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海外「殿方も御者も、この件には以後いっさい触れてはならないのでございます」馬車を降りる淑女の足首が見えたら、紳士はどうすべきか…?

海外「殿方も御者も、この件には以後いっさい触れてはならないのでございます」馬車を降りる淑女の足首が見えたら、紳士はどうすべきか…? 文化・習慣

「殿方と同席している未婚の淑女が、馬車から降りる際にうっかり足首をのぞかせてしまった場合、礼節は殿方にいかなる振る舞いを求めるか」。海外掲示板に、19世紀の礼儀作法書から抜け出してきたような文体の質問が投稿された。ヴィクトリア朝(1837〜1901年の英国)には、女性の足首が人目に触れるだけで「はしたない」とされた、というイメージがある。質問はそのイメージに乗った遊びで、答える側も古めかしい言い回しで大真面目に応じた。なかでも、1889年と1890年生まれの祖父母に育てられたという女性の回答が、スレッドの主役になっている。

元スレッド:r/AskRedditより

海外の反応

1. 名無しのReddit住民
わたくし、ヴィクトリア朝の人間に育てられたほどの年でございますから、この難題の正しい答えを存じております。
理想を申しますなら、まず殿方が先にお降りになること。そのあいだ、扉は御者が押さえております。降り立った殿方は、御者とは反対の側にお立ちになり、ご婦人が降りるのに手をお貸しするのです。そうしておけば、ご婦人がうっかりのぞかせてしまったものを、殿方ご自身が盾となって、物見高い人々の目から隠してさしあげられます。そして殿方も御者も、この件には以後いっさい触れてはならないのでございます。

2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
ヴィクトリア朝の礼儀作法って、要するに「何も起きなかったふりをする」ための、高度に組織化されたシステムだったんだな。

3. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
先ほど馬車の降り方をお答えした者でございます。もう少し正確に申しますと、何も起きなかったふりをしながら、細部を一つ残らず記憶に刻んでおくのです。そして、ここぞという折に武器として持ち出す。それが絶好の折になるか最悪の折になるかは、どちらの側にいるか次第でございますけれど。

4. 名無しのReddit住民(>>3への返信)
出たよ、これぞ本場の「ヴィクトリア朝流」ってやつだ。お上品な顔して、やることがえげつねえな。

5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
何とでもおっしゃいませ。けれども、その「ヴィクトリア朝流」が、わたくしにはこれでなかなか役に立って参りましたのよ。とりわけ、すぐにうろたえてしまう方々のお相手をする折には。たとえば、お店で「責任者を呼びなさい」とお求めになるお客様などでございますね。

6. 名無しのReddit住民(>>5への返信)
つまりこういうことだろ。
客が苦情を言う。
店員が対応する。
客が「店長を出せ」と言い出す。
店員は何事もなかったかのように、そのまま対応を続ける。
問題が解決する。

7. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
「何も起きなかったふり」で思い出した。この手の礼儀作法の心得で、おならについての一節を読んだのをはっきり覚えてるんだ。目の前で誰かがおならをしても、そのまま会話を続けて、何も無かったことにする。自分がしてしまったときは、絶対に認めてはいけないし、謝ってもいけない。なぜなら、そんなことは起きていないから。

8. 名無しのReddit住民
何もいたしません。ただ、馬車から降りるお手伝いをそのまま続けるのみです。ご婦人が束の間あられもないお姿になられたことを口にするのはもちろん、気づいたそぶりを見せることさえ、紳士にあるまじき振る舞いと申せましょう。

9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
いやほんとそれ。つい昨日、現場でトラックから材木を下ろしてたら、シャツが盛大にずり上がって、生っ白い腹を現場じゅうにお披露目しちまったんだよ。でも誰も一言も言わなかった。俺がシャツを引っ張り下ろすのを、黙ってそっとしといてくれた。それが掟ってもんだ。目をそらして、何事もなかったみたいに会話を続ける。それ以外のことをすると、全員が気まずくなるからな。

10. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
じゃあ、昔のカートゥーンみたいに顎を床まで落として「アオーガ! アオーガ!」と叫ぶのは論外ってことか。了解、覚えとく。

11. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
⬆️ この旦那、筋金入りのヴィクトリア朝だぞ。付け焼き刃の俺たちとは年季が違う ⬆️

12. 名無しのReddit住民(>>11への返信)
旦那、ですって? どうか、わたくしに帽子ピンを抜かせないでくださいまし。淑女がいかにして名誉を守るものか、喜んで実演してさしあげることになりますから。

※ 帽子ピン(ハットピン):帽子を髪に留めるための長い金属製のピン。長さ20センチを超えるものもあり、19世紀末から20世紀初めにかけては、女性が身を守る道具としても使われた。

13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
現代の女性にも、いざというとき武器として使える装身具を身につける習慣が残ってたらよかったのに😔

14. 名無しのReddit住民(>>13への返信)
工夫次第でございますよ。たとえばハンドバッグにアルミの枠を仕込むとか、裏地に鋼の小さな粒を100グラム前後縫い込んでおくとか。抜け目のない娘なら、編み棒かかぎ針をいつも手元に置いておくものです。わたくしも、人聞きのよろしくない若い頃に学びました。火のついた煙草を目に向けて突き出せば、殿方はたじろいで下がります。そのあいだに走って逃げられるのだと。

15. 名無しのReddit住民
育ちがよく、作法に厳格な紳士にとって、かような一大事に取りうる正しい道はただ一つであります。すなわち、その場で即座に、突発性かつ一時的、しかも局所的な「完全失明」の発作に見舞われること。
視線はただちに、遠くの雲か、妙に心惹かれる煙突の先か、あるいはご自身の手袋の精緻な革の縫い目に据えねばなりません。いかなる場合も目を留めてはならず、馬車の車輪の縁よりはしたないものが視界に入ったなどとは、顔色にも出してはならぬのであります。
真に品格ある殿方であれば、曇り空のことや石畳の嘆かわしい有様のことをさりげなく口にして、その場をお救いになるでしょう。かくして、礼節の乱れを認めるという屈辱をお嬢様に味わわせることなく、ペチコートを整える貴重なひとときを差し上げるのです。

16. 名無しのReddit住民(>>14への返信)
余談だけど、あなたの文章はどれも絶品だね。読むたびに顔がほころぶよ。頭の中で、昔のハリウッド映画に出てくる上流階級みたいな気取ったアクセントで読み上げてるんだけど、これが完璧にはまるんだ。

17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
あの世におりますヴィクトリア朝生まれの祖母を微笑ませてくださって、お礼を申し上げます。わたくしは、祖母が話していたとおりの言葉遣いで書いておりますの。この世にもう一度、祖母の声を響かせるために。

18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
差し支えなければ教えてほしいんだけど、いったいどうしてヴィクトリア朝の人と接点があったの? そのときご親族はおいくつで、あなたは何歳だった? 西暦でいうと何年の話?

19. 名無しのReddit住民(>>18への返信)
お尋ねのなさりようはいささか感心いたしませんけれど、お答えいたしましょう。ヴィクトリア女王の御代は、1837年6月20日のご即位から、1901年1月22日にオズボーン・ハウスで崩御なさるまで。この日をもってヴィクトリア朝は幕を閉じたとされております。
わたくしは1960年代の初めの生まれ。育ててくれたのは祖父母で、それぞれ1889年と1890年の生まれでございました。祖母は25人きょうだいの下から4番目、祖父は9人きょうだいの末っ子です。合わせて33人おりましたおじやおばのうち、アイルランドから海を渡ったのは20人だけ。わたくしが幼い頃にまだ存命だったのは16人でございました。

※ オズボーン・ハウスは、英国南部のワイト島にある、ヴィクトリア女王が離宮として使っていた邸宅。女王が亡くなった1901年の時点で祖父母は10〜12歳ほどで、子ども時代をヴィクトリア朝の終わりに過ごした世代にあたる。

20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
聞き方が失礼だったね、ごめんなさい。ヨーロッパの出身でもないのに、この時代の歴史が好きすぎて、つい前のめりになってしまって。あんな聞き方だったのに、ご家族の歴史まで教えてくれてありがとう。

