「人事の人、今まで見た中で一番ひどかった解雇の案件は?」——海外掲示板で人事や管理職の経験者に投げかけられた質問に、笑ってしまう話から背筋が寒くなる話まで一気に集まった。机の列を人事と警備が両端から挟み込んだ日の記憶、患者の家で副業をしていた看護師、すれ違いざまに屁をこき続けて本当に解雇された副店長。読んでいるうちに、会社という場所の底が少しずつ見えてくる。
元スレッド:r/AskRedditより
※ アメリカの多くの州では「随意雇用(at-will employment)」が原則で、差別など違法な理由でない限り、会社は予告なしにその日で雇用を終わらせられる。解雇に厳しい制限がある日本とは、前提がかなり違う。
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
人事じゃないけど、2019年にGMが事務職を大量に切ったとき、人事と警備が机の列を両端から挟み込むようにして人を捕まえていくのを見た。何が起きているか気づいた人たちが自分の区画に来る前に帰ろうとしたんだけど、出口で警備にリストと照合されて全員止められてた。
一番きつかったのは、うちの部署にいた60歳くらいの、本当に優しいおじさんが挟まれたとき。年金まであと2年だったんだって泣いてた声が、今も耳から離れない。
※ GM(ゼネラルモーターズ)は2019年に事務職を中心とした大規模な人員削減を実施した。ここで言う年金は勤続年数と年齢の条件を満たさないと支給されないタイプで、条件に届かないまま切られると受け取れる額が大きく変わる。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
こういうのがあるから、今どき会社への忠誠心なんて誰も持たないんだよ。20年尽くしても、切るときは机の両端から挟んで出口封鎖だぜ。こっちが辞めるときは1か月前に言うのが礼儀ですって説教されるの、さすがにもう笑えない。3. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
そもそも会社が労働者に忠誠を尽くしてた時代なんて、歴史上ほとんど無かったと思うけどな。景気が良くて人手が足りない時期は優しくするしかなかっただけで、余裕がなくなった瞬間に地が出る。優しかったんじゃなくて、優しくしておいた方が得だっただけ。
4. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
途中で帰ろうとした人たちって、席を外せば対象から外れると本気で思ってたのかな。あの空気の中で立ち上がるのも相当な度胸だと思うけど。5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
翌日、実際に逃げようとした一人に同じことを聞いてみたよ。本人も無駄なのは分かってたって。ただ体が勝手に出口の方に向かってたらしい。極限まで追い込まれて逃走本能が振り切れたんだと思う。実際、住宅ローンと家族の状況によっては本当に生活が終わる人もいたわけで、命の危険を感じてたのはあながち間違いじゃない。
6. 名無しのReddit住民
残念ながらもっとひどいのを知ってる。1978年、みんなに好かれてた製造ラインの主任が午後の会議に入ってきたら、いきなり「あなたはここにいてはいけません」と言われた。理由を聞いたら、30年以上一緒に働いてきた同僚が全員いる前で解雇を告げられた。その場で心臓発作を起こして倒れたよ。幸い命は助かったけど、あの光景を見た人間はたぶん全員忘れてない。
7. 名無しのReddit住民
年金の話が一番刺さる。うちは23年勤めた工場長が退出させられたんだけど、本人は昼飯の袋を持ったまま突っ立ってて、人事はスーパーのレシートを読み上げるみたいな調子で退職条件を読み上げてた。
もっときつかったのは受付の女性で、荷物をまとめて出ていく直前に「私の内線、転送しておいた方がいいですか?」と聞いてた。最後の最後まで仕事の心配をしてるんだよ。
8. 名無しのReddit住民
条件次第では2年足りなくても年金は出る、と言う人がいるけど、それは会社による。うちの母は長距離電話の交換手で、ちょうど人間が自動化に置き換えられていく時期に働いてた。年金の条件は勤続30年かつ50歳以上で、どちらか片方でも欠けたら本当にゼロ。母のいた事業所が閉鎖になったのは、母が50歳になった4か月後で、勤続30年を迎えた1か月後だった。数か月ずれてたら何も残らなかったってことになる。
※ 当時のアメリカの電話事業は「ベル・システム(通称マ・ベル)」がほぼ独占していた。手動の長距離交換手は自動交換機の普及で一気に職を失った代表的な職種で、勤続条件を満たす直前で事業所が閉まる例が実際に多かった。
9. 名無しのReddit住民
人事じゃないけど、患者の自宅に24時間体制で看護助手と准看護師を派遣する会社を回してた。ある日いきなり警察が来て、今その家にいる看護師を逮捕したから代わりを寄越してくれと言われた。
彼女は患者の家を拠点に売春の商売をやってたらしい。そしてどうやら、その患者の息子が客の一人だった。
10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
せめて息子には身内割引が効いてたことを願うわ。実家に顔を出したらそんなことになってるの、一日で処理する情報量として多すぎる。11. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
