「実際に体験するまで、やたらと美化されがちなものは?」。海外掲示板に投稿されたこの質問で、いちばん支持を集めた答えは「大人になること」だった。子どもの頃に思い描いていた自由の正体は、「どの請求書から先に払うかを選べる」ことだったという。ただし、これには「大人のほうが断然いい」という反論もすぐに付いている。ほかにも、ロマンチックなはずの熱気球の遊覧飛行、自分のレストランを持つ夢、一日じゅう何もしなくていい仕事、海外移住と、憧れの的になりやすいものが次々に挙がった。語っているのは実際にやってみた人たちで、溝の中で蚊に刺されながら飲んだシャンパンの話や、夜11時に皿を洗っているオーナーの話が並んでいる。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
大人になること。子どもの頃は、自由っていうのは好きなことを何でもやれることだと思ってた。実際は、どの請求書から先に払うかを選べる、っていう意味だったよ。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
人によるんじゃないかな。自分は30歳だけど、大人のほうが断然いい。正直、学校より今の仕事のほうが好きだし、同僚は、昔の一部の同級生ほどうっとうしくない(あんまり迷惑なことをしてるとクビになるからね)。
何よりも、自分で好きに使えるお金がある。子どもの頃は、家の手伝いを3か月続けてやっと新作ゲームが1本買えたけど、今はその額を1日かからずに稼げる。それに、うちの親は筋金入りに信心深くて、何にでも口を出してくる過干渉なタイプだったからね。子ども時代が恋しいなんて、まったく思わない。3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
いや、私は大人でいるのが大好き! 何を食べるかも、何時に寝るかも、空いた時間をどう過ごすかも、自分で決められるんだから。仕事は最高ではないけど最悪でもなくて、今やってることはだいたい好きだし、やりがいにもなってる。請求書の支払いは、その自由とセットでしょ。
子どもの頃や10代の頃にだって、本人にとっては切実な悩みがちゃんとあったはずなんだよ。ずいぶん時間がたったのと、大人になってからの悩みに比べると小さく見えるのとで、忘れてるだけだと思う。4. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
大人になるっていうのは、何をやってもいいけど、その全部にお金を出せるわけじゃない、って気づくことだよ。
5. 名無しのReddit住民
ロマンチックな熱気球の遊覧飛行。まず着陸のしかたがね、地面に何度もドスンとぶつかって、そのまま引きずられてやっと止まるんだ。降りたら降りたで、気球をたたむのを手伝わされる。
シャンパンは、空の上で出すのは違法だからって、飛んでる間はおあずけ。ばかでかくてほこりまみれの気球を片づけ終わってから、ようやく1杯もらえたんだけど、飲んだ場所は溝の中だよ。立ったまま、蚊に刺され放題でね。
6. 名無しのReddit住民(>>5への返信)
着陸が「地面に何度もぶつかって引きずられる」方式だなんて、広告の写真からは絶対に分からないな。夕焼けの中を、ふわっと静かに降りてくるものだと思ってたよ。
7. 名無しのReddit住民
自分のレストランを持つことだね。みんな、店の中を歩いて回って常連さんとおしゃべりしたり、料理の味見をしたりしてる自分を思い浮かべるんだよ。実際の一日は、水漏れするシンクの修理と、病欠の連絡が入った人のシフトの穴埋めと、夜11時の皿洗いでほとんど終わる。
それでもこの仕事は好きだよ。ただ、映画に出てくるようなやつとは違うね。
8. 名無しのReddit住民
かわいいオフィス服を着て都会で働いて、これで自分も成功者の仲間入りだ、なんて気分でいたんだけどね。ふたを開けてみたら、思ってたほど甘くなかったよ(笑)
9. 名無しのReddit住民
一日じゅう何もすることがない仕事。日本には、人を部屋に入れて何もさせないっていう罰がある、なんて話を耳にすると、何もしないで給料がもらえるなんて最高じゃないか、って夢を見る人がいるんだよね。実際にやったら、4時間もたたないうちに、退屈すぎて頭をかきむしってるはずだよ。しかもそれが来る日も来る日も、何週間も続くんだから。
まあ、どうしてもそういう仕事がいいなら、夜間の警備員になるっていう手はいつでもあるけどね。
※ 日本でいう「追い出し部屋」(仕事を与えない部署に社員を移し、自主退職を促す手法)のことを指しているとみられる。コメント主はそれを「罰」と受け取っている。
10. 名無しのReddit住民(>>9への返信)
自分なら平気だけどな、と思いながら読んでたんだけど、前の職場で仕事が2週間ぴたっと途切れたとき、3日目には頼まれてもいない書類棚の整理を始めてたのを思い出した。たぶん自分も4時間もたない。
