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海外「『アメリカン・サイコ』の映画なんて、原作に比べたらディズニー映画」読んでいて一番居心地が悪かった本とは?

海外「『アメリカン・サイコ』の映画なんて、原作に比べたらディズニー映画」読んでいて一番居心地が悪かった本とは? エンターテイメント

面白かった本や泣けた本の話はよく聞くけれど、「読んでいて一番居心地が悪かった本」となると、少し空気が変わる。海外掲示板Redditでこの質問が投げかけられると、小学生のころにうっかり出会ってしまった虐待の実話、ホロコーストの回想録、加害者の一人称で語られる古典文学、そして日本の作家の話題作まで、「読んだことは後悔していない。でも二度と開けない」という本が次々に挙がった。かと思えば「字が小さすぎて首が痛かった」と物理的な居心地の悪さを訴える人もいて、重さと笑いが入り混じったスレッドになっている。

元スレッド:r/AskRedditより

海外の反応

1. 名無しのReddit住民
『”It”と呼ばれた子』を小6のときに読んだ。その少し前に、ビキニ環礁の核実験についての本を見つけて読んでたんだよね。あの学期で、世界の見え方がちょっと変わった。次の学期には『ズラータの日記』まで読んだ。だってほら、もうここまで来たらって感じで。

(追記)同じ本を読んだ人がこんなにいるなんて、嬉しいような悲しいような。どう刺さったかっていうと、自分は子ども時代がわりとしんどくて、「大人になればきっとマシになる!」と思って耐えてたんだ。でもビキニ環礁の本で、たとえ今の環境から抜け出せても、自分にはどうにもできない力で一瞬で消し飛ばされることがあるって知った。『”It”と呼ばれた子』では、人生にはまだ下があるって知った。『ズラータの日記』まで来たら、もう「なんで……本当になんで……」って気持ちだった。

※ 『”It”と呼ばれた子』は、母親から凄まじい虐待を受けて育ったデイヴ・ペルザーの自伝で、日本でも2002年に翻訳されてベストセラーになった。『ズラータの日記』は、ボスニア紛争下のサラエボで少女がつけていた日記。ビキニ環礁は、アメリカが戦後に核実験を繰り返した太平洋の環礁で、1954年には日本の漁船・第五福竜丸も被ばくしている。

2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
小6って、児童虐待と核実験を同じ学期に知る時期としてはハードすぎない? 普通はまだ分数の割り算とかで悩んでる頃だよ。

3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
自分も小6であの本を読んだ。母に勧められてね。「本当の虐待っていうのはこういうのを言うの」って教えるために。……その意味が分かったのは、ずっと大人になってからだった。

4. 名無しのReddit住民
エリ・ヴィーゼルの『夜』。すごく薄い本で、ひと晩で読めてしまう。でも、ひと晩じゃ頭から抜けてくれない。最後のほうは、読んでて本気で気分が悪くなった。

※ 『夜』は、ホロコーストを生き延びたエリ・ヴィーゼルが、10代で送られた強制収容所での体験をつづった回想録。ヴィーゼルは1986年にノーベル平和賞を受けている。

5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
一回だけ読んだ。それで十分だった。それでも、みんな一度は読むべきだってこれからも言い続けると思う。一回だけでいいから。

6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
高校で読んで、大学でまた読んで、去年アウシュヴィッツに行く直前にもう一度読んだ。人間が経験しうることの、ほとんど境界線みたいな場所にある本だと思う。すごい本で、残酷な本。

7. 名無しのReddit住民
『テラビシアにかける橋』。子どもの主人公って、物語の中では何があっても大丈夫な”主人公補正”があるものだと思ってたんだよ。クラスで浮いてる二人の子が友達になって、自分たちだけの王国を作る。最高の友情の話だった。
……途中までは。
当時10歳。あの本が残した傷は、今でもちゃんと痛い。

※ キャサリン・パターソンの児童文学で、アメリカで最も権威ある児童文学賞のひとつ、ニューベリー賞を受けた作品。映画化もされている。

8. 名無しのReddit住民
アイン・ランドの『肩をすくめるアトラス』。字がめちゃくちゃ小さくてぎっしり詰まってたから、顔の前まで本を近づけないと読めなくて、首が痛くなった。とても居心地の悪い本だったよ。内容はまあまあ。深い本に思えるのは18歳くらいまでだと思う。

