「人類の起源や宇宙について、知ってしまうと落ち着かなくなる事実は?」という質問に、星の残骸からできた原子がなぜか自分の存在理由を考え始めた話、歯は骨ではないという話、小麦が人類を家畜化したという説まで集まっていた。怖がらせに来ているはずなのに、読み進めるうちに「よくここまで来られたな」のほうに気持ちが転んでいくのが面白い。
※ 以下は元スレッドのコメントで語られていた内容です。学界でまだ決着していない説も混ざっているので、そのつもりで読んでください。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
我々は文字通り、死んだ星の残骸からできている。しかもその原子が、なぜか「自分はなぜ存在しているのか」と考えられるところまで意識を持ってしまった。材料としては、ただの物質でしかないのに。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
宇宙が自分自身をリサイクルして、その結果できあがったのが実存的な悩みを抱える生き物、というのがもう出来の悪い冗談だよ。何のためにそこまでやったんだ。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
星屑が意識を得た先が、家賃の心配と、鳴ってほしくない時間に鳴る目覚まし。スケールの落差がひどすぎる。
4. 名無しのReddit住民
90年代のSFドラマ「バビロン5」にこんな台詞がある。「君の体を作っている分子は、このステーションを作っている分子と同じであり、外に広がる星雲と同じであり、星の内側で燃えている分子と同じだ。我々は星の材料でできている。宇宙が自分自身を理解しようとして形になったもの、それが我々だ」。初めて聞いたとき、しばらく黙ってしまった。
※ バビロン5=1990年代のアメリカのSFドラマ。宇宙ステーションを舞台にした長編シリーズで、日本でも放送された。引用は劇中で語られる有名な台詞。
5. 名無しのReddit住民
歯は骨じゃない。胚のごく初期にできる神経堤という組織から分かれてできたものだ。言い方を変えると、歯は口の中に生えている「噛みつく脳のかけら」ということになる。
※ 神経堤=背骨のもとになる部分の近くに一時的に現れる細胞のかたまり。神経や顔まわりの組織のもとになる。
6. 名無しのReddit住民(>>5への返信)
じゃあ英語で親知らずを「知恵の歯」と呼ぶの、比喩でも何でもなく事実だったってこと?7. 名無しのReddit住民(>>5への返信)
これは効いた。あと最近知ったんだけど、大人の歯は生まれた時点ではまだ体の中に無いらしい。生まれたあとに顎の中で作られていく。歯は体の外側に出ている骨だと信じていたい気持ちがあるのに、そのどちらも違うと言われて困ってる。
※ 英語では親知らずを wisdom teeth(知恵の歯)と呼ぶ。分別のつく年頃に生えてくるから、というのが語源とされている。
8. 名無しのReddit住民
ホモ・サピエンスが存在しているのは、たかだか30万年ほど。地球の45億年を24時間に縮めると、人類が出てくるのは23時59分54秒あたりになる。一日が終わる6秒前だ。
9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
時間という概念自体がもともと怖いのに、自分の一生を宇宙の長さと並べた瞬間にもう一段こわくなる。数字が大きすぎて感情のほうが追いつかない。10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
自分が驚いているのはむしろ逆で、我々が宇宙のかなり早い時期にいることなんだよね。生命が成り立つ環境は何兆年も続くと言われている。さっきの24時間のたとえで言うなら、こっちは0時00分00.0000001秒あたりに立っている。ずっと後に現れた誰かが我々の痕跡を見つけて、「こんな早い時代に、たった独りで」と憐れんだりするんだろうか。
11. 名無しのReddit住民
生命が生まれてから10億年ほどで単細胞生物ができたのに、そこから20億年くらい、進化らしい進化がほとんど起きていない。分裂したあとに離れないでいることを細胞が覚えて、ようやく多細胞になった。地球の生命史の3分の1は、微生物がただ漂っていただけの時間ということになる。
12. 名無しのReddit住民
