台となる未来社会ではトイレットペーパーが廃止されていて、代わりに置かれた「貝殻3つ」の使い方がわからず主人公が戸惑う場面が有名。劇中で使い方は明かされない。
19. 名無しのReddit住民
シーリングファンは100年前にデザインが完成してて、最近の変更はむしろ全部改悪。Bluetoothもいらない。Wi-Fiもいらない。LEDライト一体型もいらない。すり減るプラスチックのギアや部品も中に入れないでくれ。それでもメーカーはそういうのを売りつけてくる。壊れてくれないと次を買ってもらえないからね。
20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
さてはあんたもテクノロジー・コネクションズの「ファン」だな? シーリングファンの話だけに。…いや、狙って言ったわけじゃないよ、たぶん。
※ テクノロジー・コネクションズ(Technology Connections):家電や身の回りの技術の仕組みを、しつこいくらい丁寧に掘り下げて解説するアメリカの人気YouTubeチャンネル。
21. 名無しのReddit住民
紙を留めるクリップ。針金を二重に曲げただけなのに、100年以上ほぼ同じ形のまま使われてる。三角形とかハート型とか、改良版っぽいのもたまに見かけるけど、結局どこの文具売り場でもメインで並んでるのはあの形なんだよね。暇な会議中に伸ばしてまっすぐにしたり、スマホのSIMトレイを開けるのに使ったりできるところまで含めて、完成品だと思ってる。
22. 名無しのReddit住民
冷凍パイシート。出来がよすぎて、パイ生地を一から手作りするのはもう時間と材料の無駄でしかない。バターを折り込んでは冷やして、また折り込んで…を半日繰り返してた昔の人に謝りたいくらいだよ。
23. 名無しのReddit住民
ジッポーのライター。1930年代からほとんど形が変わってないのに、今でも風の中で普通に火がつく。フタを開けるときのカチンって音も昔のまま。しかも壊れたらメーカーが直してくれる保証付き。祖父の形見のジッポーをいまだに使ってるけど、ヒンジが少しゆるくなった以外はまだまだ現役だよ。
24. 名無しのReddit住民(>>23への返信)
ジッポーは好きだけど、完成とまでは言えないな。オイルがすぐ蒸発するから、しばらく放っておくと、いざ使おうとしたときには空っぽ。キャンプで火をおこそうとしたらカスッともいわなくて、結局は友達の使い捨てライターに助けてもらった。あのときの気まずさは忘れない。
25. 名無しのReddit住民
地味だけどボールペン。安くて、信頼できて、長持ちして、充電もいらない。なぜか人類はこのデザインをほぼ完璧に仕上げちゃったんだよな。キャップを外すかノックするだけで、毎回ちゃんと書ける。
26. 名無しのReddit住民(>>25への返信)
スーパーでまとめ売りされてる安いボールペンは、書き出しがかすれるし、インクがダマになるし、完成とは言いがたいと思う。一度、日本のジェットストリームを使ってみてほしい。あれを知ると、ボールペンにまだこんな伸びしろが残ってたのかって驚くから。
27. 名無しのReddit住民
スマホ。そりゃ折りたたみ式とかは出てきたけど、基本の形と機能はもう行き着くところまで行ってると思う。ここから先は、毎年ちょっとずつ良くなっていくだけだよ。
28. 名無しのReddit住民(>>27への返信)
行き着いたどころか、途中で改悪されてるでしょ。イヤホンジャックが消えて、有線イヤホンで音楽を聴きながら充電することもできなくなった。昔は電池を自分で交換できたのに、今は店に持っていくしかない。完成してたのは10年前の機種のほうだよ。
29. 名無しのReddit住民
電球。とっくに完成してたのに、わざとすぐ切れるように作り変えられたんだよ。そのほうがたくさん売れるからね。1920年代に大手メーカー同士で、電球の寿命を1000時間までに抑えるって取り決めを結んでたのは有名な話。
30. 名無しのReddit住民(>>29への返信)
カリフォルニアのリバモアって町の消防署には、1901年からずっと点きっぱなしの電球があるんだよ。昔の電球は切れなかった、って話になると必ず引き合いに出されるやつ。ただ、びっくりするくらい暗い電球らしいから、あれを自分の部屋の照明にしたいかと言われると正直微妙。
※ 29番の取り決めは、1924年に世界の大手電球メーカーが結んだ「ポイボス・カルテル」のこと。電球の寿命を1000時間に制限するもので、わざと製品の寿命を縮める「計画的陳腐化」の代表例としてよく語られる。30番の電球は、カリフォルニア州リバモアの消防署で1901年からほぼ途切れずに点灯している「センテニアル・ライト」。
まとめ
挙がった製品を並べてみると、共通点ははっきりしている。ホッチキス、安全ピン、鉛筆、クリップ、ジッポー。どれも仕組みが単純で、電池も説明書もいらず、何十年も形が変わっていない。「完成」とは機能を足し切った状態ではなく、もう足すものがなくなった状態のことなのかもしれない。
一方で、スレッドの裏テーマになっていたのが「完成していたのに、売るために崩された」という恨み節だ。Wi-Fiが付いたシーリングファン、イヤホンジャックが消えたスマホ、寿命を抑えられた電球。スキレットに至っては「今の製品は昔の劣化版だ」という反論まで飛び出し、完成品探しがいつの間にか「昔のもののほうが良かった」談義になっていた。完成と改悪は、メーカーの都合ひとつで紙一重なのだろう。
日本人としてちょっとうれしいのは、YKKのファスナーにカシオの腕時計と、日本メーカーの名前が自然に挙がっていたこと。派手さはないけれど、とにかく壊れない。そういう評価のされ方は、いかにも日本の道具らしい。皆さんが「これはもう完成している」と思う製品は何ですか?

コメント
この場合、stapler だよね、流石は機関銃のホチキス社。