11. 名無しのReddit住民
「夢をかなえた暮らし」ってやつ。その中身はというと、残りの人生ずっと住宅ローンを返し続けること。
12. 名無しのReddit住民
この答えがまだ出てないなんて信じられない。外国への移住だよ。
出ていくときは、自分は小さな池には収まりきらない大きな魚だ、くらいの気分でいる。でもその代わりに、言葉にされない暗黙のルールや、その土地の人ならではの気質が分からなくなるし、それまで頼ってきた人のつながりも丸ごと置いていくことになる。大切な人たちの人生をそばで見ていることもできなくなるし、母国語で話していたときの自分も、向こうに置いてくることになる。
新しい世界へ出ていけば、成長できる部分は確かに大きい。ただ、孤独な道のりだし、前もって備えておけるものでもない。しかも、そのつらさを地元の人に打ち明けると、同じことをしたかったのに事情があってできなかった人から、冷たくあしらわれることもある。
移住したことは後悔してない。でもその代償は、この先ずっと、毎日払い続けていくんだと思う。
13. 名無しのReddit住民(>>12への返信)
母国語で話してたときの自分を置いてくる、っていうのが痛いほど分かる。こっちの言葉だと冗談ひとつ言うのにも一拍遅れるから、周りにはずいぶん無口な人だと思われてるよ。
14. 名無しのReddit住民
デジタルノマドはSNSでちょっとした流行になってるけど、あの人たちが暗い面を見せてないのは間違いないと思う。とくに2015年ごろは、ノマドになってアジアに移り住むのがものすごくもてはやされてた。
旅行と休暇がずっと続く暮らしみたいに美化されがちだけど、少し調べただけでも、お金はかなりかかるし、頼れるのは自分ひとり。何もかも、誰もかも置いていくことになる。ビザはしょっちゅう取り直しで、場合によっては就労許可も要る。SIMカードの手配に、国をまたいだ税金の支払い。行く先々に持っていける荷物も限られるから、季節が変わるだけで困るんだよ。
※ デジタルノマド:ノートパソコンひとつで、国や街を移りながらリモートで働く人のこと。
15. 名無しのReddit住民
コーチェラみたいな巨大音楽フェス。チケットは高すぎるし、人は多すぎるし、前評判ばかりが大きすぎる。
※ コーチェラ:米カリフォルニア州の砂漠地帯で毎年春に開かれる大型の野外音楽フェス。有名人の来場やファッションがSNSで話題になることでも知られる。
16. 名無しのReddit住民
田舎暮らし。この国では、田舎や小さな町での暮らしを神聖なものみたいに持ち上げるけど、あんなのはでたらめだよ。
400エーカーの現役の農場を相続した身だから言える。田舎の人も農場も、口では自立を説くわりに、暮らしが安定してるのは政府の支えにかなり頼ってるからなんだ。
※ コメント主は米国在住。400エーカーは約160ヘクタールで、東京ドームおよそ35個分。米国の農業は、政府の補助金や作物保険などの支援に支えられている面が大きいと言われる。
17. 名無しのReddit住民
酔っぱらうまで飲むのは過大評価だって、自分の周りはみんな言ってる。ほろ酔いで止めておくのがいいんだってさ。
18. 名無しのReddit住民
動物を飼うこと(とくに手のかかる種類)。じゃれてくる子犬や、ふわふわのヒヨコに夢中になってた人が、世話がどれだけ大変かに気づいたとたん、保護施設に置いていく、っていうやつ。
お願いだから、本当にお願いだから、迎える前にちゃんと調べてほしい。いつでもかわいくて楽しいわけじゃないんだよ。でも、その子のことが本気で好きなら、面倒を見る覚悟はできるはずだから。
19. 名無しのReddit住民
出産は、順調に進んで美しい体験になる人がいるのも分かってる。でも私の場合は、帝王切開の途中で硬膜外麻酔が効かなくなって、ひどい痛みに耐えることになった。そのあと大量に出血して、赤ちゃんは顔を見ることも触れることもできないまま連れていかれ、夫も部屋の外に出された。
会わせてほしいと何度も頼んだけど、出血のあとの検査の数値が心配だからと部屋を出してもらえなくて、娘に会えたのは11時間後だった。娘のことは心から愛してる。それでも、あの体験そのものは心にも体にもこたえるものだったし、似た経験をしたお母さんをたくさん知ってる。
20. 名無しのReddit住民
ニューヨーク。自分は生粋のニューヨーカーだけど、世界中の人が、あそこを魔法みたいな場所だと思い込まされてるのはよく分かってる。そりゃ観光エリアは楽しいよ、3日間はね。小さな町から来た人ならなおさら。でも実際の街は、臭くて、人が多すぎて、とんでもなく物価が高くて、不便で、ものすごく汚い。
スタテンアイランド以外の区には全部住んだけど、いちばんひどいのは「シティ」、つまりマンハッタンだよ。
