「言葉の使い方が信じられないほど上手い作家って誰?」——多読家が集まるスレッドで、この一行から始まった議論が止まらなくなった。挙がるのは名前だけじゃない。「この一文を読んでくれ」「この比喩で痺れた」と、みんな自分の偏愛を熱く語り出す。読書好きの本気が詰まった30コメントを覗いてみよう。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
カート・ヴォネガットの文章が好きすぎる。あの淡々としたユーモアの裏にとんでもない悲しみが隠れてて、笑ってるうちに胸を刺される。「So it goes(そういうものだ)」の一言だけで戦争の無意味さを丸ごと表現してくるんだから反則だよ。
※ カート・ヴォネガット=アメリカのSF/風刺作家。『スローターハウス5』が代表作。シニカルで温かい独特の文体で知られる。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
分かる。『スローターハウス5』を初めて読んだとき、こんなに軽い文章でこんなに重いこと書けるのかって衝撃だった。読み終わったあと、しばらく天井見つめてたよ。
3. 名無しのReddit住民
ジョン・スタインベック派。彼の書いたものはほぼ全部好きだ。『怒りの葡萄』の出だしの土埃の描写なんて、読んでるこっちの喉までカラカラになる。風景を書いてるだけなのに、そこに生きてる人間の絶望まで全部見えてくるのが本当にすごい。
※ ジョン・スタインベック=アメリカの小説家、ノーベル文学賞作家。大恐慌期の労働者を描いた『怒りの葡萄』『エデンの東』が有名。
4. 名無しのReddit住民
テリー・プラチェット一択。面白くて、皮肉が効いてて、それでいて急に胸を締めつけてくる。社会風刺の上に、思わずニヤッとする駄洒落を何気なく忍ばせてくるあの手際。笑わせながら大事なことを言うってこういうことかと毎回うなる。
※ テリー・プラチェット=イギリスのファンタジー作家。コミカルな異世界もの『ディスクワールド』シリーズで世界的人気。風刺とユーモアの名手。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
プラチェットほど一文をきれいに決められる作家はいないと思う。何気ない一行に伏線とジョークと哲学が同時に詰まってて、二度読みしてようやく仕掛けに気づくことがしょっちゅうだよ。
6. 名無しのReddit住民
コーマック・マッカーシーだな。文章が美しすぎて自分が何を読み始めたのか忘れかける。そしてBAM、いきなり茨に串刺しにされた赤ん坊みたいな悪夢の光景をぶち込んでくる。あの落差で殴られる感覚は他の作家じゃ味わえない。
※ コーマック・マッカーシー=アメリカの小説家。『ザ・ロード』『血と暴力の国』で知られる。句読点を削ぎ落とした硬質な文体と暴力描写が特徴。
7. 名無しのReddit住民(>>6への返信)
『アウター・ダーク』の「光が偽りの聖性をまとって彼らの頭上に触れる」って一節、初めて読んだとき声が出た。たった一行でこんな不穏な美しさを作れるのかと。
8. 名無しのReddit住民
アーネスト・ヘミングウェイは本当にすごいのに、みんな忘れがちだよね。今ちょうど闘牛について書いた『午後の死』を読んでるんだけど、代表作とは言われてないこの本ですら、場所と時間の空気を言葉だけで立ち上げる手腕に完全に飲み込まれてる。
※ アーネスト・ヘミングウェイ=アメリカのノーベル文学賞作家。『老人と海』『武器よさらば』が有名。無駄を削いだ簡潔な文体「ハードボイルド」の元祖。
9. 名無しのReddit住民
ナボコフだろ。英語が母語じゃないのにモダン英語で最高の文章を書くって、冷静に考えて狂ってる。『ロリータ』の冒頭、舌が上顎を三段階でなぞる例の一節、あれを非ネイティブが書いたと思うと震えるよ。単語の選び方が宝石みたいなんだ。
※ ナボコフ=ロシア生まれの作家。亡命先で英語に転じ『ロリータ』を執筆。技巧を凝らした華麗な英語文体で「最高のスタイリスト」とも評される。
10. 名無しのReddit住民
スティーヴン・キングは間違いない。ホラー作家ってだけで文章を軽く見られがちだけど、人物の内面を一行で生々しく抉る描写力は本物。怖さより先に「この人物、知ってる気がする」と思わせてくるのが彼の真骨頂だと思う。
11. 名無しのReddit住民