小麦が人類を家畜化した。しかも理由が今もはっきりしていない。移動しながら狩りと採集で暮らしていた集団が、世界のあちこちで急に定住して畑を耕し始めた。小麦は栄養価が高いわけでもないし、まともに育てるには手間もかかる。当時は食べ物が足りない時期の穴埋めくらいの扱いだったのに、気づけば人類の背骨みたいな存在になっていた。掘れば掘るほど、行動の変わり方が異常なんだよ。小麦だぞ。小麦。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
さらに面白いのは、農業が世界各地で十数回、互いにまったく関係なく別々に始まっていることなんだ。あともう一つ、小麦を育て始めた動機はパンじゃなくて酒のほうが先だったんじゃないか、と考えている研究者がけっこういる。人類が人類のあり方を丸ごと変えたきっかけが、仲間と飲みたかったからかもしれない。14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
その理屈でいくと、我々を家畜化したのは酵母ということにならないか。酵母がいなければビールもワインもないし、多くの場合パンだって膨らまない。
15. 名無しのReddit住民
家畜化という言い方はロマンがあって好きだけど、実際はもっと素っ気ない話だと思う。小麦は育てやすくて、同じ面積から取れるカロリーが多い。カロリーが多ければ養える人数が増えるし、人数の多い集団は周りの移動型の集団を押しのけられる。植物の側に意志があったわけじゃなくて、単純に数の勝負だったんじゃないかな。
16. 名無しのReddit住民
宇宙のほとんどはダークマターとダークエネルギーでできている、と言われている。どちらも直接は見えないし、触れることもできない。重力の曲がり方から「何かがある」と分かるだけ。自分たちが把握できているのは、全体のごく一部でしかないという話だ。
※ ダークマター/ダークエネルギー=光では観測できないのに、銀河の回り方や宇宙の膨張のしかたを説明するために必要とされている「何か」。正体は分かっていない。
17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
正確に言えば、ダークマターが存在すると確かめられたわけでもないんだよ。観測結果とうまく噛み合う考え方というだけで、理論の上ではまったく別のものである可能性がまだ残ってる。名前が付いていると、もう見つかったもののように聞こえてしまうのが厄介なんだ。
18. 名無しのReddit住民
宇宙の膨張がだんだん速くなっていること。遠い未来には銀河同士が離れすぎて、互いに届かなくなる。その頃に生まれた知的生命が空を見上げても、そこには何もない暗闇しか映らない。他の銀河が存在したことすら、原理的に知りようがなくなる。
19. 名無しのReddit住民
90万年ほど前、子どもを残せる人類が全部で約1,280人まで減っていた時期がある、という推定を出した研究がある。学校ひとつ分にも満たない人数で、種として綱渡りをしていたことになる。
※ 遺伝子の多様性から過去の人口を逆算した研究による数字。推定の手法をめぐって異論もあり、確定した事実ではない。
20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
その人数なら、たまたま同じ時期に厄介な流行り病が回っていただけで全部終わっていたんだよな。今こうして文字を打っていること自体が、かなり無理のある結果に見えてくる。
21. 名無しのReddit住民
宇宙の熱的死が避けられないこと。いずれ星は全部燃え尽きて、物質も崩れて、時間そのものが意味を持たなくなる。それだけの規模の話を知っていながら、自分は明日も7時に起きてメールを返さないといけない。この落差が本気で怖い。
※ 熱的死=宇宙のエネルギーが均一になって、それ以上どんな変化も起きなくなる状態のこと。
22. 名無しのReddit住民(>>21への返信)
「たぶん避けられない」が正確なところで、決まった話ではないよ。今の標準的なモデルはまだ完成品じゃないし、弱いところもある。ダークエネルギーの扱いが変われば結論が丸ごと入れ替わる余地はあるし、宇宙が膨張と収縮を繰り返しているという考え方も、完全に消えたわけじゃない。
23. 名無しのReddit住民
病気は空気からしか来ない、と本気で信じられていた時代がそれほど昔じゃないこと。悪い空気を吸ったから病気になる、という説明で医学が回っていた時期がある。
※ 瘴気説。汚れた空気そのものが病気の原因だとする考え方で、19世紀後半に細菌の存在が確かめられるまで広く信じられていた。
24. 名無しのReddit住民(>>23への返信)
