「うちは家族みたいな会社だから」。会議室にいる全員が嘘だと分かっているのに、誰も何も言わず、そろってうなずく。海外掲示板に投稿された「その場の全員が信じているふりをした、いちばん見え見えの嘘は?」という質問には、職場の会議や面接、親戚の集まり、葬儀のスピーチと、身に覚えのある場面が次々に挙がった。客先には1時間340ドルで請求されているのに自分の取り分は14ドルだという社員が、会社のオーナーを拍手で迎えるよう求められた話もあれば、2か月の早産だったはずの赤ちゃんが4.5キロもあったという話もある。うなずく側にも、それぞれ事情があるようだ。
元スレッド:r/AskRedditより
海外の反応
1. 名無しのReddit住民
「うちは家族みたいな会社だから」。あの会議にいた全員が、そんなのはでたらめだと分かってた。それでも全員そろってうなずいたよ。それが仕事だからね。
2. 名無しのReddit住民
前に働いてた職場で、会社のプロパガンダ集会みたいなものがあった。そこで会社のオーナーの奥さんが全員に向かって、「もうすぐオーナーがこの部屋に来ます。みんなで拍手して迎えましょう。オーナーがお金を払ってくれなければ、ここにいる誰にも住む場所なんてなかったんですから」と言い放ったんだ。
まるで慈善家か何かみたいな言い方だった。こっちは客先に出向いて修理や点検をする担当で、会社は自分の作業に1時間340ドルを請求してた。そのうち自分がもらってたのは14ドルだよ。
※ 1ドル150円で換算すると、会社の請求額は1時間あたり約5万1,000円、本人の取り分は約2,100円になる。
3. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
現実は逆なんだけどね。オーナーのほうに住む場所が7つもあるのは、その部屋にいた人たちのおかげだよ。4. 名無しのReddit住民(>>2への返信)
うわあ……。このままお利口な働き手でいれば、来年のクリスマスあたりには、お屋敷の前を車で通って噴水を眺めるくらいは許してもらえるかもね。
5. 名無しのReddit住民
「この会議はすぐ終わりますから」。そう言われて、部屋の全員がおとなしく席に着いて受け入れた。これまで全員、何度も痛い目を見てきたはずなのにね。
6. 名無しのReddit住民
「このアンケートは完全に匿名です。率直な意見を聞かせてください」。回答用のリンクは一人ずつ違っていて、名前入りのメールで届いた。あとで同僚に聞いたら、みんな全項目「とても満足」にしたって。自分もそうした。
7. 名無しのReddit住民
日曜日に、どこでもいいから教会に入ってみるといい。そこがまさに「その部屋」だから。
※ 欧米のキリスト教圏には、日曜の午前に教会の礼拝へ通う習慣がある。信仰の深さは人それぞれで、地域の人が顔を合わせる場にもなっている。
8. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
人付き合いのためだけに通い続けてる人って、どのくらいいるんだろう。毎週同じ場所に行って、見慣れた顔に会って、仕事とは関係のないところで人としゃべる。それだけでも、けっこう心が落ち着くものだからね。9. 名無しのReddit住民(>>7への返信)
その場の全員が「ふり」をしてると思ってるの? 頭の中をのぞきでもしないかぎり、そんなことは分からないよ。日曜に教会へ行く人が一人残らず演技してるなんて、本気でそう思う? それより、自分の考えや思い込みを相手に重ねてるだけ、というほうがありそうだけど。
10. 名無しのReddit住民
宗教と政治の話は(もう疲れたから)今回はやめておくね。
うちのいとこは、親戚の集まりのたびに顔を出しては「2019年からタバコは吸ってない」と話す。タバコのにおいをぷんぷんさせながら。「2021年にお酒もやめた」とも言う。足元をふらつかせて、ろれつの回らない口で。
なにしろ親戚の間でのあだ名が「酔っぱらいジェイニー」で、夜8時を過ぎたら彼女からの電話には誰も出ない。その時間には必ずべろべろになってるからね。
それでもうちの親戚は全員、にこやかに笑って「それはすごいね!」と言うんだ。
11. 名無しのReddit住民
「おばが名付け親になっている男の子は、2か月の早産で生まれた」という話。その子、生まれたときの体重が10ポンド(約4.5キロ)あったんだけどね。
結婚するまで純潔を守っていたはずの人たちが、式から7か月で大きくて元気な赤ちゃんを産む。そういう例があまりに多くて、いつも感心してしまうよ。
※ 名付け親(ゴッドペアレント):キリスト教圏で、子どもの洗礼に立ち会い、成長を見守る役を引き受ける人。親戚や親しい友人に頼むことが多い。婚前交渉を戒める家庭では、結婚前に授かった子を「早産だった」と説明することがあり、コメントはそれを皮肉っている。
12. 名無しのReddit住民(>>11への返信)
「純潔を守ってた人が元気な赤ちゃんを産んで、何がおかしいの?」と聞きそうになってから気づいた。たしかに7は9より小さいね。
13. 名無しのReddit住民
