生まれつき、あるいは長いあいだ耳が聞こえなかった人が、人工内耳や補聴器で初めて「音」を手に入れたとき——最初に驚くのはどんな音なのか。Redditに立ったこの質問への答えが、「音楽」でも「家族の声」でもなく、紙を丸める音や冷蔵庫のうなり、果ては「太陽が無音だったこと」だったりするから面白い。笑える話と、じんとくる話と、ちょっと考えさせられる話が詰まった体験談スレをどうぞ。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
高校時代の親友がろう者で、大学のときに人工内耳の手術を受けたんだ。彼女が最初に聞いた音は、お母さんの笑い声と、紙をくしゃくしゃに丸める音。本人いわく「紙があんなにうるさいとは思わなかったし、母さんの笑い声がこんなに耳障りだとも思わなかった」だそうだ。
※ 人工内耳:耳の奥に電極を埋め込み、音を電気信号に変えて聴神経へ直接届ける医療機器。補聴器では効果がない重度の難聴・ろうの人が対象で、手術後に機器を起動する「音入れ」の日に初めて音を体験する。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
最高だな。「初めて音を聞いた人がお母さんの声に涙する感動動画」はネットでさんざん見るけど、君の友達はティーンエイジャーの鑑というか、感動どころか普通にイラついてたわけだ。素晴らしい。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
紙を丸める音はマジで刺激が強すぎる。私も人工内耳を入れた日の午後、分厚い紙袋をくしゃっと潰したら、あまりの音に全身がフリーズしたよ。脳が処理しきれないの。幸い、今はもう何ともないけど。
4. 名無しのReddit住民
両耳とも完全に聞こえなかった者として言わせてもらうと、初めておならの音を聞いたときは、想像していたより遥かに面白かった。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
下品を承知で言うけど、おならの音が聞けるというのは、ベートーベンの第九が聴けるのと同じくらい、人類の体験として重要なことだと思ってる。6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
ろうの両親を持つ人の話を読んだことがある。両親はおならが音を出すことを知らなくて、家の中でずっとやりたい放題だったらしい。子どもも当然それが普通だと思って学校で堂々とぶっ放して、そこで初めて「え、これ音出てるの? 失礼なことなの?」と気づいたと。本人いわく「人生最大で最高に笑える目覚めだった」そうだ。
※ ろう者の親を持つ聞こえる子どもは「コーダ(CODA)」と呼ばれる。映画『コーダ あいのうた』(2021年・アカデミー作品賞)で広く知られるようになった。
7. 名無しのReddit住民
ろうではなく難聴なんだけど、20代半ばで補聴器を作るまで、蛍光灯や冷蔵庫が音を出してるなんて知らなかった。何なんだよあのブーンって音は。世界は思ってたより全然静かじゃなかった。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
大学の知り合いは逆で、聴力を得たとき「電気スタンドが音を出さないこと」に驚いたらしい。スイッチを入れると光だけがつく。無音で。一瞬「また聞こえなくなったのか」と本気で焦ったと言ってた。
9. 名無しのReddit住民
「太陽が音を出さないことに一番驚いた」と言ってた人のことを今でも覚えてる。言われてみればそうだよな。あれだけ巨大で明るくて熱いんだから、さぞかし盛大な音がしてるはずだと思うのも無理はない。
10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
それが面白いのはさ、もし音が宇宙空間を伝わるとしたら、太陽の音は地球上でも100デシベルを超えるって計算があるんだよ。ジェットエンジンが120デシベルだから、それに近い爆音が24時間365日、鳴りっぱなしになるところだった。11. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
太陽が音を出してたら相当うっとうしいだろうな。たぶん俺の耳鳴りみたいな音だと思うよ。
12. 名無しのReddit住民
インタビューで見たんだけど、ある女性は「カナダガンの鳴き声がありえなさすぎて、みんながこの話をしてないのが信じられなかった」と言ってた。確かにあの鳴き声、初めて聞いたら誰かに報告したくなるわ。
※ カナダガン:北米に広く生息する大型のガン。鳴き声がやかましいうえに気性が荒く、人にも平気で襲いかかるため、現地では半ば冗談で「コブラチキン(コブラ+ニワトリ)」と呼ばれて恐れられている。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
この話をしない、だって? こっちはあいつらから生き延びるだけで精一杯なんだよ。カナダガンについて語る余裕のある人間なんていない。
14. 名無しのReddit住民
左耳がろうで、右耳が難聴。右耳に初めて補聴器をつけた日、ずっと背後から足音が聞こえて「誰かにつけられてる」と本気で思った。振り返っても誰もいない。歩き出すとまた足音。……正体は、自分のズボンの裾がこすれる音だった。
15. 名無しのReddit住民(>>14への返信)
