「発売された直後にはもう時代遅れになっていた技術は?」というお題に、4,000件を超える回答が集まっていた。売れなかった製品の話ではなく、店頭に並んだその瞬間、すでに背後に次の世代が立っていた——そういう不運な機械たちの供養スレッドである。日本でおなじみのあの円盤も、しっかり上位に入っていた。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
大学生のとき、クリスマスプレゼントにZuneをもらった。キャンパス中で、スマホでもiPodでもないもので音楽を聴いてたのは俺だけだったよ。人生で他にZune所有者に会ったのは、後にも先にもたった一人。16年経った今もまだ持ってる。誰も使ったことがない物体を見せると全員が「何それ」って顔をするから、それが楽しくて捨てられない。
※ Zune=マイクロソフトが2006年に投入した携帯音楽プレーヤー。iPodの対抗馬という触れ込みだったが販売はほぼ北米限定で、2011年に生産終了。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
スマホが世界を飲み込む前に、小さいMP3プレーヤーが天下を取ってた時期が確かにあったんだよな。俺はずっとSansa派だった。あの時代を面白くしてたのはRockboxっていうオープンソースのOSで、いろんな機種に流し込めて、見た目も機能も好き放題にいじれた。メーカーが想定してない使い方を全員がやってた。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
ZuneかWindows Phoneを持ってた知り合い、全員が「これ最高なんだよ」って言ってた。全員。なのに全員が乗り換える羽目になった。マイクロソフトがサポートをやめたからだよ。製品が悪かったんじゃなくて、作った側が先に飽きたパターン。
※ Rockbox=各社の携帯音楽プレーヤーに入れ替えて使えるオープンソースの代替ファームウェア。SansaはSanDisk製のMP3プレーヤー。
4. 名無しのReddit住民
RCAのCEDビデオディスク。開発に時間をかけすぎて、レーザーディスクに対抗するために「もう古い技術」を発売するという離れ業をやってのけた。要はレコード盤に映像を刻んで、針でなぞって再生する仕組み。1981年に世に出したときにはビデオテープもレーザーディスクもとっくに店に並んでた。
※ CED(Capacitance Electronic Disc)=RCAが開発した家庭用映像ディスク。録画はできず、盤面が汚れると映像が飛ぶ。数年で撤退した。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
20年近く開発し続けた製品が、世に出た瞬間VHSに全部持っていかれる気分を想像してみてくれ。会議室で「今度こそいける」って言い続けた人が何人いたんだろうな。6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
うちの親が買ってたよ。俺が最初のスター・ウォーズ三部作を初めて観たのは、あの針で読む円盤だった。今思うと相当レアな体験をしてる。
7. 名無しのReddit住民
ポニー・エクスプレス。アメリカ西部を横断する史上最速の郵便として始まって、馬と騎手をリレー形式でつないで10日で手紙を届けた。当時としては驚異的だよ。で、どれくらい続いたと思う?1年半。電信線が引かれて、メッセージが光の速さで飛ぶようになったから。
※ ポニー・エクスプレス=1860年に開業した米国の騎馬リレー郵便。開拓時代の象徴として西部劇によく登場する。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
うわ、気になって調べちゃったよ。電信が出た瞬間に棚上げされたのは知ってたけど、てっきり何十年も続いた由緒ある制度だと思い込んでた。トータル18か月しかなかったのか。あれだけ神話化されてるのに稼働期間が1年半って、逆にすごい。9. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
一応言っておくと、これは新発明が一瞬で陳腐化したわけじゃないんだよな。ローマもインドの各王朝も、何千年も前から似たような騎馬伝令をやってた。インカは走者のリレー。陸路で急ぎの知らせを飛ばす方法は、人類史のほとんどでこれが最善手だった。数千年続いた方式の最終形が、たまたま最後の1年半だっただけ。