うちの祖父は、食卓でおならをするたびに、足元で寝てる犬をじろっとにらむんだ。すると家族全員が「こら、バスター!」と犬を叱る。バスターも慣れたもので、毎回ちゃんと申し訳なさそうな顔をしてくれる。あの食卓でいちばんの役者は犬だと思う。
14. 名無しのReddit住民
学校の授業で、BBCのドキュメンタリーを見せられたことがある。イタリアの農家が木に実った麺を収穫して、畑で天日干しにしてから箱に詰める、という内容。
あれを本物だと思った同級生があまりに多くて、あっけにとられたよ。先生は、フェイクニュースやプロパガンダがどういうものかを、その場で実演してみせてたんだ。
15. 名無しのReddit住民(>>14への返信)
あれは「スイスで大豊作!」ってやつだね。テレビで放送されたエイプリルフールのいたずらとしては、最初期のものの一つらしいよ(放送は1957年)。※ 1957年4月1日、イギリスBBCの報道番組『パノラマ』が「スイス南部でスパゲッティが豊作」と伝え、木から麺を摘み取る一家の映像を流した。当時のイギリスではスパゲッティがまだなじみの薄い食べ物で、木の育て方を問い合わせる視聴者まで出たとされる。
16. 名無しのReddit住民
高校のとき、髪を派手な色に染めるのは校則で禁止だったんだけど、休み明けに真っ赤な髪で登校してきた子がいた。先生に聞かれた彼女は、真顔で「夏のあいだに自然とこの色になりました」。先生は3秒くらい黙ってから「そうか。日差しには気をつけなさい」とだけ言った。クラス全員、笑いをこらえるのに必死だったよ。
17. 名無しのReddit住民
デンマークでは「ステータス会議」と呼んでるやつ。ほかの国で何て言うのかは知らないけど、経営陣がこの半年から1年の業績を社員に説明する場のことね。
で、業績がいいときは決まって、褒め言葉の大盤振る舞いになる。「よくやってくれた」「みなさんの頑張りに感謝しています」とか、その手のやつ。そこに必ず「これはいずれ、みなさんにも返ってきます」という一言が混ぜ込まれるんだ。言い回しは毎回違うけど、言いたいことはいつも同じ。給料が上がるとか、設備が良くなるとか、そういう含みね。
みんなうなずいて、にこにこして、少し期待してるような顔までしてみせる。でも、でたらめだってことは全員が知ってる。何も変わらないし、働いてる側に返ってくるものなんてない。
18. 名無しのReddit住民(>>17への返信)
面白いよね。「過去最高益です」と発表しておきながら、昇給の時期になると急に「いまは厳しい時期なので」になるんだから。
19. 名無しのReddit住民
「彼は新たなチャンスを追い求めるために、当社を離れることになりました」という全社メール。その前の日、本人が段ボール箱を抱えて、警備員に付き添われて出ていくところを、フロアの全員が見てたんだけどね。翌朝のミーティングで上司が同じ説明を繰り返したときも、みんな「そうなんですね」という顔でうなずいてた。
※ 海外の企業では、解雇を告げられた社員がその日のうちに私物をまとめ、警備員や人事担当者に付き添われて退出することがある。社内には「新しい機会を求めて退職」などと説明されることが多い。
20. 名無しのReddit住民
「家族みたいな会社」で思い出した。空調設備の会社の面接を受けたとき、面接官にこう言われたんだ。「うちで働いてる人はみんな、会社とチームのことを本当に大事に思っています。だから誰も休みを取りません。有給休暇は法律で決まっているので付与していますが、使う人は一人もいませんよ」。
いや、最初から正直に言ってくれるのはありがたいんだけどさ。断言するけど、社員が休みを取らないのは、会社を愛してるからじゃない。休むなという圧力が強すぎて、上からの仕返しが怖いからだよ。ふざけるな、って話。
21. 名無しのReddit住民(>>20への返信)
自分は研究所で働き始めたんだけど、まわりは研究者や学者だらけでね。有給休暇の日数をどう管理してるのか聞いたら、研究室のトップに「うちが気にしてるのは主に、みんなが法律で決まった最低限の日数をちゃんと休んでるかどうかだよ」と言われたのを覚えてる。
有給を取って嫌味を言われたことなんて一度もない。そもそも、ろくに数えてもいないし、上司もそのへんはゆるい。「全員が研究所を大事に思ってる」みたいな寒いことを言う人もいない。
ただ、研究の世界は、各自が論文という実績を積み上げていって、それが所属先を移ってもずっとついて回る仕組みになってる。だから本物の仕事中毒がごろごろいて、ときどき無理やりにでも休ませなきゃいけないんだ。22. 名無しのReddit住民(>>21への返信)
大学病院でがんの研究をしてる。勤めて20年になるけど、いまは有給が6週間ちょっとあって、それとは別に、病気のとき用の休暇もあきれるほど貯まってるよ。
言うとおり、燃え尽きは本当に深刻な問題でね。だから管理する立場の人間は、実際に部下へ「休みを取りなさい」と言って回らなきゃいけない。
それに、大学の研究職は民間企業と比べて給料がすごく安いから、どこかで埋め合わせをしてもらわないとね!
