前評判だけがどんどん膨らんだ映画を、満を持して観て――「え、これで終わり?」。r/AskReddit に立った「前評判の割に肩透かしだった映画は?」というスレッドに、2000件を超える答えが集まりました。一番票を集めたのは、作品の批判ですらなく、自分の壮大な勘違いにようやく気づいた男の話です。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
何度か書いた話で申し訳ないんだけど――俺は『ミスト』が大嫌いだった。Redditの連中がこぞって「ラストのどんでん返しが凄まじい」と持ち上げるから観たのに、全編ずっと退屈だったし、あの結末もまったく刺さらなかった。で、後になって気づいたんだ。俺が観てたのは『ザ・フォッグ』だったわ。主演は『ヤング・スーパーマン』のトム・ウェリング。
※『ミスト』は2007年のスティーヴン・キング原作ホラー。濃い霧の中から化け物が出てくる話で、終盤の一手が長く語り継がれている。『ザ・フォッグ』はまったくの別作品。
2. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
その話、前にも投稿してたよね。覚えてるよ。あのときコメント欄が「いいから本物の『ミスト』を観て感想を書け」って総ツッコミしてたのも覚えてる。で、結局その後ちゃんと観たの?3. 名無しのReddit住民(>>1への返信)
最初は「トム・ウェリングが自分の生まれる前の映画に出てるのおかしくない?」って本気で混乱した。調べたらGoogleもこの映画が嫌いらしくて、2005年版が検索結果の3ページ目まで沈んでた。
※『ザ・フォッグ』は1980年のジョン・カーペンター作品が元で、2005年にリメイク版が作られている。トム・ウェリングが出ているのはリメイクの方。
4. 名無しのReddit住民
『スーサイド・スクワッド』の公開前の熱狂ぶり、今思い出してもすごかったな。ジャレッド・レトが「ジョーカーになりきった」とかなんとか、役作りの逸話が毎日のように流れてきて。で、出てきたのがあのゴミだよ。
※2016年公開のDC映画。公開前は主演俳優の常軌を逸した役作りエピソードが大量に報じられたが、完成した本編の評価は散々だった。
5. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
いや待てって、ナイフをずらっと床に並べてその真ん中で寝転がって笑ってるシーンあっただろ。あれだけで傑作だろ。頼むよ兄弟、信じてくれって、マジでヤバい映画なんだって。6. 名無しのReddit住民(>>4への返信)
撮影場所のトロントのダウンタウンに住んでて、ちょうどうちの建物の前で撮ってた。ジョーカーが紫のランボルギーニを走らせて、その屋根にバットマンが飛び乗るシーン、あれ月曜の午前3時に自宅のバルコニーから眺めてたんだよ。あのときは「うわ、絶対とんでもない映画になるぞ」って興奮してた。結果はご存じの通りだ。
7. 名無しのReddit住民
『ゼロ・グラビティ』。ロッテン・トマトの数字が実態を表さないのは知ってるよ。それでも99%だか何だかはさすがにおかしいだろ。逆に『インターステラー』が75%くらいっていうのが納得いかない。あっちの方が何枚も上だ。
※『ゼロ・グラビティ』は2013年の宇宙遭難もの。原題は Gravity(重力)で、無重力を指す日本語タイトルとは逆の意味になっている。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
知らない人のために書いておくと、ロッテン・トマトの数字はみんなが思ってるものと違う。75%というのは平均点が10点満点で7.5点という意味じゃなくて、「及第点をつけた批評家が全体の75%いた」という意味。だから全員が無難に合格点を出した凡作の方が、賛否が真っ二つに割れた傑作より高く出る。
※ロッテン・トマトは映画評を集めるアメリカのサイト。個々の批評を好意的か否定的かの二択に振り分けて、好意的な割合を百分率で表示している。
9. 名無しのReddit住民