トム・ロビンスは純粋なドタバタの喜びそのもの。一文が長くて脱線しまくるのに、読んでると多幸感でニヤニヤしてくる。文章でこんなに陽気な気分にさせてくる作家、他に思いつかないな。
※ トム・ロビンス=アメリカの作家。奇想天外な物語と饒舌で遊び心あふれる文体が持ち味。『カウガール・ブルース』などで知られる。
12. 名無しのReddit住民
ロアルド・ダール。子供向けって括りで侮ってる人がいるけど、言葉のリズムと毒の混ぜ方が天才的だよ。残酷さと優しさを同じ文章に同居させる技術、大人になって読み返すとゾクッとする。
※ ロアルド・ダール=イギリスの児童文学作家。『チョコレート工場の秘密』『マチルダ』が代表作。ブラックユーモアと意外な毒っ気で知られる。
13. 名無しのReddit住民
W・E・B・デュボイスを推したい。初めて読んだとき、その文章の見事さに本当にショックを受けた。社会評論なのに散文として完璧なんだ。文章力だけで言えばアメリカ史上屈指の書き手の一人だと本気で思ってる。
※ W・E・B・デュボイス=アメリカの社会学者・公民権運動家。著作『黒人のたましい』は社会評論ながら詩的な散文で高く評価される。
14. 名無しのReddit住民
村上春樹の文章は純粋な魔法だと思う。日常の何でもない場面を書いてるだけなのに、いつの間にか現実の輪郭がぼやけて別の世界に連れていかれる。比喩の角度が独特で、読むと感覚のチューニングが少しずれる感じがするんだよね。
15. 名無しのReddit住民
デイヴィッド・ミッチェル(『クラウド・アトラス』の方ね、同名のコメディアンじゃなくて)。時代も文体もバラバラの6つの物語を、声を完全に書き分けて一冊に編み込む技術は信じられない。一人の人間が書いてるとは思えないんだ。
※ デイヴィッド・ミッチェル=イギリスの小説家。『クラウド・アトラス』は時代や文体の異なる物語を入れ子状に構成した作品で映画化もされた。
16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
同名のコメディアンの方も普通に好きだから、その注意書きで一瞬どっちか分からなくなったの私だけじゃないはず(笑)。でも『クラウド・アトラス』の語り分けは確かに化け物級だわ。
17. 名無しのReddit住民
アーシュラ・K・ル=グウィン。ファンタジーやSFって枠で語られがちだけど、文章の静けさと深さは純文学そのものだよ。少ない言葉で世界観と倫理観を同時に立ち上げる。読み終わると自分の物の見方が少し変わってる感じがする。
※ アーシュラ・K・ル=グウィン=アメリカのSF/ファンタジー作家。『ゲド戦記』『闇の左手』が代表作。思想性の高い静謐な文体で知られる。
18. 名無しのReddit住民
ちょっと変化球だけど、エドガー・アラン・ポーは途方もない言葉の職人だと思う。当時の疑似科学的な語彙を逆手に取って、頭の中に情景をビシッと立ち上げてくる。あの古めかしい単語の並べ方じゃないと出ない不穏な空気があるんだ。
※ エドガー・アラン・ポー=19世紀アメリカの作家・詩人。『黒猫』『アッシャー家の崩壊』など怪奇・推理小説の先駆者。独特の韻律と語彙で有名。
19. 名無しのReddit住民
トニ・モリスン。一文一文の密度が異常で、軽く読み流そうとすると振り落とされる。痛みや記憶を扱うときの言葉の選び方が、優しいのに容赦なくて、読んでると喉の奥が詰まってくるんだよ。
※ トニ・モリスン=アメリカのノーベル文学賞作家。『ビラヴド』が代表作。黒人女性の歴史と記憶を詩的かつ重厚な文体で描いた。
20. 名無しのReddit住民
C・S・ルイス。ナルニアは純粋な魔法だ。彼は別に凝った書き方をする必要がなかった。動機が純粋で、書きたいことがはっきりしてたから、ただ素直に書いただけで文章が良くなってる。あの透明感は技巧じゃ出せないと思う。
※ C・S・ルイス=イギリスの作家・神学者。『ナルニア国物語』が代表作。トールキンの友人で、平易ながら寓意に富む文体が特徴。
21. 名無しのReddit住民
ヒラリー・マンテル。歴史小説であんなに濃密な現在進行形の臨場感を出せる人はいない。500年前の宮廷の空気を、まるで今その部屋にいるみたいに書いてくる。地の文を読んでるだけで息が詰まるよ。
※ ヒラリー・マンテル=イギリスの小説家。テューダー朝を描いた『ウルフ・ホール』で英国の権威あるブッカー賞を2度受賞した。
22. 名無しのReddit住民