前に住んでた家の隣人についてた介護の人、たぶん家から薬を売ってたと思う。一日中いろんな車が来ては、降りた人が横のドアから入って1分くらいで出てくるのを毎日見てた。今思えばあれで何もないと考える方が無理がある。
12. 名無しのReddit住民
管理職として、セクハラを理由に部下を解雇する別の管理職に同席したことがある。手続きは全部踏んでるし、本人にも事前に伝わってるし、うちの国は従業員保護が強いから支援担当も揃ってて、そこまではずっと穏やかに話が進んでた。
それが最後の面談で本人が突然ブチ切れて、自分の行為を正当化する演説を始めた。しかもその勢いで、カメラに映ってなくてこっちが把握してなかったもっとひどい件まで自分で喋ってしまった。誰かが口を開く前に本人がやらかしたことに気づいて、俺の頭に殴りかかってドアから走って逃げていった。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
で、そのパンチは当たったの? 警察には届けた? そこまで来たら普通に暴行事件だし、退職金がどうこうって話じゃなくなるよね。14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
通知が届きました——「セクハラのジョンさん」があなたとのつながりを希望しています。[承認する][無視する]※ 英語の connect は「(パンチが)当たる」と「(SNSで)つながる」の両方を指す。ビジネスSNSのLinkedInから来る「つながり申請」の通知をもじった定番のジョーク。
15. 名無しのReddit住民
うちのテレビ局にいた報道カメラマンが、局のロゴがでかでかと入った中継車のまま、地元のストリップクラブに通うのを習慣にしてた。裏道でこっそりとかじゃなくて、店の駐車場に堂々と停めるんだよ。そりゃバレる。
16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
熱い情報を追いかけてたんだろうな、たぶん。うちの地元局にも似たのがいて、高校のアメフトの試合を撮った帰りに、ロゴでラッピングされた社用車の中で大麻を吸ってた。しかも学校の駐車場で。ちなみにその人の奥さんは今もその局で働いてる。
17. 名無しのReddit住民
人事じゃないけど、副店長を一人解雇したことがある。理由は、従業員の横を通るたびに屁をこくから。何度もハラスメントに当たるからやめろと警告したのに一切直らなくて、最終的に本当に切った。解雇理由の欄にそれを書いてるときの気持ちを想像してほしい。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
社内農薬散布機に敬礼を送りたい。被害を受けてた側からしたら地獄なのは分かるんだけど、警告されても最後まで貫き通したその執念だけは本物だし、社内の記録に永久に残ってると思うと笑ってしまう。※ 英語圏では、歩きながら周囲に屁をまき散らす人をクロップダスター(農薬散布機)と呼ぶ俗語がある。
19. 名無しのReddit住民
最初の仕事がサブウェイで、最終的に店長までやった。ある日オーナーから、なんでこんなに注文の修正記録が多いんだと電話が来た。調べたら、俺が上がった後にスタッフが俺の通した注文を編集して打ち直し、会員ポイントを自分のアカウントに付け替えてた。
うちには人事なんて存在しないから、自分で切るしかない。別のやつは注文自体を削除してレジから現金を抜いてた。POSの画面から消えたら無かったことになると思ってたらしいけど、記録は全部サーバーに残ってるんだよな。
20. 名無しのReddit住民
営業の一人がアラスカ出張を何度も入れてた。取引先はあるけど、そこまで頻繁に行く必要のない土地。調べたら犬ぞりレースのスタートを見に行って、ついでに釣りをしてただけ。現地の客に確認したら、そもそも自分の担当営業が誰なのか知らなかった。あっという間にクビ。
在宅勤務の日に電話会議に出てた男は、子供が部屋に入ってきた瞬間に絶叫した。怒鳴り声、物音、泣き叫ぶ子供、叫ぶ大人の声が全部そのまま会議に流れて、誰かが通報して、その日のうちに解雇。
一番すごかったのは現場監督で、部下2人を勝手に辞めさせておいて人事には報告せず、その2人を給与システム上は在籍のままにして、振込先を自分の口座に書き換えて給料を受け取り続けてた。
※ 犬ぞりレースはアラスカの名物で、毎年3月に開催されるイディタロッドは出発地点に観客が集まる一大イベント。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
あんた一人でどれだけの職場を渡り歩いてるんだ。職歴が短編集みたいなことになってるぞ。22. 名無しのReddit住民(>>21への返信)
このスレはもうこの人の優勝でいいと思う。他の話が全部前座に見えてきた。というかハンドルネームからして「なんでもやる人」だから、たぶん本当に全部やってきたんだろうな。
23. 名無しのReddit住民
倉庫の話。うちは冷蔵側と常温側に分かれてて、常温側の男が冷凍庫での作業を頼まれた。20分ほど氷点下にいることになるけど、普段は常温側だから上着なんて持ってきてない。安全用の黄色いポールにパーカーが引っかかってたから、それを借りて中に入った。
作業中に持ち主が取りに来て、盗まれたと思い込んで人事に駆け込んだ。人事がカメラを確認してる間に、彼は作業を終えて同じポールにパーカーを掛け直してる。