自分は『ゼロ・グラビティ』好きな側だな。映画として『インターステラー』の方が上なのは認めるけど、あっちは頭で味わう映画で、こっちは心臓を直接掴みにくる映画だから、別の土俵だと思ってる。あと授賞式でティナ・フェイがやってた「ジョージ・クルーニーは、同年代の女性ともう一分一緒に過ごすくらいなら宇宙に流されて死ぬことを選ぶ――と証明した映画です」ってネタ、今でも好き。
10. 名無しのReddit住民
『アバター』。1作目のほうね。誤解しないでほしいんだけど、普通に良い映画だよ。本当に良い映画。ただ観終わってみると「よくできたSF」以上でも以下でもなくて、あそこまで神格化される理由がいまだに分からないんだ。
※2009年公開。3D上映を前提に作られ、世界興行収入で歴代1位を記録した作品。
11. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
10代のときにIMAXの3Dで観たんだよ。完全に飲み込まれた。「映画の中にいる」という感覚を生まれて初めて味わった。逆に言うと、家の小さい画面で観ると話の筋がどれだけ王道かがバレるんだよな。あの映像あってこその作品なんだ。あとネイティリに3年くらい本気で惚れてた。青くて身長3メートルでも自分は平気らしい。12. 名無しのReddit住民(>>10への返信)
自分は「アンオブタニウム」の一語で全部さめた。あれ絶対、脚本の仮置きの単語がそのまま直されずに残っただけだろ。あの一語のせいで最後まで乗れなかった。
※作中で人類が狙う希少鉱物の名前。unobtainium は英語圏の技術者が「入手不可能な素材」を指して使う冗談めいた造語で、SFでは仮の名前として置かれることが多い。
13. 名無しのReddit住民
この手のスレで『アバター』が叩かれるのは毎度のことだけど、公開当時に劇場の3Dで観た人ってこの中にどれくらいいるんだろうな。あのときは本当に「映画の次の時代が始まる」という空気があって、それ込みの体験だったんだよ。3Dブーム自体はもう過ぎ去ったけどさ。何年も経ってから家の2Dで観て「話が平凡」と言うのは、まあ、そりゃそうなるよねとしか言えない。
14. 名無しのReddit住民
というか、最近のNetflixオリジナル映画はだいたいそう。あそこは発想と掴みだけは毎回ものすごく良いんだ。予告で「おっ」と思わせる核はちゃんと持ってる。なのに終盤が必ず崩れる。なんでなんだろうな。アイデアはあるのに、料理する腕が追いついてない感じがする。
15. 名無しのReddit住民(>>14への返信)
あと、ながら見前提の脚本ね。スマホをいじりながら流し見してる客に合わせて、わざわざ台詞で全部説明し直してくる。結果、観てるこっちが馬鹿だと思われてるみたいな映画ばかりになるんだよ。16. 名無しのReddit住民(>>14への返信)
予告編を作る腕だけは本当に一流だよな。おかげで毎回引っかかる。だから自分は、Netflixのトップ10に入ってる作品には絶対に手を出さない、というのを個人的な鉄則にしてる。
17. 名無しのReddit住民
リドリー・スコットの『ナポレオン』。こっちは筋金入りの歴史好きで、大予算のナポレオン映画と聞いて完全に舞い上がってたんだ。出てきたのは史実の扱いがめちゃくちゃなうえ、映画としても出来が悪いという二重の事故だった。
※2023年公開。ホアキン・フェニックス主演。公開当時から歴史考証をめぐって議論になった作品。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
リドリー・スコットって、とんでもない傑作かとんでもない駄作かのどちらかしか作らないよね。その中間がほとんど存在しない。19. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
本人の反論の方がもっとひどくて、あれでこの人が嫌いになった。「ナポレオンが死ぬ。その十年後に誰かが本を書く。次はその本をもとに別の誰かがまた本を書く。そうやって何百年も経てば、歴史書なんて想像で埋まってるんだよ。歴史家と揉めたときはこう聞くことにしてる。失礼、あなたそこにいたんですか? いなかった? じゃあ黙っててくれ」だってさ。
20. 名無しのReddit住民