10. 名無しのReddit住民
厳密には機械じゃなくてサービスなんだけど、質問をショートメールで送ると、人間が代わりに調べて答えを返してくれる番号があった。確か1回1ドルくらい。携帯メールが当たり前になった後、ネットに繋がる携帯が普及しきる前の、あのごく短い隙間にしか存在できなかった商売だよ。
11. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
図書館のレファレンスカウンターの人が、似たようなことを無料でやってくれてた記憶がうっすらある。電話で質問すると、後で折り返してきて答えと出典まで教えてくれるやつ。子供心に世界一かっこいい仕事だと思ってた。
12. 名無しのReddit住民
ミニディスク。
追記:思ったより信者が多くて笑ってる。まさかこんなに伸びるとは思わなかった。
※ 日本では長く定番だったMDだが、北米では普及しきる前にCD-Rとメモリー型プレーヤーに挟まれて存在感を失った。海外での扱いは「知る人ぞ知る名機」に近い。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
元MD使いだけど、今年プレーヤーとディスク一式を売ったら驚くほどの値が付いた。中古売買サイトに出したら1日で6件も問い合わせが来たよ。当時「もう終わった規格」って言われてたものが、20年経つと逆に欲しがられるのが面白い。14. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
MDプレーヤーは大好きだったけど、パソコンでCDを焼けるのが当たり前になった時点でもう分が悪かったんだよな。しかもすぐ後ろにMP3プレーヤーが迫ってた。挟み撃ちにされた規格って感じ。
15. 名無しのReddit住民
1995年から2003年あたりの外部ストレージ、ほぼ全部。90年代前半は、ネットワークで繋がってない限りデータを別のパソコンに移す手段が3.5インチのフロッピーしかなかった。そこにZipディスクが出て100MB書き込めるようになって、これは本当に革命だった。そのあとJazが出て、CD-Rに食われて、USBメモリで全部終わった。今も使ってる形式にたどり着くまでが早すぎる。
16. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
2003年ごろに128MBのUSBメモリを買って、この小ささでこの容量かと感動してた。学校のパソコンはまだフロッピーだったからね。数年後には笑い話になってた。17. 名無しのReddit住民(>>15への返信)
うちの父はいまだにZipディスクを現役で使ってる。あの人の事務所は時代遅れ機器の博物館みたいになってて、マイクロフィルムのリーダーまで置いてあるよ。
※ Zipディスク=Iomega社が1994年に出したフロッピー型の大容量メディア(100MB)。Jazはその上位規格。
18. 名無しのReddit住民
Zipドライブといえば、うちのデザイン学校の教授が元Iomegaの設計者でさ。ある日、小さな発明家グループがやってきて「持ち運べる固体メモリ」という新技術を売り込んできたらしい。上司の返事は「そんなものは芽が出ない」。その5年後、SanDiskが世界を取って、Iomegaは静かに消えていった。
19. 名無しのReddit住民
曲面テレビ。ゲーム用の曲面モニターは今でも良いものだけど、テレビの方は本当に一瞬で消えたな。家電量販店の花形から在庫処分まで、体感2年くらいだった気がする。
20. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
うちはまだ曲面の有機ELテレビを使ってて割と気に入ってるんだけど、視野角がひどい。曲面は常に画面の正面に座ってる前提なんだよ。でもテレビって家族があちこちの角度から観るものじゃん。時代遅れというより、単に用途に合ってなかった。21. 名無しのReddit住民(>>19への返信)
曲面モニターは没入感のためだと思われがちだけど、本当の理由は目の疲れ対策なんだよ。モニターって顔から近いから、画面中央と端でピントの合う距離が微妙に違う。21インチなら誤差だけど、32インチや43インチになると目が延々とピント調整をやらされる。端をこっちに曲げてやると全部の画素までの距離がほぼ揃うから、目が楽になる。IMAXのスクリーンがわずかに湾曲してるのも同じ理屈。つまり没入感の道具じゃなくて人間工学の道具。