それでも1時間後に呼び出されて、窃盗を理由に解雇。誰かの置き忘れだと思って借りて、終わったらちゃんと戻した。凍えたくなかっただけなんだよ。
24. 名無しのReddit住民
うちの田舎には大きな職場がウォルマートと工場3つしかない。ウォルマートで一緒だった男が、一番給料のいい工場でフォークリフトの仕事を勝ち取った。研修を終えて現場に出て3週間で人事に呼ばれ、その場で解雇。
冷蔵庫に入ってる他人の弁当を漁ってたのが全部カメラに残ってた。本人は否定して、映像を何本も見せられてもまだ否定した。当然、失業給付も無し。話はあっという間に町中に広まって、他の工場もウォルマートも彼を採らなくなった。
※ アメリカの失業給付は、本人の重大な就業規則違反による解雇だと受け取れないことが多い。地方だと大きな雇用主が数社しかないため、一度評判が落ちると再就職先が一気に消える。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
うちは逆に、切りたくない人を切らされた。ダブルシフト明けの帰り際に、小さいチョコを3個だけ持って帰った年配の女性。俺の感覚だと注意すらしない話だし、あの3個で会社が傾くわけもない。
問題は、同僚がそれを見て告げ口したこと。しかもそいつの身内が人事の担当者と付き合ってた。カメラに映ってて、目撃者がいて、正式に報告されてる。過去に窃盗で切られた人がいる以上、同じ基準を通すしかないと言われて手が塞がった。
その後、俺は転職して、イベントの派遣で来ていた彼女と偶然また一緒に働くことになった。あのときの決定に自分は納得してなかったと本人に謝れたのだけが救い。
26. 名無しのReddit住民
人事の管理職です。正直そこまでひどい案件は無い。ほとんどの解雇は理由が明白で反論のしようがないし、証拠は先に固めてから呼ぶ主義なので。
印象に残ってるのはマウスジグラーの件。在宅の日に働いてるように見せかけてた男で、上司から「あいつ在宅の日だけ成果物がゼロなんだけど」と相談が来た。呼び出して、マウスジグラーを使ってるのは把握してると伝えたら、間髪入れずに「そんなことするわけない、俺じゃない」。
在宅の日に何時間も同じ画面のままだったスクリーンショットを何日分か並べたら、「まあ、それは仕方ないですね」。手のひらの返り方が早すぎて逆に感心した。
※ マウスジグラー:マウスを自動で動かし続ける小型の装置。離席してもPCがスリープにならず、勤怠ツールの表示を在席のままに保てる。在宅勤務の普及とともに広まった。
27. 名無しのReddit住民
アマゾンで運用側の管理職をやってて、懲戒や解雇の異議申し立てを担当してた。忘れられないのは、同僚への差別発言と脅迫で挙がってきた女性の件。かなりの罵倒と、殺すという趣旨の発言まで記録に残ってた。
手続き上、本人に電話をかける。名乗って用件を伝えて「今お話ししても大丈夫ですか」と聞いたら、「大丈夫、今入院してるだけだから」。事情が事情なので日を改めますと言っても「いいよ、どうせ寝てるだけだし」。
それで「あなたは差別発言と同僚への脅迫で申し立てを受けていて」まで言ったところで遮られて、「申し立ても何も、言ったよ。あいつが大嫌いなんだから」。少し固まってから、規定通りの処分なので解雇は取り消せませんと伝えたら、返ってきたのが「じゃあ来週また応募していい?」。
28. 名無しのReddit住民
冗談で退職の挨拶メールを全社宛に送った男の話を聞いたことがある。すぐネタですと言えばよかったのに、そこから机を離れるのを頑として拒否したせいで、本当に退職扱いになった。冗談で始まって書類上は自己都合ですらない形で終わるの、わりと業が深い。
29. 名無しのReddit住民
情報セキュリティの責任者が職場で逮捕されて、フロア全員の前を手錠で連れていかれるのを見ると、その人が何をやってたのかなんて、もう知りたくもなくなる。
30. 名無しのReddit住民(>>29への返信)
いや、知りたいに決まってるだろ。このスレはまさにそれを聞くために立ってるんだが。ここまで引っ張っておいて終わるのは無しだって。
まとめ
集まった話は、きれいに二つに割れている。片方は本人がとんでもないことをやらかしたケースで、患者の家で商売を始めた看護師、局のロゴ入り車でストリップクラブに通ったカメラマン、部下の給料を自分の口座に振り替えていた現場監督。ここは笑って読める。問題はもう片方で、年金の条件まであと2年だった人、勤続30年と50歳という条件を数か月差でぎりぎり満たした人、借りたパーカーを元に戻したのに窃盗扱いされた人、チョコ3個で長年の勤務を終わらせられた人。切られる理由の重さと、失うものの大きさがまったく釣り合っていない。
アメリカの多くの州では会社側がその日で雇用を終わらせられるぶん、解雇の判断は「規則を一貫して適用したか」に寄りやすい。だからチョコ3個でも前例と同じ扱いにするしかない、という理屈が通ってしまう。逆に言えば、人事担当が現場で理不尽さを感じても止められない構造でもある。日本だと解雇のハードルが高い代わりに、追い出し部屋や配置転換のようにじわじわ削る方向に力がかかりやすい。どちらがましなのかは、正直かなり難しいところ。
皆さんの周りで、これはさすがに理由が軽すぎないか、と思った解雇の話はありますか?

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