※ 1957年刊の長編小説。自由市場と個人主義を強烈に礼賛する内容で、アメリカでは今も熱心な支持者と批判者がいる。原書は1000ページを超える大作。

9. 名無しのReddit住民(>>8への返信)
物理的な居心地の悪さで言うなら、どんな本でも上に顔を乗せて寝落ちすれば十分居心地悪いよ。朝起きたら、ほっぺたに文字の跡がついてる。

10. 名無しのReddit住民
『アメリカン・サイコ』。途中でやめかけた。描写があまりに生々しくて、読むのを投げ出しかけた本はあれだけ。映画は大好きなんだよ。でも原作に比べたら、映画版なんてほぼディズニー映画。

※ ブレット・イーストン・エリスの1991年の小説。80年代ニューヨークのエリート証券マンが、裏で殺人を重ねていく話。2000年にクリスチャン・ベール主演で映画化された。

11. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
えげつなさで言えばサドの『ソドム百二十日』だと思うけど、あれを挙げるのはさすがに反則な気がする。最初から「そういう本」として書かれてるんだから、居心地が悪くて当たり前なんだよ。

※ 18世紀フランスのサド侯爵が、バスティーユ牢獄で書いた未完の小説。「サディズム」の語源になった作家の作品の中でも、とくに過激なものとして知られる。

12. 名無しのReddit住民
ナボコフの『ロリータ』。これが自分の答え。読んでて本当に居心地が悪いけど、それが狙いの本なんだよ。最初から最後まで、加害者の男が一人称で自分を正当化して、自分以外の全員のせいにし続ける。「信頼できない語り手」のお手本みたいな小説。

※ 1955年刊。中年男ハンバートが少女への執着を、美しく凝った文章で語る問題作で、「ロリコン」という言葉の由来としても知られる。「信頼できない語り手」は、語り手の言うことを鵜呑みにできないように作られた語りの手法。

13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
ほんとそれ。文章も視点も、語り手が加害者だってことを読者に忘れさせようと、ずっと誘惑してくるんだよ。「居心地が悪い」なんて言葉じゃ全然足りない。ハンバートがろくでもない男だってことをほんの一瞬でも忘れて、ちょっと同情しかけた瞬間、自分まで共犯になったような気分になる。作り話でここまでの恐怖を味わわされるなんて、言葉が出ない。

14. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
14歳くらいのときに読んだ。ラナ・デル・レイにちょっとかぶれてて、禁断の恋の話だと思って手に取ったんだよね。当時の自分はちょうど作中の少女と同じくらいの年で、19歳の男と”付き合ってる”つもりだった。
でも読み進めるほど「この男は大人なんだから分かってなきゃおかしいだろ」「気持ち悪い」としか思えなくなって、気づいたら自分の相手のことも、気持ち悪くて不気味な男にしか見えなくなってた。
あとで文学の授業の先生にこの本のことを聞いたら、ハンバートは典型的な「信頼できない語り手」なんだと教えてくれて、ナボコフが何を意図してたのかをすごく真剣に話してくれた。今思えば、あの先生には全部お見通しだったんだと思う。最高の先生だった。

※ ラナ・デル・レイは、けだるく危うい少女像を打ち出した世界観で人気を集めたアメリカの歌手。

15. 名無しのReddit住民
『一九八四年』。とくに今みたいな監視資本主義の時代に読むとね。作中のテレスクリーンは国が勝手に部屋に取り付けたものだけど、こっちは自分でお金を払ってスマホを買って、毎日せっせと自分の情報を差し出してる。そこまではオーウェルも想像してなかったんじゃないかな。

※ 『一九八四年』は、ジョージ・オーウェルが1949年に発表した、「ビッグ・ブラザー」がすべてを監視する全体主義国家の物語。監視資本主義は、ネット企業が利用者の行動データを集め、それを商品にして稼ぐ仕組みを批判的に呼ぶ言葉。

16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
自分は『すばらしい新世界』『動物農場』『一九八四年』、あと『肩をすくめるアトラス』。正直、どれも読んだあとは世の中について本気で気が滅入った。
ちなみに映画の『26世紀青年』はマジでおすすめ。気分が晴れるかどうかは保証しないけど。