細菌の知識を持ったことが、我々の「汚い」という感覚そのものを作り替えた、という指摘をどこかで読んだ。目に見えない相手を怖がる感覚は、生まれつきじゃなくて後から教わったものなのかもしれない。
25. 名無しのReddit住民
胎盤はウイルス由来の遺伝子から進化したものだと言われている。あとペストを生き延びた人たちは免疫の反応が強めで、その体質を子孫が受け継いだせいで、今の人類はペスト以前より自己免疫の問題を起こしやすくなっている、という説もある。生き延びた代償を何百年も先の子孫が払っている形になる。
※ どちらも研究で提唱されている説。特に後者は議論が続いている段階で、決着した話ではない。
26. 名無しのReddit住民
動物なら近い種がいくつもいるのが普通なのに、人間だけが一種類しか残っていないこと。昔は10種類近くいたと聞いたことがあるけど、正確な数は知らない。とにかく全部絶滅した。自分とよく似ているのに自分とは違う相手が目の前に立っている場面を想像すると、不気味の谷にしては距離が近すぎて落ち着かない。
27. 名無しのReddit住民(>>26への返信)
我々が絶滅させたんだよ。殺したか、あるいは交わって自分たちのDNAの中に取り込んだかのどちらか。ネアンデルタール人がまさにそれで、今も我々の遺伝子の中にわずかに残っている。28. 名無しのReddit住民(>>26への返信)
皆殺しにしたという説は、だいたい外れだと思う。ホモ・サピエンスは広い範囲に散らばりながら集団同士が繋がっていて、どこかが災害に遭っても別の集団が助けに入れた。他の人類にはそれがなかったらしい。あとは体に合わせて仕立てた衣服、複雑な住居、釣り、まともな道具、火。単純に生き延びる力のほうが上だっただけ。小競り合いも交雑もあっただろうけど、最後に一種類だけ残った理由は賢さと群れ方だと思ってる。
※ ネアンデルタール人/デニソワ人=かつて存在していた別種の人類。現生人類の遺伝子に、彼らに由来する部分がわずかに残っていることが分かっている。
29. 名無しのReddit住民
結局のところ、何ひとつ本当の起源が分かっていないこと。生命がただ始まって、その延長線上に自分がいる、という事実がどうしても頭に入ってこない。神が創ったと言われても、じゃあその神は誰が何のために創ったんだよという話になる。どこまで遡っても、最初の一段だけが見つからない。
30. 名無しのReddit住民
何かが何かの中に入っている、という構造がどこかで途切れること。粒子は原子の中にあって、原子は分子の中、分子は細胞、細胞は体、体は部屋、部屋は家、家は地球、地球は太陽系、その先は銀河、宇宙。ここまで全部「何かの中」なのに、その先で急に何も無くなる。宇宙が入っている容れ物は何なんだ。端があるなら、その端は何に止められているんだ。……などと考えて、そろそろ仕事に戻る。
まとめ
ゾッとする事実を持ち寄るスレッドのはずが、読み進めると話の向きが二つに割れていくのが面白い。ひとつは「自分たちがどれだけ小さくて、どれだけ運が良かったか」という方向。90万年前に1,280人まで減っていたという推定も、他の人類が一種類残らず消えたことも、どれも「そうならなかった世界のほうが自然だった」と言っている。もうひとつは「分かっていないことの多さ」で、ダークマターも生命の起源も、名前だけは付いているのに中身は空欄のまま、それを承知で我々は今日も普通に暮らしている。そして今回いちばん効いたのは、そのどちらに対しても「たぶんそうだけど、確定ではない」と割って入る人が必ず現れることだった。怖い話が大きくなりすぎる前に、誰かがブレーキを踏む。日本だと空気を読んで黙ってしまいがちな役回りだけれど、あれがあるからこのスレッドは読み物として成立していたと思う。皆さんは、知ってしまって以来ふとした瞬間に思い出してしまう事実はありますか?

コメント
「君の体を作っている分子は、このステーションを作っている分子と同じであり、外に広がる星雲と同じであり、星の内側で燃えている分子と同じだ。我々は星の材料でできている。宇宙が自分自身を理解しようとして形になったもの、それが我々だ」
何か意味ありげなこと言ってるようで、実のところは何の意味もない幼稚なアホのタワゴトという言葉が時々ある。その良い一例だなw
数億円の価値ある画家の油絵も、材料はせいぜい数千円の油絵具だから価値は同じものだと言ってるようなものだ。人の意思とか思考というのは物質の配列とか組成といった情報にこそ記録されてるもので、ステーションの建材や星屑の岩石が思考してるわけではない。