パトリック・ロスファス。物語が進まないことで有名だけど、それでも文章の音楽性だけで読ませてくる。言葉のリズムが詩に近くて、声に出して読みたくなる段落がいくつもあるんだ。続巻はいつ出るんだ……。
※ パトリック・ロスファス=アメリカのファンタジー作家。『キングキラー・クロニクル』が代表作。流麗な文体で人気だが続刊が長年止まっている。
23. 名無しのReddit住民
ドストエフスキーは映画好きにこそ刺さると思う。彼の文章は妙に映像的で、登場人物の細かい仕草や一瞬の表情の変化までカメラで捉えたみたいに書いてくる。大勢のキャラが同時に絡み合って物語を引っ張る感覚、読んでてリアルタイムで芝居を見てるみたいなんだ。
※ ドストエフスキー=19世紀ロシアの文豪。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』が代表作。人間の心理を執拗に掘り下げる描写で知られる。
24. 名無しのReddit住民
クライヴ・バーカーを挙げたい。ホラーなのに描写が官能的で、グロテスクなものを美しく書いてしまう。気持ち悪いはずの場面で見惚れてる自分がいて、読み終わると自分の感性を疑うことになる。
※ クライヴ・バーカー=イギリスのホラー作家・映画監督。『ヘルレイザー』の原作者。耽美で残酷なダークファンタジーを得意とする。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
分かる、バーカーは「美しさ」と「おぞましさ」のスイッチが同じ場所にあるタイプだよね。だからこそ一回ハマると抜けられない。コーマック・マッカーシーと並べて語られるのも納得だわ。
26. 名無しのReddit住民
賛否あるのは承知だけど、ニール・ゲイマンは良い書き手だよ。彼の文章は温かいハグに悪夢のかけらを少しまぶしたみたいな感触で、安心と不気味さが同居してる。おとぎ話の語り口で背筋を撫でてくるあの感じが癖になるんだ。
※ ニール・ゲイマン=イギリスの作家。『サンドマン』『アメリカン・ゴッズ』が代表作。神話とダークファンタジーを織り交ぜた語り口で知られる。
27. 名無しのReddit住民
アナイス・ニンを挙げる人が少なくて悲しい。彼女の日記から気に入った断片を集めてるんだけど、人生のどんな些細なことも空想的にロマンチックに書き換えてしまう力があるんだ。同じ朝の光景でも、彼女の手にかかると物語になる。
※ アナイス・ニン=フランス系アメリカの作家。膨大な『日記』と官能的な散文で知られる。内省的で詩的な文体が特徴。
28. 名無しのReddit住民(>>27への返信)
ニンの日記、あれは文章の宝石箱だよね。何でもない一日のメモのはずなのに、一文ごとに人生をいとおしく思えてくる。落ち込んだ夜に開くとちょっと救われるんだ。
29. 名無しのReddit住民
散文の美しさで言うならカズオ・イシグロが一番だ。『日の名残り』の文章は本当にうっとりする。執事の抑制された語りなのに、語られない感情が行間からじわじわ滲み出てきて、最後にはこっちが泣いてる。あの静かな破壊力は反則だよ。
※ カズオ・イシグロ=日系イギリス人のノーベル文学賞作家。『日の名残り』『わたしを離さないで』が代表作。抑制された端正な文体で知られる。
30. 名無しのReddit住民
ロジャー・ゼラズニイを推す。最高の書き手がみんなそうであるように、彼は散文と詩を融合させる。SFの設定を語ってるだけの場面でも、ふと一行が詩になる瞬間があって、そこで毎回ハッとさせられるんだ。コードウェイナー・スミスも同じ系統の達人だよ。
※ ロジャー・ゼラズニイ=アメリカのSF/ファンタジー作家。『アンバーの九王子』が代表作。神話を下敷きにした詩的な文体で知られる。
まとめ
こうして並べてみると、「言葉が上手い」と感じる基準が人によって全然違うのが面白い。ヘミングウェイやイシグロのように削ぎ落とした静けさに痺れる人もいれば、ナボコフやポーの絢爛な語彙の洪水にやられる人もいる。共通しているのは、みんな「名前」じゃなく「あの一文」「あの落差」「あの語り口」という具体的な記憶で作家を語っていること。本当に好きな書き手は、誰しも体のどこかに一節が刻まれているのかもしれない。ヴォネガットやマッカーシーのように日本語訳で読める巨匠も多いので、気になった名前があればぜひ一冊手に取ってみてほしい。皆さんは、言葉の使い方が信じられないほど上手いと思う作家は誰ですか?


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