23. 名無しのReddit住民
友達の結婚式で、新郎の親友がスピーチに立って「彼は昔から、一人の女性をまっすぐ大事にする男でした」と言った。学生時代の彼を知ってるテーブルは、全員グラスを見つめたまま、深くうなずいてたよ。新婦のおばあさんだけが、本気で感動して目頭を押さえてた。
24. 名無しのReddit住民
母は若くして亡くなったから、葬儀にはたくさんの人が集まった。若い人が死ぬのは悲劇だし、世間は「いい悲劇」が大好きだからね。
で、そこで読まれた弔辞は、自分の知らない女の人の話だった。いつも明るくて、生き生きとした人だったことになってたんだ。
まわりを見回して思ったよ。「見覚えのある顔はたくさんあるけど、あなたたち、本当に母のことを知ってた?」って。
あの人に、明るいところなんて一つもなかったのに。
25. 名無しのReddit住民(>>24への返信)
分かる気がする。うちの父のときもそうで、気難しくて口数の少ない人だったのに、弔辞では「誰にでも気さくな人」になってた。最初は腹が立ったけど、うなずきながら泣いてる親戚を見てるうちに、葬儀のスピーチって、亡くなった本人のためというより、残された側が聞きたい話をする場なのかもしれないと思ったよ。
26. 名無しのReddit住民
チームミーティングで上司が話すことの、かなりの部分がこれだと思う。「みんなの意見は、ちゃんと上に伝えてあるから」とかね。伝わった試しがないのは全員知ってる。それでも一応、全員うなずいておく。
27. 名無しのReddit住民
嘘をつかれてる側が気を使ってた例なら、うちのクリスマスがそう。きょうだい3人とも、とっくにサンタの正体には気づいてたんだけど、母が毎年あまりに楽しそうに準備するもんだから、誰も言い出せなくてね。いちばん下が高校生になるまで続いたよ。母のほうも、たぶん全部分かってたと思う。
28. 名無しのReddit住民
ある有名な経営者が、投資家向けの説明会なんかで何度も言ってきたこと。(1) 完全自動運転の車はあと1年で実現する。(2) あと数年で火星に行ける。
たぶんほかにも忘れてるのがいくつかあるけど、みんながいまだに信じてるふりをしてる嘘としては、この2つがいちばん分かりやすい。
29. 名無しのReddit住民
うなずいてる側を責める気にはなれないな。見え見えの嘘に全員がいちいち突っ込んでたら、会議も親戚の集まりも10分で空中分解するよ。困るのは、言ってる本人が「信じてもらえてる」と本気で思い込み始めたときだけ。
30. 名無しのReddit住民
「部屋の中にゾウがいる」。このスレに出てくる話は、ほとんど全部これだね。
※ 英語には「部屋の中のゾウ」(elephant in the room)という慣用句がある。その場の誰もが気づいているのに、あえて誰も口にしない問題のこと。
まとめ
挙がった嘘を並べてみると、本当にだまされている人はほとんど出てこない。「家族みたいな会社」も「すぐ終わる会議」も「業績はいずれみなさんに返ってきます」も、聞いている側は全員が嘘だと分かっている。それでもうなずくのは、突っ込んだところで何も変わらず、自分が損をするだけだと知っているからだ。有給を誰も使わないのは会社を愛しているからではなく、上からの仕返しが怖いからだ、という面接での体験談は、その構図をはっきり言葉にしている。
親戚の集まりや葬儀の話になると、うなずく理由が少し変わる。タバコのにおいをさせながら禁煙を語るいとこに「それはすごいね!」と返すのも、早産だったことになっている4.5キロの赤ちゃんに誰も触れないのも、相手を追い詰めないための作法に近い。若くして亡くなった母親が「明るい人」として語られた葬儀を、冷めた目で見ていた人もいた。日曜の教会を挙げたコメントには、全員がふりをしているとなぜ分かるのか、という反論が付き、「信じているふり」と決めつける側の思い込みも問われている。元のスレッドには政治の話題も多かったが、場面が目に浮かぶのは、やはり職場と家族の話だった。
求人広告の「アットホームな職場です」や、すぐには終わらない「すぐ終わる会議」は、日本でもそのまま通じそうだ。皆さんは、その場の全員が信じたふりをした見え見えの嘘に、出くわしたことがありますか?

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