21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
淑女に正確な年代をお尋ねになるものではございませんよ。本当の歳が知れてしまいますもの。

22. 名無しのReddit住民
なんということだ、むき出しの足首だと? それはあまりにも、みだらではないか……。考えただけで顔から火が出そうだ。

23. 名無しのReddit住民(>>22への返信)
摂政時代なんて、手袋をせずに手を握り合うだけで、冗談抜きにスキャンダル扱いだったらしいよ。肌と肌がじかに触れるから、って理由で。

※ 摂政時代(リージェンシー):英国で1811〜1820年、国王ジョージ3世に代わって皇太子(のちのジョージ4世)が摂政を務めた時代。ヴィクトリア朝より少し前で、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』が刊行された頃にあたる。

24. 名無しのReddit住民
こういう作法、今でも残ってるよ。階段を上るときは男性が女性より先に、下りるときは女性のあとから、っていうやつ。そうすれば上りで彼女のお尻を眺めることにならないし、下りでうっかりスカートの中が見えてしまうこともない。うちの母は90年代に、子どもたちにこれを教え込んでた。

25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
うちの文化圏だと、そもそも肌の出ない服装が基本だから、男性はいつも階段の下側にいるのが普通なんだ。転んだときのためにね。上りは後ろについて受け止められるように、下りは前に立ってクッションになれるように。同じ階段でも理屈がまるで違って面白い。

26. 名無しのReddit住民
そりゃもう、ただちに結婚するしかないだろ。その足で彼女の父親の家へ直行して許しを取りつけ(娘がこんな恥をかいたあとだ、もちろんすぐに許しは出る)、そのまま近所の礼拝堂へ直行して大急ぎで式を挙げる。ご近所の噂になる前にな。
ああ、古き良き時代よ(もちろん皮肉だぞ)。

27. 名無しのReddit住民
ちらりと目をやるのは構わぬ。されど、じっと見つめてはならぬ。それは邪な振る舞いである。ご婦人の真意は、殿方には知りようがない。あるいは求愛を誘う合図やもしれぬ。だが、そうと決めてかかってはならぬのだ。

28. 名無しのReddit住民
そして、相手の目から決して視線を外さないこと。どちらが優位に立っているか、はっきり示すためにな。

29. 名無しのReddit住民(>>28への返信)
いや、逆だろ。その場に跪いたうえで目を合わせ続けるんだ。示すべきは優位じゃなくて服従のほうだよ。

30. 名無しのReddit住民
祖父母に育てられたと申し上げた者でございます。わたくし、アポロ11号の月面着陸を、その祖父母と一緒に見ることができましたの。ライト兄弟が初めて飛行機を空に浮かべた頃、まだ十代だった二人とでございます。
わたくしは、1960年代のカリフォルニアで育ったヴィクトリア朝の子どもでした。生まれてこのかた、本来いるべき時代から60年ずれたところを、ずっと生きて参りましたの。

※ ライト兄弟が動力飛行に初めて成功したのは1903年、アポロ11号の月面着陸は1969年。

まとめ

言葉遣いこそ違っても、回答の大半は同じ結論にたどり着いていました。見なかったことにする、口に出さない、そして二度と蒸し返さない。馬車の降り方から、現場でめくれたシャツ、店頭での苦情対応まで、「気づかないふりをして、相手に立て直す時間を渡す」という作法は、形を変えて今も生き残っているようです。日本でも、見て見ぬふりが思いやりになる場面は少なくありません。

もう一つの読みどころは、1889年と1890年生まれの祖父母に育てられた女性の書き込みでした。亡くなった祖母の話し方をそのまま借りて書いているという文章は、ネタとして始まったスレッドの中で、ひとりだけ本物の時代の空気をまとっています。ライト兄弟の初飛行の頃に十代だった二人と、アポロ11号の月面着陸を一緒に見たというくだりには、冗談では出せない重みがありました。皆さんの身の回りには、祖父母や親から受け継いだ、今ではあまり見かけなくなった作法や言い回しがありますか?

文化・習慣
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