それなら僕の勝ちだ。補聴器を入れた直後、この世のものとは思えない不気味な音が聞こえてきたんだよ。悪夢の中で何かに追われてるみたいな音。どこを探しても何もいない、ただの廊下。角を曲がってようやく犯人を見つけた——エアコンの風に転がされてる、くしゃくしゃのレジ袋だった。
16. 名無しのReddit住民
私はずっと、雲って空を移動するときにゴロゴロと大きな音を立ててるんだと思ってた。重たい毛布を床で引きずるみたいな音をイメージしてたの。だから雲が完全に無音だと知ったときは、文字どおり頭が真っ白になった。
17. 名無しのReddit住民(>>16への返信)
わかる、知り合いの子も「雲どうしがぶつかるときに大きな音がしないのが意外だった」と言ってた。いや、もし鳴ってたらどれだけ怖い世界なんだって話だけど😂
18. 名無しのReddit住民
いとこが数年前に人工内耳を入れたんだけど、最初に度肝を抜かれたのは「自分の呼吸の音」だったらしい。そんなものが聞こえるなんて想像すらしてなかったって。あと窓に当たる雨。静かなものだと思い込んでたのに、実際はけっこううるさいことに驚いてた。
19. 名無しのReddit住民
生まれつき重度のろうで、26歳で人工内耳にした者だけど、一番わけがわからなかったのはシリアルに砂糖をかけたときの「サラサラ」という音。初めてメガネをかけた子どもが「木の葉って一枚一枚見えるんだ」と気づくのと同じ衝撃だった。あと山小屋で正体不明の不穏な音がして、やかんか? 給湯器が壊れたか? と家中を探し回ったこともある。答えはトタン屋根を叩く雨だった。
20. 名無しのReddit住民
風が木々の葉を揺らす音。あれを聞くたびに、今でも足を止めてしばらく聞き入ってしまう。畏敬の念というか、心がすっと静かになる感じ。何年経っても毎回そうなる。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
嵐の前に風がビルの間でヒューヒュー鳴るのはもう聞いた? 状況によってはちょっと怖いけど、あれは最高にワイルドな音だよ。あとおすすめはワニの鳴き声。骨まで響く、太古そのものみたいな音がする。
22. 名無しのReddit住民
プールに飛び込んだ瞬間、耳のそばを水がゴーッと流れていくあの音。何度聞いても本当に素晴らしい。あれを聞くためにプールに行ってると言ってもいいくらい。
23. 名無しのReddit住民
エアコンの送風、時計の秒針、冷蔵庫のうなり。そのへんはまだ面白がれた。一番きついのは自分の声だよ。どんなに小さく話そうとしても、頭の中でスピーカーが鳴ってるみたいに響く。これだけは面白くもなんともなくて、ひたすら慣れる努力が必要だった。
24. 名無しのReddit住民
人工内耳を入れて、半年ほどで外してしまった男性を知ってる。理由は「世界がうるさすぎたから」。当時の私にはそれが意外で仕方なかった。せっかく聞こえるようになったのに、って。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
音を取り戻すのって、映画が描くような「はい、聞こえるようになりました。良い人生を!」じゃないらしいね。脳が音の洪水に圧倒されて、対処のしかたを身につけるリハビリに何か月もかかると聞いた。そう考えると、外すという選択も全然不思議じゃない。26. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
私も難聴で補聴器を持ってるけど、正直ほとんどつけてない。大人になってから作ったせいか、押し寄せる音の情報量が多すぎるんだよね。たまに静けさに帰りたくなる。
27. 名無しのReddit住民
うちの母は60代で補聴器を作ったんだけど、しばらくして「この補聴器は不良品だ。布を触ると変な音がする」と言い出した。母さん、それ不良品じゃないんだ。私たちはその音を生まれてからずっと聞いてきたんだよ。母はたぶん、人生の大半を軽い難聴のまま気づかずに過ごしてたんだと思う。
28. 名無しのReddit住民
難聴の自分はずっと「車のウインカーに音がついてたら、消し忘れる人なんていないのに」と思って生きてきた。補聴器をつけて初めて車に乗った日、判明したよ。音、最初からついてたわ。
29. 名無しのReddit住民
人工内耳で聴力が戻って思い出したのは、おしっこがあんなに盛大な音を立てるってこと。すっかり忘れてた。しかもあれ、静かにやる方法がないんだよな。
30. 名無しのReddit住民
私は4歳で補聴器をつけた。母の方を振り返って「ママ! 聞こえるよ!」と言ったあと、自分の歌声が聞きたくて、そのまま「赤鼻のトナカイ」を歌い出したらしい。担当してくれた聴覚士さんは先日引退したけど、あの人は私が育って、卒業して、就職して、結婚するまでずっと見守ってくれた。あの優しさと根気には一生感謝すると思う。
まとめ
音を得た人たちが驚いたのは、音楽や声といった「音の主役」ではなく、紙を丸める音、冷蔵庫のうなり、ズボンの裾——聞こえる人が無意識に聞き流している脇役の生活音ばかりでした。逆に、太陽や雲のように「あれだけ大きいんだから鳴っているはず」と思っていたものが実は無音だった、という逆方向の驚きも。音のない世界から聞こえる世界を想像で組み立ててきた人にしか出てこない発想で、ハッとさせられます。
一方で、音の世界は手放しの祝福ではないという証言も目立ちました。押し寄せる音に圧倒されて機器を外す人がいるように、「聞こえること」の裏には、脳が音を選別できるようになるまでの長い訓練があるんですね。皆さんがもし明日初めて音を聞くとしたら、一番驚くのはどの音だと思いますか?

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