逆にリビングの距離で観るテレビにはほぼ関係ない話で、75インチを1.2メートル以内で観るなら意味は出てくるけど、そんな人はいない。
22. 名無しのReddit住民
3Dテレビ。3年くらい業界総出で全員に押し付けてきたのに、今はあのメガネが全世帯の引き出しの奥で眠ってる。実家の引き出しを開けたら出てきて、何とも言えない気持ちになったよ。
23. 名無しのReddit住民(>>22への返信)
あれをテレビの未来だと本気で信じてた人がいたのが未だに理解できない。普段からメガネの人間が絶対に買わない時点で終わってるだろ。友人が「俺は時代の先を行ってる」って買ってたけど、1年後には3D映画の市場そのものが死んでた。
24. 名無しのReddit住民
3D映画に関しては、俺はちょっと特殊な立場にいる。生まれつき立体視ができなくて、現実の世界が平面に見えるんだよ。ところが映画の作りものの3Dは、なぜか俺にも効く。だから3Dテレビを買って、今も173本の3D映画を持ってる。新作が出なくなったのが本当に寂しい。
うちのテレビは偏光方式だから、友達と3D上映に行くたびにみんなのメガネを回収して持ち帰ってた。おかげで予備が何十個もある。
想像してみてくれ。普段は知覚できない次元を見せてくれる魔法のテレビが手に入ったのに、他の誰もそれに興味がないどころか積極的に嫌っていて、そのせいで自分の楽しみが年々手の届かない場所に行く。落ち込むだろ。
25. 名無しのReddit住民
Flipのビデオカメラ。iPhoneの1年前に出たんだよな。良い1年だったよ、本当に。手のひらサイズで、USB端子が本体から飛び出してきてパソコンに直挿しできる。あの割り切り方は当時めちゃくちゃ気持ちよかった。
26. 名無しのReddit住民(>>25への返信)
初期のiPhoneは動画がかなり弱かったから、しばらくは共存できてたんだよ。追い抜かれた瞬間が急すぎただけで。
27. 名無しのReddit住民
電子タイプライター。90年代に父が持ってたやつは1行だけの液晶が付いてて、1行打ち終わってから紙に印字される仕組みだった。要は用途が一つしかないパソコン。で、倍の値段を出せば本物のパソコンが買えた。
28. 名無しのReddit住民(>>27への返信)
電子タイプライターで彼女にラブレターを書いてたのを思い出した。色付きの紙を使って、愛を込めて送ったってわかるようにしてたんだよ。今考えると字体が全部同じだから何の情緒もないんだけど、当時は最先端のつもりだった。
29. 名無しのReddit住民
DIVXのDVD。米国の家電量販店サーキット・シティが独自に始めた規格で、ディスクを買うと48時間だけ観られる。それ以降も観たければ追加で払うか、まとめて払って無制限にする。レンタル屋に行かなくていいのが売りだったけど、要は「返しに行かなくていい代わりに手元で腐るDVD」。1年ちょっとで市場から消えた。
※ 動画ファイル形式のDivXとは別物。サーキット・シティは米国の大手家電チェーンで、2009年に経営破綻している。
30. 名無しのReddit住民
このスレ、「時代遅れになった」と「単に流行らなかった」と「そもそも筋が悪かった」を全員が混ぜて話してるよな。Zuneが最上位に来てるのが個人的にはツボで、あれはただのブランド違いの携帯音楽プレーヤーだし、その手の機械は今も普通に売ってる。まあ供養スレなので細かいことは言わないでおく。
まとめ
並んだ回答を眺めていると、「一瞬で古くなった技術」には二つの型があるとわかる。ひとつは開発に時間をかけすぎて、完成した頃には前提そのものが変わっていた型。CEDビデオディスクやポニー・エクスプレスがこれで、悪いのは製品ではなく、後ろから来た別ジャンルの技術だった。もうひとつは、既存のものの隙間を埋めるために生まれて、隙間ごと消えた型。ショートメールの質問代行サービスやZipディスクがそれにあたる。どちらも「負けた」というより、居場所が一瞬で消えたという方が近い。
面白いのは、その短命さが後になって価値に変わることがある点だ。MDプレーヤーが今になって高値で取引されたり、廃れた3D映画を173本抱えて惜しむ人がいたりする。技術の寿命と、それを使った人の記憶の寿命はまったく別物ということなんだろう。皆さんの引き出しの奥にも、こういう「もう誰も使っていないけど捨てられない機械」は眠っていますか?

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