※ 『すばらしい新世界』はオルダス・ハクスリー、『動物農場』はオーウェルのディストピア小説。『26世紀青年』(原題 Idiocracy)は、人工冬眠から目覚めた平凡な男が、人類がすっかりおバカになった500年後の世界で一番の賢者になってしまうコメディ映画。

17. 名無しのReddit住民
『アルジャーノンに花束を』。主人公が書く「経過報告」の文章が、手術のあと少しずつ賢くなっていって、それからまた崩れていく。あの構成がとにかくきつい。後半、あれだけ読みやすくなってた文章に誤字が戻ってきた瞬間、ページをめくる手が止まった。本人がそれに気づいてるのが、また残酷なんだ。

※ ダニエル・キイスの小説。知的障害のある青年チャーリイが脳の手術で天才になっていくが……という物語で、全編が本人の書く経過報告の形で進む。日本でもドラマ化されている。

18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
居心地が悪いっていうのとは、ちょっと違う気がするな。あれは、ただただ悲しい本だよ。最後の一文で毎回泣く。居心地の悪さで言えば、チャーリイを笑いものにしてたパン屋の同僚たちの場面の方が、よっぽど胸がざわざわした。

19. 名無しのReddit住民
『蠅の王』。高1の授業の課題で読んで、ぞっとした。子どもがあんなに平然と残酷になっていくなんて信じられなかった。それと同時に、ずっといじめられてた子どもだった自分は、子どもがあんなふうに平然と残酷になれることを完全に信じてた。あの本には今でもつきまとわれてる。今年で50歳になるんだけどね。一番上の孫娘がちょうど高1で、あの子もあれを読まされるのかなって考えてる。

※ ウィリアム・ゴールディングの1954年の小説。無人島に取り残された少年たちが、しだいに暴力と支配の集団へ変わっていく。なお、アメリカの高校は4年制が多く、高校1年は日本の中学3年にあたる年齢。

20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
学校で読まされた本つながりで言うと、自分は『ライ麦畑でつかまえて』が一番苦痛だった。主人公が最初から最後まで、周りを”インチキ”呼ばわりして文句を言ってるだけにしか見えなくてさ。居心地が悪いっていうより、ひたすらイライラした。

※ J・D・サリンジャーの1951年の小説。高校を放校になった16歳のホールデンが、ニューヨークを数日さまよう話。日本では村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』でも知られる。

21. 名無しのReddit住民
カーレド・ホッセイニの『君のためなら千回でも』。それと、もちろん『千の輝く太陽』も。この2冊が他よりしんどいのは、こういうことが実際に起きてきたし、今も起きてて、これからも世界のどこかで起きるって、みんな分かってるからなんだよ。

※ どちらもアフガニスタン出身の作家ホッセイニの小説。前者はカブールで育った少年二人の友情と裏切り、後者は戦乱の中を生き抜く二人の女性を描き、どちらも世界的なベストセラーになった。

22. 名無しのReddit住民
『時計じかけのオレンジ』。原作の”超暴力”の場面は、映画で見せてるものよりずっとひどい。読むのを何日か中断したくらい。自分はアファンタジアで頭の中に映像が浮かばないタイプだから、たぶん映画を観てなければ平気だったと思うんだよ。映画で一度”絵”を見ちゃってたのが敗因。

※ アンソニー・バージェスの1962年の小説で、暴力に明け暮れる少年アレックスが主人公。1971年にスタンリー・キューブリックが映画化した。アファンタジアは、頭の中でイメージを思い浮かべることがほとんどできない体質のこと。

23. 名無しのReddit住民(>>22への返信)
自分は最初の数ページでギブアップした。語り手の少年が造語のスラングまみれでしゃべるから、何が起きてるのか分かるまでに一瞬遅れて、分かった瞬間にぞっとする。あの時間差が本当にきつかった。

24. 名無しのReddit住民
村田沙耶香の『地球星人』。子どもの頃に受けた深刻な虐待が、もろい心をどこまで壊してしまうかを描いた本で、心の底から動揺させられたし、とにかく居心地が悪かった。読んだのはだいぶ前なのに、あまりに揺さぶられたせいで今でも思い出す😖