スピルバーグの『ディスクロージャー・デイ』。期待値を上げすぎた自覚はあるけど、それにしても期待外れだった。90年代半ばなら革命的な題材だったんだろうけど、宇宙人の陰謀論なんて今はネットにいくらでも転がってるから「ああ、はい」としかならない。しかも「これで世界のすべてが変わる」という触れ込みだぞ。2026年だ。みんな生活に必死で、明日も仕事に行かなきゃいけない。宇宙人が住宅ローンを肩代わりしてくれるならともかく、結局いつも通り一部の人が騒いで終わりだろ。
※『ディスクロージャー・デイ』(原題 Disclosure Day)は2026年6月に米国で公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督のSFスリラー。政府の外側で長年エイリアンとの接触を隠してきた組織を、サイバーセキュリティ技術者が内部告発する話。脚本はデヴィッド・コープ、音楽はジョン・ウィリアムズ。本稿執筆時点で日本公開時の表記は確認できていないため、ここでは原題をそのままカタカナにしている。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
正直あれはひどい映画だった。宇宙人の映像を報道機関に持ち込んだら、その場で世界同時の生中継が始まるって……いやいや、まず真偽を確かめるだろ。しかも観てるこっちは「これはCGです」と最初から知ってるわけで、劇中の誰ひとり疑わないのが二重に間抜けに見えるんだよ。あの映画について見かけた感想で一番しっくりきたのは、「三部作の2作目だけ観せられて、1作目は存在しないし3作目は永遠に作られない映画」というやつ。22. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
自分もそこが引っかかった。スピルバーグの全作が好きなわけじゃないけど、エイリアンものだけは外さない人だと思ってたんだよ。『未知との遭遇』は今でも一番好きな映画のひとつだし。予告を一本観た時点では、発表そのものを描く映画だと思い込んでた。冒頭で人類が宇宙人の存在を知って、残りの上映時間を全部その余波に使うんだと。実際に出てきたのはごく普通のアクション映画。面白い問いに2分だけ触れて、すぐ銃を持った悪役から逃げる話に戻る。途中から90年代の名作『逃亡者』のリメイクを観てる気分になったよ。
※『未知との遭遇』は1977年のスピルバーグ監督作。『逃亡者』は1993年のハリソン・フォード主演作で、無実の罪を着せられた男がひたすら追われ続ける話。
23. 名無しのReddit住民
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。パートナーと二人で観て、二人とも見事に拍子抜けした。長いこと「とにかくすごい」としか聞いてなかったせいもあると思う。悪い映画じゃないんだよ。普通に良かった。ただ、自分が今まで観た中で面白かった映画や心を動かされた映画の上位50本には入らない。
※2022年の作品。コインランドリーを営む女性が無数の並行世界を渡り歩く話で、アカデミー賞の作品賞を含む複数部門を受賞した。
24. 名無しのReddit住民
ニコラス・ケイジが悪魔崇拝の連続殺人鬼をやる、と聞かされた時点で期待値は天井まで行くだろ。『ロングレッグス』はその高さにはまったく届かなかった。返金はいらないから時間だけ返してほしい。
※『ロングレッグス』(原題 Longlegs、2024年のホラー)。半年近くかけて断片的な映像だけを小出しにする宣伝で話題を集めた作品。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
わかる。観ながら「このメイクで女優がパニックを起こしたことになってるの?」って真顔になった。どうせやるなら特殊メイクで顔そのものを別人みたいに作り替えて、直視できない不気味さまで持っていってほしかった。
26. 名無しのReddit住民
自分は『罪人たち』かな。最初の一幕は本当に完璧で、音楽も空気の作り方も文句なしだった。なのに化け物が出てきた瞬間から、急に型通りのホラーに落ちていく。散々煽られた末にこれか、と。