※ ニューヨーク市は、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つの区からなる。地元では、マンハッタンのことを単に「シティ」と呼ぶことが多い。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
そこまで言われても、一度は住んでみたいんだよなあ。臭くて高くて汚いっていうのも、自分の目で確かめてから文句を言いたい。
22. 名無しのReddit住民
プロのミュージシャンって、会場にふらっと入って、演奏して、ギャラを受け取って帰るだけだと思われてるんだよね。実際は移動の時間がものすごく長いし、機材を自分で運び込んで、組み立てて、ライブが終わったらまた片づけて、次の会場へ向かう。出演先を見つけて話をまとめるのも自分だし、ときには、ギャラを踏み倒そうとする会場のオーナーとやり合うことにもなる。プロでやっていくには、ストレスのたまるくだらない雑事が山ほどついてくるんだよ。
23. 名無しのReddit住民
名声ってやつは、都合の悪いときだけスイッチを切る、なんてことができないんだよ。いつでも「オン」の状態でいるのが当たり前だと思われてる。どこへ行っても隅々までカメラがある世の中だから、気を抜いた「オフ」の瞬間なんて許されないんだ。
24. 名無しのReddit住民
『コール オブ デューティ』。戦争に憧れる人がいるのは、それをシューティングゲームで覚えたからだよ。やられてもすぐに復活できて、相手を倒した瞬間のきれいなリプレイ映像があって、毎試合ヒーローになれる場面があって、ヘッドセットの向こうでは仲間が「ナイスショット!」って叫んでくれる。
実際にあれをくぐり抜けたり、くぐり抜けた人のそばにいたりすると分かるんだ。やり直しのボタンはないし、観戦モードもない。轟音のあとにくる静けさは、どんなムービーシーンよりもきつい。ゲームが売ってるのはアドレナリン。現実がよこしてくるのは、口の中のじゃりじゃりした土と、修正パッチでは消えてくれない記憶だよ。
※ 『コール オブ デューティ』:戦場を舞台にした、世界的に人気のシューティングゲームのシリーズ。対戦では、倒されてもすぐに復活して試合に戻れる。
25. 名無しのReddit住民
ハリウッド映画だと、事故に遭った人は目を覚ますなり、歯を食いしばってそのまま突き進んでいくでしょ。現実はまるで違う。事故っていうのは、ひたすらつらいだけ。
26. 名無しのReddit住民
ストーカーがいることや、束縛の強い彼氏がいること。(いや本当に、それを素敵なことみたいに語る女の人たちを知ってるんだよ。私にストーカーがついてるのを、うらやましがる人までいた。あのね、譲れるものなら今すぐにでも譲ってあげたいんだけど)
27. 名無しのReddit住民
ミステリアスで、誰にも心を開かない人って、魅力的に見えるんだよね。でもそのうち、自分のことを本当に知ってる人が誰もいないって気づく。そして最後には、知ろうとしてくれる人さえいなくなるんだ。
28. 名無しのReddit住民
寝てるところを誰かにじっと見つめられるのって、甘くもロマンチックでもないからね。ただただ落ち着かないだけ(笑)
29. 名無しのReddit住民(>>28への返信)
夜中にふと目が覚めて、暗がりの中でじっとこっちを見てる顔があったら、それはもう恋愛映画じゃなくてホラー映画なんだよな。
30. 名無しのReddit住民
結婚……っていうのは冗談。今ちょうど夫にイラッとしてるだけ。
まとめ
挙がったものを並べてみると、外から見えているのは「いちばんいい場面」だけ、という共通点があった。熱気球なら空の上の景色、レストランなら常連客との会話、プロのミュージシャンならステージの上。着陸や後片づけ、水漏れの修理、機材運びといった地味な部分は、やってみるまで目に入らない。海外移住やデジタルノマドのように、得るものと引き換えに何を置いていくことになるのかが見えにくいものもある。映画やゲームが作ったイメージと現実の差を挙げた人もいた。
その一方で、最初に出た「大人になること」には、「大人のほうが断然いい」「子どもの頃の悩みを忘れているだけ」という反論が付いている。レストランのオーナーは「それでもこの仕事は好き」と書き、移住した人も「後悔はしていない」と書いていた。憧れそのものが間違いだったというより、憧れの中には描かれていなかった部分があった、という話として読める。「何もしなくていい仕事」の話で日本の例が引き合いに出されていたのは、日本の読者としては少し複雑なところかもしれない。住宅ローンや都会でのオフィス勤めのように、日本でもそのまま通じそうな話も並んだ。皆さんには、実際に体験してみて印象が変わったものはありますか?


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