※ 『コンビニ人間』で芥川賞を受けた村田沙耶香の長編(2018年)。英訳版の Earthlings として海外でも広く読まれている。

25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
『コンビニ人間』の人だよね。あっちが「ちょっと変わった人の話」くらいの読み味だったから、軽い気持ちで次にこれを読んだら、終盤で本を閉じて部屋の中をぐるぐる歩き回るはめになった。あの結末は、何年経っても消化できてない。

26. 名無しのReddit住民
ポール・カラニシの『いま、希望を語ろう』。PAの学校の課題で読んだんだけど、後半を読んだのが家で本当によかった。号泣したから。あまりに悲劇的で、理不尽で、もう……。今はがん診療の現場で働いてて、それでもまだあの本のことを考える。

※ 原題 When Breath Becomes Air。将来を嘱望された脳神経外科医だった著者が、36歳で末期の肺がんと診断され、亡くなるまでに書き残した回想録。PA(フィジシャン・アシスタント)は、医師の監督のもとで診察や処置を行うアメリカの医療職。

27. 名無しのReddit住民
1900年のガルベストン・ハリケーンについての、政府の公式報告書。近くのヒューストンで育ったから、出てくる地名が全部分かっちゃうんだよ。知ってる場所の名前と一緒に、被害があまりに細かく書かれてて、本当にむごい悲劇だった。
亡くなった方々の魂が、神の慈悲によって安らかでありますように。

※ 1900年9月、テキサス州の港町ガルベストンを襲ったハリケーン。推計で6000人以上が亡くなり、アメリカ史上最悪の自然災害とされる。

28. 名無しのReddit住民
スティーヴン・キングの『ペット・セマタリー』。話がどこに向かってるのか途中で分かっちゃって、でもそっちには行ってほしくなかった。本であんなにじっとりした不気味な予感を味わったのは初めて。映画は観ないと決めてるし、あの本を読み返すことも二度とない。

※ 埋めたものがよみがえるという言い伝えのある土地をめぐる、スティーヴン・キングのホラー小説。

29. 名無しのReddit住民(>>28への返信)
キングで思い出した。10歳のとき、継母がキングの本を何冊か貸してくれたんだよ。『IT』を読んでる途中で電話したら、ものすごい勢いで謝られた。10歳が知らなくていい大人の用語を、あの日いくつか覚えました。

※ 『IT』は、田舎町の子どもたちが、ピエロの姿で現れる”それ”に立ち向かうキングの長編ホラー。2017年の映画版も大ヒットした。

30. 名無しのReddit住民
線形代数の教科書、Introduction to Linear Algebra。……いや、本気で言ってる。大学で読まされたけど、あれほど居心地の悪い時間はなかったよ。1ページめくるたびに、自分の頭の出来を突きつけられる。

まとめ

挙がった本は、大きく三つに分かれていた。ひとつは『”It”と呼ばれた子』や『夜』、ガルベストンの災害報告書のように、実際に起きたことを記録した本。これらの居心地の悪さは「世界のどこかで本当に起きた」という重さから来ていて、それでも「一度だけでいいから、みんな読むべき」と言い切る人がいるのが象徴的だ。二つめは『ロリータ』『アメリカン・サイコ』『時計じかけのオレンジ』のように、加害者の目線や語り口に読者を巻き込む小説。上手い文章に一瞬でも引き込まれた自分に気づいたとき、居心地の悪さが最大になる。そして三つめが、『テラビシアにかける橋』や『アルジャーノンに花束を』のように、登場人物に心を寄せたぶんだけ、失われていく過程がこたえる物語だ。

面白いのは、何人もが「つらかった」と書きながら、同じ口で「読んでよかった」とも言っていること。『ロリータ』を読んだおかげで自分の周りの年上の男の危うさに気づけた、という話は、居心地の悪い本が読者を守ることもあると教えてくれる。日本の作家・村田沙耶香の『地球星人』が、海外の読者に「今でも思い出す」と言わせているのも興味深い。一方で、『肩をすくめるアトラス』の字の小ささや線形代数の教科書といった物理的・精神的な苦行で笑いを取る人がいるのも、Redditらしいところだろう。

皆さんにも、読んで後悔はしていないけれど二度と開けない、という本はありますか?

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