※『罪人たち』(原題 Sinners、2025年のライアン・クーグラー監督作、主演マイケル・B・ジョーダン)。1930年代のアメリカ南部を舞台にした吸血鬼もの。日本では2025年6月公開。
27. 名無しのReddit住民(>>26への返信)
登場人物も舞台も音楽も衣装も、そこは全部良かった。筋書きだけ首をかしげたまま終わった。正直、吸血鬼が出てくる前の方が好きだったまである。自分の中では吸血鬼映画はいまだに『30デイズ・ナイト』が頂点。
※『30デイズ・ナイト』は2007年の作品。冬のあいだ一か月ほど太陽が昇らないアラスカの町が吸血鬼に襲われる話。
28. 名無しのReddit住民
ホラー界隈には独特の現象があってさ、70〜80年代のイタリアンホラーは「とにかく狂ってる」「頭がどうかしてる」と全力で持ち上げられるんだよ。で、みんなが崇めてる一本を実際に観ると、格好いい場面が1つ2つあるだけで、あとは延々とあてもなく歩き回って、どこにも着地しない会話が続くだけなんだ。『サスペリア』はまあ好きだけど、頭を殴られるような体験ではなかったし、『サンゲリア』は退屈で話も繋がってなかった。『食人族』だけは前評判どおり本当に胸が悪くなったけど、あれは映画の力というより撮影のやり方そのものが最悪だったからだしな。
※『サスペリア』は1977年のダリオ・アルジェント作品。『サンゲリア』(1979年)はルチオ・フルチ監督のゾンビ映画。『食人族』(1980年)は現地の出演者や動物の扱いをめぐって長く批判されてきた作品。
29. 名無しのReddit住民
袋叩きにされるのを覚悟で書くけど、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。歴代のスパイダーマンが顔を揃えるのは最高だったし、アルフレッド・モリーナやウィレム・デフォーが戻ってきたのも嬉しかった。でも肝心の話に一度も気持ちが入らなかったんだよ。戻ってきた俳優陣が与えられた脚本の中で全力を尽くしてるから成立してるだけで、映画としてはかなり普通。終盤でアンドリュー・ガーフィールドが落ちてくる人を受け止める場面、あれ以外に心が動いた瞬間がどうしても思い出せない。
※2021年公開。過去のシリーズで敵役を演じた俳優たちの再登場が最大の話題になった作品。※注:終盤の場面に軽く触れています。
30. 名無しのReddit住民
結局のところ、問題は映画そのものじゃなくて前評判の方なんだよな。どれだけ良い映画でも、ネット上の盛り上がりが作品本体を追い越してしまった時点で、こっちの期待はもう絶対に満たされない。必要なのはその逆で、あらすじもほとんど知らない、何ひとつ期待していない状態で座席に沈むことなんだ。まあ、それが今の時代に一番難しいんだけど。
まとめ
読み進めると、挙がった理由は大きく三つに分かれていました。ひとつは映像や体験そのものが評価の中心だった作品で、『アバター』や『ゼロ・グラビティ』のように劇場で受けた衝撃が前提になっているぶん、後から小さい画面で観た人ほど落差を感じています。ふたつめは宣伝が本編を追い越した作品。予告や役作りの逸話だけが独り歩きして、完成品がその重さを支えきれなかったパターンです。
そして三つめが、作品ではなく評価の仕組みそのものへの不満でした。ロッテン・トマトの数字が「平均点」ではなく「合格点をつけた批評家の割合」だという指摘はその象徴で、賛否が割れる尖った作品ほど数字が伸びず、誰も強く嫌わない無難な作品ほど高く出る。スレッドでは他にも『バービー』『インセプション』『市民ケーン』、『マトリックス』の続編、『トイ・ストーリー5』、『ワン・バトル・アフター・アナザー』(原題 One Battle After Another)といった名前が次々に挙がっていて、ジャンルも年代もばらばらなのに、語り口だけがどれも似ているのが面白いところです。
日本だと邦題そのものが期待値をずらす例もあって、『ゼロ・グラビティ』は原題が Gravity(重力)なのに真逆の言葉が付いた有名なケースですね。皆さんは「前評判ほどじゃなかった」と感じた映画、何かありますか?


コメント
インターステラーって1回見てもういいわってなったからなんでそんな評価高いのか不思議
「シスレー展」だと思ったら「シーレ展」だった。